ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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やること山積み。

でもss書いちゃう。


36話 アーノルド・ガルシアの場合 その8

世界崩壊から四ヶ月……。

 

夏真っ盛り。

 

温度計を見ると三十五度とある。

 

ハリアルシティ内でも、熱中症でバタバタと人が倒れているようだ。

 

僕?

 

僕はクーラーがガンガン効いた部屋でアイス食べながらゲームしてるけど?

 

何か問題でもある?

 

 

 

僕の部屋には許可なしでは両親も入れないからね。

 

しかも防音。

 

基本的にこの洋館は三階建てなんだけど、三階は僕のプライベートルームとして立ち入り禁止なんだよね。

 

掃除?

 

生活魔法の「クリーン」をかけて回れば十分でピカピカだよ。

 

兎に角、この三階には、図書館とサーバールーム、防音の私室、寝室、キッチン、シャワールームがあるよ。

 

水とかは、屋上の巨大なタンクに水魔法で生み出した水を毎週入れてる。

 

水道管の掃除も「クリーン」で一発さ。

 

壊れても「リペア」で元通り。

 

但しガスがないから温水が出せない……、と思った?

 

電気温水器ってものがあるんだよね、これが。

 

ガソリンでの発電機もあるし、電気はバッチリ使えるよ。

 

って言うか、僕が使う分はタツに複製してもらってるよ。

 

僕はみんなに魔法的なもの……、スクロールや魔導書を渡す。

 

ヴォルフがダンジョン的なもの……、鉱石や宝石、素材を渡す。

 

シーマは何かを開発している。

 

タツが複製で増やしたもの……、ガソリンや食料、資源を渡す。

 

そんな取引をしているんだ。

 

まあ……、これは別に、役立つものを渡し合うという紳士協定であって、渡さないからペナルティとか、そんなものは一切ないよ。

 

あくまで、できる範囲での物資提供だからね。

 

さて、今日は……、先月漬けておいた果実酒の一部が飲めるようになったね。

 

いちごの果実酒がいい具合。

 

果実はジャムにして……。

 

酒は地下の隠し倉庫に沢山ある。

 

アイテムボックスはほぼ無限の容量があるけど、アイテムボックス内は時間が止まっている。

 

果実酒を漬けるなら、やはり地下の隠し倉庫しかないってことさ。

 

さて、いちごの果実酒をちょっとだけ……。

 

熟成させた方が美味しくなるからね。

 

でも、飲めるには飲めるから味見程度に……。

 

ん!

 

甘ーい!

 

 

 

「ローラ」

 

「アーニー……」

 

「クレープ作ったんだけど食べるかい?」

 

「ありがとう……、けど、他の人にも……」

 

「そんなに沢山はないよ。クリームの在庫がね」

 

「そう……」

 

少し沈んだ表情を見せるローラ。

 

むう、良くないな。

 

君には笑っていてほしいよ、僕は。

 

「……アーニー、貴方が楽をするのは当然だわ。貴方はそれだけ、このコミュニティに利益をもたらしているもの。貴方には楽をする権利があるわ。でも、私は……」

 

思いつめているみたいだね。

 

でもそうだろうか?

 

「ローラは十分働いていると思うけどね」

 

「そんなこと……」

 

実際、ハリアルシティの実務的な運営……、町長はローラと言っても過言じゃない。

 

町長なんだから、もっと良い思いをしていいと思うけどね、僕は。

 

「私……、直接戦ったりしないのに、上から命令をして……」

 

「いいんじゃないかな?強い奴が偉いって訳でもないでしょ」

 

「この世界では、強い方が偉いんじゃないかしら」

 

「そんなことないと思うよ?」

 

「でも……、もう、元の世界とは違うのよ、アーニー。弱肉強食だわ」

 

「そうだとしても、君のように知恵や知識がある人はどこに行っても重用されると思うな。確かに、今の世界では強いことは大切だろうけど、こんな世界だからこそ、知恵を持つ人も大切だと思うよ」

 

実際、こんな世界になれば、その日を生き抜く強さも大事だろうけど、明日をどうするか考える知恵も重要だと思う。

 

今日より明日をもっといい日にしたいと言う考え方ができることが、人間の本当の強さなんじゃないかなって僕は思うよ。

 

……みたいなことを言って、ローラを元気付ける。

 

いや、本心だよ。

 

実際問題、ダンジョン産のものと数少ないこの世界の資源でなんとかやっていかなきゃならないんだ。

 

数少ない今あるものを使い潰すことを考えるより、これからの未来について考える方が建設的だ。

 

ローラは、未来を見据えて行動している。

 

資源がない現在、将来はどうなるか、真剣に考えている。

 

自分の子供の世代がどうなるかを、考えているんだ。

 

それは素晴らしいことだ。

 

「兎に角……、ローラ、君は頑張っているよ。ちゃんとやれている、大丈夫だ」

 

「……ありがとう」

 

 

 

その後は、ローラに対してカウンセリングの真似事をして、テキサスで著名な岩塩の産出地、グランドサリーンへ。

 

内陸のハリアルシティにおいて塩は重要物資だからね。

 

「だから……、その、あまりここらを荒らさないでくれると助かるなあ、なーんて」

 

「荒らすつもりはない。ただ、我々も塩がなければ困る故、多少は岩塩の採掘をさせてもらうぞ」

 

グランドサリーンにいつのまにか住み着いていたケンタウロス族を中心とした亜人の村……。僕は現在、そこに来ていた。

 

「因みに、岩塩、どうしてるんです?」

 

ディスカバリーチャンネルで見た知識だけど、野生の馬や鹿なんかは、ミネラルを取るために土や岩塩を舐めたりしてるらしいね。

 

ケンタウロスとかも岩塩を舐めてるんだろうか?

 

「普通に削って料理に使うのだが」

 

あっ文化的。

 

街は……、どうやら、人間の街をそのまま使っているようだ。

 

ホテルなんかに住み着いてるね。

 

かなり同族意識が高い種族らしく、複数の家族が、プライバシーも何もなく、一箇所に固まって暮らしているみたいだ。

 

群れ意識ってやつなのかな?見られることに対して恥とかがないんだろう。

 

でもちゃんと服は着てる。

 

布は……、モンスターの皮とか、元からこの街にあった布とかを使ってるみたいだね。

 

カーテン生地を巻いた子供とかがいて、少しおかしい。

 

他にもハーピィ族とかもいるね。

 

ハーピィ族は……、うわあれ下着着てない?!

 

まあ、両手が羽じゃ服も着れないか。

 

 

 

兎に角、ケンタウロス族はリーダーシップがあるようだね。

 

複数の獣人や鳥人をまとめて、狩猟や採集をして生きているみたいだ。

 

詳しい生態?

 

知らないよそんなの。

 

僕、経営者だよ?

 

馬主なら兎も角、なんで僕がケンタウロスやら獣人やらの生態調査しなきゃならないのさ。

 

僕が理解しておけばいいのは、

 

・獣人の街とは物々交換で交易

・ハリアルシティに来た獣人はサバイバー扱い、特別扱いはしない

・人間に攻撃しない

・しかし、人間側が襲いかかってきたら、そちらの法に従って処罰して良し

 

くらいかな。

 

特に問題はないよね、当然のことしか言ってない。

 

問題があれば街の長同士の話し合いで解決するようにと決めておいた。

 

つまり……、ローラに丸投げ。

 

よく分かんないけどローラが上手い具合にやってくれるって、僕は信じてるから!

 

 

 

 

 

「とまあ、アメリカはこんな感じかな」

 

「成る程ねえ……」

 

二、三週間に一回、僕達は集まって遊ぶんだよね。

 

これを集会としているんだけど……。

 

集会の場で、僕はみんなに近況と今までのことを報告した。

 

「楽しそうじゃん?」

 

「楽しいよー、仕事ないし!!!」

 

「人殺し楽しかった?」

 

「別にどうとも」

 

「ローラとヤった?」

 

「やってるよ」

 

さて……。

 

シーマはタツと一緒だから良いとして……。

 

「次はヴォルフだね」

 

「む、特に話すことはないが」

 

「まあまあ、なんか話してよ、暇だし」

 

「まあ、良いだろう……」

 




書いてて楽しい物を書く。

ハメに投げる。

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