ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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時系列は特に決めてないんですけど、この話での旅人は、火の無い灰、ノースティリスのあいつとうん十年単位で冒険済、ガンズオブザパトリオット事件、魔剣教団事件、ウェスカー撃破済、龍歴院、冗舌な傭兵との邂逅、KARATE習熟、波紋など習熟と、本編の旅人のスペックの七、八割はあります。残り二割くらいは幻想郷で強化されます。


3話 青空食堂

朝起きた。

 

適当に手持ちの食料で料理を作って食べる。少な目に10kgくらいにしておく。

 

俺は旅人、風の向くまま気の向くまま流離う旅人だ。

 

だが、本日は珍しく予定あり。

 

寺子屋へゴー、だ。

 

 

 

まあ、特筆すべきこと特になし。

 

算数とのことだったんで、普通に算数を教える。戦前レベルに合わせなきゃならないところは少し手間取ったが、それだけだ。

 

「算数ってこんなに面白かったんだね!」「すごーい!」「たーのしー!」

 

と大人気状態だった。

 

「旅人!素晴らしい授業だったぞ!どうだ、正式に寺子屋の先生になる気はないか?」

 

「いや、俺は旅人、いついなくなるか分からない身だからね」

 

「そうか……、これからはどうするんだ?」

 

「取り敢えず、色んなことやってみるかね。何か仕事があればまた連絡下さいよー」

 

「ああ。夜は屋台をやるのか?どの辺でやるんだ?」

 

「大通りの辺りでやりますわー。あ、あとこれ、良ければお弁当です」

 

朝、チャチャっと作った木箱のお弁当を渡す。

 

「良いのか?お金は……」

 

「構いませんって。慧音さんみたいな美人は腹一杯食べなきゃ駄目なんですよ、幸せじゃなきゃ駄目だ。俺が許さない」

 

「そう、か。有り難くもらおう。夜も行くからな」

 

 

 

という感じで、慧音さんを窓口として、依頼された仕事をこなしつつ、夜は屋台を。

 

食材は十分にあるし、足りなくても外の世界に買いに行けば良いしで、問題なし。

 

さあやろう青空食堂。

 

大通りの空いてる場所にキッチンを展開、テーブルと椅子をそこらに置く。

 

今朝書いたメニュー(写真付き)をテーブルに置いて、さあ仕事だ。

 

物珍しさに釣られて人が来る。

 

「おう、兄ちゃん、何やってんだい?」

 

「店」

 

「……何のだ?」

 

「メニュー見ろや」

 

男相手なんで塩対応っすわ。

 

「お品書き、これか。……ほおー?外の世界の食い物も出せるのか?珍しいなこりゃあ。よし、それじゃあ酒をくれ、外の世界のやつを」

 

「どれ?」

 

「オススメはあるか?」

 

「んあー?おっさんなら、ビールかハイボールじゃねえの?」

 

これなあ、顔や仕草でなんとなくその人の好物を当てるの。

 

一流以上の料理人なら誰でもできる。

 

俺もできる。

 

「ビールか?!聞いたことはあるが、飲んだことはねえなあ……、じゃあ、ビールをくれ!」

 

「あいよ」

 

値段は大体1銭……、今の時代で言う所の百、二百円くらいで良いか。安くね?と思うかな?でも人里では、蕎麦なら一杯一、二銭で売られてたぞ。

 

ここ、幻想郷では明治初期頃で文化レベルが止まっているからな。

 

貨幣価値も一円が一、二万円くらいするし。

 

じゃ、仕事しようか。

 

中ジョッキのよく冷えたビールを出す。アサヒスーパードライである。俺の趣味だ。

 

「おお!これがビールか!……くぁーっ!!効くなあこりゃあ!美味いぞお!」

 

「お通しに枝豆だ」

 

「おお、ありがとよ。さぁて、お品書きは、と……、んー、沢山あり過ぎて選べねえなあ。あー、兄ちゃん、俺ァ晩飯まだなんだ。麦飯と、それに合う外の世界の食いもんをくれ。ビールに合うともっと良いぞ」

 

米にもビールにも合う食い物。色々あるが、唐揚げかね。

 

唐揚げ……、揚げ物は江戸時代くらいからあったが、鳥の唐揚げは戦後以降に流行ったんだよ。つまり、幻想郷にはない、と思う。

 

キャベツを切って、唐揚げを揚げる。

 

俺のアイテムボックスには、下拵え済みの食材がたくさん入っているからな。うん千トン単位で。

 

「おお、揚げ物か!何を揚げるんだ?」

 

「鶏」

 

「ほおー?鶏を揚げるなんて聞いたことねえなあ。美味いのか?」

 

「不味いもん人に食わせるかよ」

 

当たり前だよなぁ?

 

さあ、できた、食えやオラ。味噌汁と麦飯と漬物も食えや。

 

「おお、これが、唐揚げ……。いただきます、と」

 

二度揚げして、外はサクサク中はジューシーの唐揚げだよ。美味いに決まってる。

 

「……おおおー!!なんて美味いんだこりゃあ!!」

 

その声を聞きつけて、辺りで見ていた人々も次々と来る。

 

「ゲンさん、何食ってんだい?」

 

「やらねえぞこれは!俺んだからな!」

 

「い、いや、取らねえよ……。そんなに美味いのか?」

 

「美味えぞぉ!酒も唐揚げも最高だ!おお、この黄色い果実を絞るともっと美味え!」

 

「むむ……、おう大将!俺も飯まだなんだ、なんか作ってくれ!」

 

適当にメンチカツを揚げる。

 

「大将って柄じゃねえよ、旅人と呼べ。ほい、メンチカツ」

 

「お、おう。それじゃ、いただきます。ざくっ……?!!な、何だこりゃあ!なんて美味えんだ!!」

 

「そんなに美味えのか?」「いい匂いだ」「お、俺も!」

 

適当に在庫の食材を捌く。

 

「はい、ライスカレー、オムライス、エビピラフ、醤油ラーメン、肉じゃが、生姜焼き……」

 

五人くらいに分身して作る。

 

「おおー!」「妖術だ!」「すげー!」

 

不思議な妖術を使う、美味い、外の世界の酒と料理を出す飯屋。

 

雨天中止、開店時間は俺の気が向いた時。

 

屋台の名前は外来屋。

 

流行った。

 

それはもう、流行った。

 

「あっ!旅人が来たぞ!」「旅人さんよ、今日は店を開くのかい?!」「三日ぶりだ!」

 

「あー、はいはい、やるよ、やるから」

 

まあ、屋台の仕事で大人気で、一躍有名になれたしな。

 

それで、仕事の依頼も来るようになった。

 

順調、だが忙しい。

 

まあ、そんな訳で、噂の何でも屋旅人。

 

屋台には沢山の人が来る。

 

 

 

「あんた……、何やってるのかと思えば。随分な人気じゃない」

 

「おー、ここが噂の屋台か、霊夢?屋台ってか、青空食堂って感じだな。この音がする箱は分からないけど、これは電球で……、この椅子の材質も分からないなあ」

 

「魔理沙〜?キョロキョロしないの、みっともないんだから」

 

霊夢ちゃんと……、お友達かな?が来た。

 

「こんにちは霊夢ちゃん。お友達かな?」

 

「ええ、そうよ」

 

「は、はひ?」

 

ん?どうした?

 

魔理沙と呼ばれた金髪の女の子は、霊夢ちゃんを連れて離れた。

 

聞き耳<80>っと。

 

……「れれれ、霊夢!なんだあれ!物凄くハンサムじゃないか!」

 

……「そうね、顔も性格も良いわよ。女には弱いけど」

 

……「カッコ良過ぎだろ、反則だ!」

 

……「もう、だからどうしたのよ」

 

……「あんなカッコいい人初めて見た……、緊張する……」

 

……「平気よ、すぐ慣れるわ」

 

ふむ、そんなにイケメンか俺?APP18くらいだぞ?まだ人の領域のハンサムさだ。俺の知り合いにも俺と同じくらいのイケメンは多々いるしなあ。

 

「こんにちは、美しいお嬢さん。お名前を教えてくれるかな?」

 

「あっ、あ、き、霧雨魔理沙です❤︎」

 

「そうか、素敵な名前だね。本当に可愛いね、君は。好きになっちゃいそうだ」

 

「も、もう、そんな」

 

「俺は新台真央、旅人さ。君とは、仲良しになりたいな」

 

「ほ、本当?」

 

「もちろんさ、美人には嘘をつかない主義でね」

 

ちょろい。

 

「魔理沙ー、騙されちゃ駄目よ、女には誰にでもこう言うんだから、こいつ」

 

「そ、そうなのか?で、でも」

 

「ソンナコトナイヨー」

 

いや、美人にしか言わないから。

 

「さあて、お昼ご飯はー、と。うわ、お品書きが分厚い!あら?値段は?」

 

「俺の気分で決める。定食なら4銭くらいかな」

 

「いい加減ねえ……。ま、それくらいならまあ、懐も痛まない、か。さて、どうしようかしら」

 

霊夢ちゃんは写真付きお品書きを見て、熱心に選ぶ。

 

どうやら、大体どれでも4銭くらいと言う言葉から、なるべく高そうな料理を選ぶつもりらしい。

 

魔理沙ちゃんは、俺のことをチラチラ見ながら頬を染める。が、俺が見つめると慌ててメニューの方を見る。

 

「え?これ……、ビフテキ?!こ、これも4銭で売る気?!あんた馬鹿でしょ?!どう考えても採算取れないわよ?!」

 

「いいよ別に。霊夢ちゃんがお腹いっぱい食べられればそれで良いじゃん」

 

「ほ、本当?!後から値段を変えるのは無しよ?!」

 

「そんなことしないさ」

 

霊夢ちゃんはビーフステーキ、と。

 

「魔理沙ちゃんは?」

 

「えと、私はお刺身で」

 

「了解、と」

 

目の前に鉄板を出して肉を焼く。

 

刺身を切る。

 

「「おお〜!!」」

 

「お待たせしました」

 

「「早っ!」」

 

料理スキルやぞ。

 

「「いただきます!!」」

 

さあ、どうだ?

 

「んん〜!!おいひい!!こんな牛肉がたったの4銭だなんて!!」

 

「海の魚なんて久しぶりだ!幻想郷に海はないからな!!」

 

そうかそうか、美味いか美味いか。

 

二人はほぼ同じタイミングで食べ終えた。

 

そこに。

 

「デザートのアイスクリームです」

 

「こ、これって、あいすくりんじゃない!!こんな高級品……!!」

 

「サービスなんでタダで良いよ」

 

「流石に悪いわよ!」

 

「外の世界ではね、アイスクリームなんて一銭もあれば食べられるもんだよ。俺の懐は痛まないさ」

 

「う、本当?本当に良いの?」

 

「食べろ食べろー」

 

「じゃあ……、うわあ、甘くて美味しい!」

 

「あいすくりんなんて食べたことないぞ私……、お、おお、美味しい!」

 

あー。

 

美少女に美味いもん食わせるの好き。

 

楽しい。

 

生き甲斐。

 

シャオラ、明日も屋台やるかァ……。

 




明治の物価分かんねえええので適当。

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