ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

20 / 1724
三人目のクランメンバー、カイン加入。

基本的に異世界で人材発掘する話になると思います。


8話 依頼成功

クズ吸血鬼のカイン。

 

かつてこの地にあったエルスレムと言う国で恐れられた最強の吸血鬼で、数千年以上生きているらしい。

 

野心とかそう言うのは長い人生でとっくに失われ、今はただラクして楽しく生きたい、とのこと。

 

館や宝は勝手に恐れた人々に献上されたものだったり、気まぐれで集めたものだったりで執着はない、らしい。なので宝は全部徴収。館はヴァイオレットが混沌魔法で遠慮なく吹っ飛ばした。立派な館が一瞬で更地に。勿体ねえなあ。

 

因みに好みのタイプはお姉様系で人間でいうと三十代くらいの女に甘やかされることが好きらしい。聞いてないのに語ってきた。死ねば良いのに。

 

取り敢えずもらった宝の一部を換金して、百万ゼニー。依頼完了の届け出で百万ゼニー。

 

一気に大金持ちだ。

 

「いやあ、こりゃ暫く働かなくて良いな」

 

「本当に?やった、怠けられるぅ!」

 

「冒険者とやらになった意味はあるのか、全く」

 

無かったな。

 

「あのー、すいません。依頼終わらせたんすけど」

 

「はっ……?えっ?あの、謎の館破壊をですか?ああ、失敗したってことですよね?」

 

「いや、ぶっ壊してきました。ついでに、身分証明書がわりにこいつにも冒険者証の発行をよろしくお願いします」

 

「は?あ、はい?え?……ぶっ壊し、た?」

 

「百万ゼニーですよね?」

 

「えっと……、嘘は駄目ですよ?あの館はAランク冒険者でも傷一つつけられなかったんですからね?」

 

「いや、壊したんすよ。確認の人送るとかして下さいませんかね。あと、金も」

 

「た、ただ今確認します」

 

ギルドの受付が裏に消える。

 

ざわざわとし始める周り。

 

「あいつ、あの館を壊しただと?」

 

「私も全力で魔術ぶち込んだけど、全然壊せなかったのよ?」

 

「ホラ吹きやがって」

 

いやー、居心地悪ぅい。

 

「おい、テメェ!」

 

うへえ、来たよ。

 

「はい、すいませんすいません、これで勘弁して下さい」

 

千ゼニー程握らせる。百万ゼニーもらえるんだ、懐は痛まない。

 

「な、なんだよ、まだ何にも言ってねぇじゃねえか」

 

「いやすんません本当にすんません」

 

「あ、謝ってんじゃねえよ!と、兎に角!あの館を壊したってのは嘘なんだろ?!」

 

「すんませんー、マジすんまっせん、心の底からすんまっせん」

 

「聞けよ!!!」

 

いやー、怖いよなー、こういう新人いびりみたいなの。でも俺は日本で学んだ。平謝りしときゃなんとかなるって。それプラス賄賂だぜ?誰でも黙るだろ。

 

「何だ?」

 

あ、ヴァイオレット?

 

「あの館をただの新人が壊せる訳がねえ!ホラ吹いてんじゃねえぞ!」

 

「む、本当だぞ。全部破壊した。シグが結界を割って、私が館を吹き飛ばしたんだ」

 

「テメェ……、だったら証明してみろや!!!」

 

ヴァイオレットに拳を振り上げる男冒険者。

 

おいおい。

 

「そりゃ駄目だろ」

 

「な、テメェ、がぁあああ?!!」

 

ヴァイオレットに迫る拳を受け止めて、捻りあげる。素人なんで適当だが。

 

「女に手をあげるなとかフェミニストっぽいこと言う訳じゃねえけどよ、流石に美人の顔殴っちゃ駄目だろ」

 

「いぎゃぁぁぁ!!!放せ!放せぇあ!!!」

 

離してやる。

 

「ヴァイオレットも悪いかんな!こういう時には平謝りすんの!それが大人の対応なの!分かった?!」

 

「悪くないのに謝るのか?それなら私は子供でいい」

 

「んもー!」

 

そして、数時間後。

 

「か、確認しました!確かに館が消滅しています!」

 

「馬鹿な?!」

 

「嘘だろ?!」

 

「ありえねえ!!」

 

よし、あとは金だな。

 

「い、今からギルド長が銀行から引き下ろして来ますから、少々お待ち下さい!」

 

「うっす、あざまーす」

 

礼を一つ。

 

「よっしゃ、初の依頼成功を祝して飲もうぜ。すいませんエール一つ。ほら、お前らも頼め」

 

「では私も同じものを」

 

「僕はトマトジュースを」

 

と、酒を飲み交わす。

 

うーん、まあまあだな。やはり現代社会の酒を飲み慣れている身としては、ファンタジーな酒はそこそこって感じだ。

 

「酒とはこう言う味なのか。初めて飲んだな」

 

「トマトジュース、トマトジュース……、いや、赤ければ何でもいいって訳じゃないよ?でも気分的に赤いものは美味しく感じるんだよ、僕的にはね」

 

と、仲間と飲んだくれる。

 

しかし酔いが回らねえな、海獣の身体だからだろうか。

 

またもや数時間後。

 

「あの、お待たせしました、百万ゼニーです」

 

「うっす。ヴァイオレット、俺の代わりに収納魔法で持ってくれ」

 

「分かった。後で収納魔法を教えてやる、シグも覚えろ、便利だぞ」

 

「おう。じゃ、俺らはこの辺で。あざっした」

 

こうして俺達は、合計二百万ゼニーの資金を手に入れ、溢れんばかりの財宝も手に入れ、幸先のいいスタートを切るのであった。

 

こりゃ、日本に帰れる日も近いな。

 




ヴァイオレットは嫁、カインは賑やかし、シグナルはリーダー。次は魔法&技術担当が来ます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。