ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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魔法使い学園モノ……。


39話 ヴォルフガング・ラインハルトの場合 その3

ヴァイスベルグ周辺のモンスターの間引きを終えて、帰還した俺。

 

やはり、俺は守りは堅くても攻撃力に欠ける。

 

レベル二、三十の弱いモンスターならば、俺でも一撃で倒せる。大体、レベル六十までは一人でも一撃で対応できる。

 

が、しかし、それ以上となると少々手古摺らされる。

 

確かに、攻性防壁などのある程度の火力が出るスキルもあるにはあるが、基本的に、相手の攻撃に反応して攻撃する、言わばカウンター的なものが殆どだ。

 

そんなことで四日の時が過ぎた……。

 

 

 

四日もすれば、それなりに生活にも慣れてくる。

 

人々は協力し合い、逞しく生きているようだ。

 

そう言えば、子供の頃から通っていた動物園はどうなったのだろうか?

 

確か、あそこの園長さんは、事故で家族を亡くしてからは、園の動物達が家族だと言って……。

 

職員の方々も同じような境遇の人が……。

 

………………。

 

行ってみるか。

 

 

 

「「「「ウッ、ウッ、ウォーーー!ウオオオーーーン!!!」」」」

 

うわあ……。

 

「すまない……、すまない……、私の愛する動物達よ……。もう、お前達に食わせてやる餌がないのだ……。斯くなる上は私の肉を……!!!」

 

「園長、私の肉を!」

 

「俺だって!」

 

「ま、待ってください、園長さん、職員さん」

 

「む……?君は……?」

 

「この動物園のファンだった子供の一人ですよ」

 

「オロロローーーン!そうか!そうか!ありがとう!ありがとう!良かったなあ、良かったなあ、みんな!最後にお客さんが来てくれたぞ!」

 

集まって泣いている職員さん達を集めて、動物のモンスター化について話す。

 

「ならその魔石を下さい!」

 

「迷わないのですか?」

 

「例えどんな形であっても、家族と共にいられるのであれば、私はそれで良いのです」

 

「そうですか……」

 

 

 

動物園の動物達はモンスター化により知能が著しく向上し、人を襲うことがなくなった。

 

よって、ヴァイスベルグに職員ごと移動して、永住させることに。

 

鑑定の結果によると、ペットを飼っている住人はJOBの欄が魔物使いになり、テイムスキルも保有していた。

 

ヴァイスベルグは、長閑な田舎町だ。

 

元軍人や警察官、格闘家のような、戦闘ができる人は少ない。

 

会社の人達も、オフィス街で働く人なのだから、特に鍛えている訳でもないので、貧弱。

 

貧弱……、は言い過ぎだとしても、基本的に、体力も筋力も並で、なにより、戦う覚悟がない。

 

これは仕方のないことだが。

 

一般的な社会人に戦わせるのは酷だろう。

 

数少ない警察官や軍人、格闘家……、精々百人くらいだろうか?

 

その彼らに、街の見回りと治安維持活動を頼んでおいた。

 

武器は取り敢えず、あらかじめ買っておいた特殊警棒と、街の鍛冶屋から買い取った手斧。

 

基本的に、警棒が対人用、手斧が対モンスター用としている。

 

今は鍛冶屋が急ピッチで武器を作っているらしい。

 

たまに、散発的に低レベルモンスターが襲いかかってくることもあるが、警察隊と街中のペットモンスターが協力して、外敵の野良モンスターを殺害しているようだ。

 

警察隊も、三メートルを超える虎やライオン、四メートル程の熊などを見て恐れているようだが……。

 

テイムスキル持ちが上手く緩衝材になっているようだ。

 

テイムスキル持ちは、自分のペットモンスターの散歩ついでに、街の見回りをしてくれる。

 

小さな諍いがあっても、ペットモンスターが吠えれば、大抵の人は矛を収めるだろう。

 

しかし、テイムスキル持ちが暴れ始めてはいけないので、警察隊を強化して治安維持に努める予定だ。

 

 

 

X DAYから二週間。

 

最近は、近隣にブルームピッグと言う、低レベルの豚型モンスターのいるダンジョンを発見した。

 

ブルームピッグは、普通の豚より1.5倍程大きく、革も丈夫で、肉も美味いので、資源としてかなり有効だ。草食で大人しいので、殺すことも容易である点も良い。

 

ブルームピッグの肉と腸で作ったブルームピッグヴルストは非常に美味いし、日持ちするので、肉屋は毎日、ヴルストの生産で大忙しだそうだ。

 

さて、二週間も経てば、段々と落ち着いてくる。

 

俺も、街の近隣を探索するようになってきた。

 

そう言えば、この辺りには高校があったな……。

 

………………。

 

高校、避難している人がいるのでは?

 

……急ごう。

 

 

 

高校の体育館は、避難民が押し寄せていた。

 

俺はすぐさま責任者と話をして、まだ居住地に余裕があるヴァイスベルグに案内した。

 

今、ヴァイスベルグには二千人以上の人々がいる。

 

その殆どが労働力のある年齢なので助かっている。

 

殆どの住民が畑を耕して暮らしているようだ。

 

長閑な田舎町で緩やかに暮らしている。

 

逆に、世界がこうなる前の方が辛かったという人も多い。

 

田舎で農業して暮らすのは、まあ、理想の老後の一つだろう。

 

スローライフしている。

 

街の周りには、タツに頼んで軽いバリケードを設置してある。

 

完璧だ。

 

しかし、問題が一つ。

 

武器がない。

 

先程、街の鍛冶屋が手斧を作っているとは言ったが、どうやら追いついていないようだ。

 

何せ、街の鍛冶屋はそもそも、武器を作ったことなんてない。

 

手斧も鉄製だ。

 

そもそも、鍛冶屋は一人しかいない。

 

このままだと、街を守る人の手が足りない……。

 

そんな時。

 

街にドワーフの集団が現れた……。

 

 

 

『おおい、おおい!人はいるかあ?!』

 

幸いにも、敵対的な様子はない。

 

「何だ?」

 

『おお、おったか!』

 

『人じゃ』

 

『麦畑もある』

 

「何の用だ?」

 

『ここに、儂らの打った武器がある』

 

鑑定……、アムドライト製の武器か!

 

これは欲しいな……。

 

『代わりに……』

 

「代わりに?」

 

『酒をくれえええええ!!!!』

 

『儂らの麦畑はダンジョンの外にあったんじゃ!転移してしまって、儂らは麦畑を失った!』

 

『もう備蓄の酒ものうなった!』

 

『酒が作れん!飯もない!』

 

成る程。

 

「分かった。交易をしよう」

 

幸い、ヴァイスベルグは食料が余り気味だ。

 

酒もたくさん用意してある。

 

多少分けても平気だろう。

 

『お、お、おー!酒じゃ!』

 

『パンもある!』

 

『これは……、芋の火酒じゃ!』

 

俺が、ドワーフが喜びそうなものを適当に渡した。

 

すると、ドワーフ達は非常に喜び……。

 

『お主らは、武器が足らんのではないか?』

 

「ああ、足りていない。ついでに、街を守る人手もいない」

 

『良ければ、儂らを雇わんか?』

 

『儂らも、地上に拠点が欲しくてのぉ』

 

『そちらが許可さえ出してくれれば、ここに引っ越すが、どうじゃ?』

 

む……。

 




んあーーー、どうすっかな……。

ハリーポッターのような、やる夫は魔導を極めるようですのような、なろう小説のような。

どこかで見た内容になりつつある。

お蔵入り……、でも勿体無いし……。

見たいですか、学園モノ?

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