ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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次の次辺りにアーニーのアメリカでの出来事編とヴォルフのドイツでの出来事編やる。


27話 トカゲって虫とか食うよね

『さて、滞在するにあたって、手土産がある。滞在の間、手間をかける詫びだ』

 

『気にすることはないのだが』

 

『借りを作りたくない』

 

メギドライトの槍を渡す。

 

『……良い槍だ。家宝にしよう』

 

 

 

さて、それじゃあ早速調査だ。

 

取り敢えず、村をざっと見て回り、日が暮れる頃にはリザードマンの賢人達と座談会を予定している。

 

「羽佐間さん、リザードマンの挨拶はどうするんですか?」

 

「発音が難しいんですよね。音にすると……、『シィーアオ』とかですかね。シィーの部分は発音するってか、歯に息を当てるみたいな感じ?」

 

「シィーアオ」

 

「そんな感じで通じると思いますよ」

 

「いやあ、言語翻訳のスキルは羨ましいですね」

 

そんな話をしながら村へ。

 

リザードマンは、琵琶湖の漁港周辺の民家を改造して、そこを寝床にしていた。

 

周辺にはビッグローチやクリケットの出るレベルが低いダンジョンがあり、そこで食用虫の養殖をしているようだ。

 

漁師が多く、漁師は戦士でもある。

 

主にアムドライト製の槍とナイフで武装している。

 

戦い方は槍が基本で、かなり強いように見える。戦闘能力はワーウルフと同程度だ。

 

硬い鱗があり、ある程度は攻撃を受けても平気なので、誰かが攻撃をひきつけている最中に、皆で囲んで槍で突くのが基本の戦法らしい。

 

この時、攻撃を引きつける丈夫な奴こそが勇猛な戦士だとされるらしい。

 

背中の傷は恥で、胸や顔の傷は勲章なんだってさ。

 

あとは、食事は二日に一回、寒いのが苦手、酒は好き、文字はあるがほぼ記号。

 

信じる神はないが、龍信仰と言うものがあり、ドラゴンを有り難がる。

 

俺の本気用の装備セットが龍鱗や龍牙製だと知ったらどんな顔をするんだろうな。

 

 

 

さて、食事をもらうことに。

 

『これはスィールル、ゴキブリの塩焼き。こっちはクゥシクェ、すり潰した小魚の団子を焼いたもの。それはァチィア、レレザとヤーヤ草、魚のスープ』

 

鑑定では、全部食えるそうだが、流石にゴキブリは食いたくない。俺と羚は辞退し、サンドイッチを食べる。

 

大倉教授はプロなので、10センチのでかいゴキブリの炒め物にかぶりついた。ヤベェよあの人。勇者か?

 

「ふむ……?味は海老っぽいね。中身はトロッとしてて濃厚で美味しいよ。羽佐間さんは食べないんですか?」

 

「いやー、キツイっすね」

 

「そうですか。こっちは……、うーむ、少し泥臭いですね。リザードマンは気にならないのでしょうか」

 

「爬虫類は丸呑みするので味蕾が少ないと言われている」

 

羚が言う。

 

「成る程、そもそも味が殆ど分かっていないのか……。こっちのスープも泥臭いししょっぱい。ああ、具は美味しいですね。魚は……、これはブラックバスですかね?」

 

よく食えるなこの人。

 

「ウァイ、デォドロクサイ」

 

ルリャさんも平気な顔して食っている。すげえや。

 

『美味しいかしら?』

 

『美味しいが、人間にはちょっと合わないそうです』

 

『あら、そうなの』

 

 

 

次は人間の食べ物をリザードマンに食わせる。

 

豆腐。

 

『柔らかい』

 

『味がない?』

 

『面白い食べ物だ』

 

メロン。

 

『甘い!』

 

『とても甘い!』

 

『柔らかで美味い!』

 

卵焼き。因みに出汁巻。

 

『とても美味い!』

 

『精がつく味だ!』

 

『甘くてしょっぱい!』

 

ふーむ?

 

なんでも食うな。

 

パン。

 

『ふわふわするぞ!』

 

『甘い?』

 

『腹持ちが良いな』

 

小松菜。

 

『美味い!』

 

『苦くて美味いな』

 

『緑の味だ』

 

魚肉ソーセージ。

 

『?!?!!』

 

『魚?ふわふわ?肉?魚?』

 

『美味い、美味い!』

 

味覚は鈍感だが、野菜や魚を好むようだ。より栄養価の高いものが好き、なのかね?

 

 

 

賢人との対談。

 

俺が通訳する。

 

『鱗無き者の賢人、よく来た。私はリザードマンの賢人、シスだ』

 

「私は人間の賢人、大倉和彦です。カズとお呼びください」

 

『カズー……、了解した。お前は賢人として、何に長けるのだ?魔法か?呪いか?それとも医術か?』

 

「私の専攻は人類学……、人々の文化や伝統、習慣などについて調べています」

 

『ふむ……、面白いな。暮らしを調べるか。例えばどんなことを?』

 

「そうですね……、例えば、人間は、この世界では遠くの大陸で、猿から進化したと言われています」

 

『面白い考えだ。猿が鱗無き者になったのか?』

 

「はい、人間は元々は猿でした。そこから、進化を重ね、直立し、尻尾が退化し、手先が器用になり、火を扱うようになり……、何万年と言う時間をかけて進化したのです」

 

『それを裏付ける証拠は見つかっているのか?』

 

「発掘された化石などがいくつもあります」

 

『化石とは?』

 

「生物の死骸などの痕跡が地層に残ったものです。そちらの世界では、土を掘ると骨の跡が見つかったりしませんでしたか?」

 

『ああ、あるな。これか?』

 

シスが奥から貝の化石らしきものを取り出す。

 

「そうですね、それが化石です。例えば、それは恐らくは貝ですよね?であれば、その化石が発掘された場所はかつて海だったと予想できます」

 

『成る程……、鱗無き者は面白いことを考えるな。我々リザードマンは、龍が自らに奉仕させる為の人形だったとされている』

 

「人間の宗教も同じようなものがあります。神が、自らの姿に似せて作ったのが人間だと」

 

『ふむ……、宗教においてはそう語られるのに対して、猿から進化したと言うのか?異端ではないのか?』

 

「かつては異端な考え方でしたが、文化的に成熟するにつれて、宗教的な考え方が廃れてきた感じですね」

 

『鱗無き者は、自らが猿から進化した生き物だと受け止めるのか?』

 

「今は、普通は、学校という教育施設でそれを習います」

 

『ほう、面白いな。鱗無き者の子供はそれを聞いて悲しまないのか?』

 

「そうですねえ、それは幼い内からの教育にもよると思いますが、家庭によって様々でしょう」

 

『我々、リザードマンも、賢人達の見解では、リザード系のモンスターが進化した姿ではないか、と議論されているが、龍を信仰する者達からすれば、それは受け入れ難きことだと言われている』

 

「成る程……。ですが学問と宗教は分けて考えるべきで……」

 

 

 

そして、夜は酒を飲む。

 

リザードマンは比較的酒に強いようだ。

 

ダンジョン芋の濁り酒を好んで飲むらしい。

 

酒も色々飲ませてみる。

 

ビール。

 

『しゅわしゅわ』

 

『良い苦味』

 

『鱗無き者のエールか?』

 

日本酒。

 

『!』

 

『澄んだ苦味』

 

『甘い』

 

ウォッカ。

 

『フシュルルルー!!!』

 

『美味い!』

 

『喉が焼けそうだ!』

 

酒を与えまくるが、リザードマンはあまり酔ってない。

 

ワーウルフと比べて酔いにくいらしい。

 

ふーむ、日本人よりかは酔いにくいようだ。聞いた話ではオーガやドワーフはいくら飲んでも酔わないとか。

 

酒の席ではリザードマンの歌や口伝などを話してもらい、音声を記録する。

 

楽器とかもある。

 

獣の革と木で作った太鼓と、簡単な作りの笛、変わった形の琴と鉄琴なんかを鳴らしている。

 

どれも低めの音が鳴る。と言うのは、リザードマンはあまり高い音域の音は聞こえないらしいそうだ。人間の年寄りくらいの可聴域らしく、モスキート音なんかは聞こえない。

 

代わりに、熱量に敏感で、動体視力も良いらしいな。

 

 

 

一週間で大体の取材を終えた大倉教授は、ほくほく顔で帰って行った。

 

大倉教授は最近、もっと遠くへ自由にフィールドワークがしたいが為に、魔法を覚えて、レベルを上げたらしい。

 

鍛えに鍛えているとのこと。

 

元々大倉教授は、ガタイはそこそこ良いし、フィールドワークで鍛えられていたため、結構な強さになっているらしいよ。

 

「羽佐間さん、本当にありがとうございます!世界で初めての、亜人の研究の第一人者になれるとは、研究者冥利に尽きますよ!」

 

「良かったですね」

 

あと、今現在確認できている亜人の集落は、日本では、沖縄県にマーメイド、福島県に草食獣系亜人の集落、和歌山県にハーピィの集落。

 

ワーウルフとリザードマンは完全にもう人外なので無理だが、ハーピィとかケンタウロスとかマーメイドとかは、上半身は人間だし顔は女の子だしおっぱいもあるし割と抱けそう。

 

ちょっと口説いてみようかとは思う。

 




ポストアポカリプス楽しいわー。

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