ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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残念ながら、なろう主人公のようななまっちょろい優しさはないです。


65話 ダンジョンで食事

今日はダンジョン十層を目指して頑張る!

 

五層までは前回と同じノリで攻略できた。

 

六層でモンスターをある程度倒した後、野営。

 

「その、ダンジョンって、安全地帯とかは……?」

 

「ないよ、そんなもの」

 

あー、この辺もハードコアかあ。

 

「まあでも、このアラームの魔法がかかった鈴をかけておくと、モンスターが近づけば分かるようになってる。あとは、交代で見張りだな」

 

見張りかあ……、まあ、夜更かしは得意だし、あんまり寝なくても平気だから、良いけど。

 

 

 

さて、六層の攻略をやっていこう。

 

六層はゴブリンとウルフが出るらしい。

 

「ウルフ?狼ですか?」

 

「ウルフと狼は違うぞ?」

 

「えっ?その、どの辺りが?」

 

「ウルフはモンスターで狼は動物だ」

 

「モンスターと動物って何が違うんですか?」

 

「魔石があるかどうかだな」

 

魔石!

 

ファンタジーだ!

 

「魔石ってアレですか、魔道具に使ったりとか……?」

 

「お、知ってるのか?そうだ、魔石は魔道具の動力源だ」

 

へー!

 

「魔道具、見てみたいです!」

 

「ん?あー、シンシア、見せてやれ」

 

「ん」

 

シンシアさんがランタン?みたいなのを見せる。

 

「これはライトの魔法がかかった魔道具。ゴブリンの魔石一つで三時間は光る」

 

おー!凄い!

 

……でも、燃費悪くない?

 

ってか、魔石剥ぎ取ってなくない?

 

「あの、さっきから魔石……、取ってないじゃないですか?」

 

「ああ、そうだね」

 

「あの、勿体なくないですか?」

 

「ゴブリンの魔石程度じゃ銅貨二、三枚が良いところだよ?低階層のモンスターから剥ぎ取ることは少ないね。駆け出しならまだしもねえ」

 

そうなんだ。

 

「でも、剥ぎ取る練習くらいはしておこうか」

 

「えっ」

 

「ほら、今倒したゴブリンの胸を裂くんだよ」

 

「う、ゔぉえ、うっぷ……」

 

グロいよー!!!

 

 

 

……胸の皮を剥がして、肋骨を砕いて、心臓を剥ぎ取り、半分に割ると中から出てくる。

 

「うゔぅ……」

 

「あー、血の匂いとか、慣れないと臭いからねえ。大丈夫かい?」

 

「アッ、大丈夫です……」

 

魔石……。

 

ゴブリンの魔石は、キャンディくらいの大きさの、マゼンダ色の石だった。

 

でこぼこだけど、カットすれば宝石でも通用するくらいに綺麗だ。

 

それにしても、うう、内臓グロかった……。

 

皮が、皮がべろんって!黄色い脂肪が!ううううう!!!

 

「お、ウルフが来たぞ!気を付けろよ、人間を相手にするのとは違うからな!」

 

あ、ウルフが来た。

 

ウルフは姿勢が低いから、攻撃が当たりにくいらしい。

 

その上、素早いので、初心者の鬼門とのこと。

 

でも私なら!

 

「えい!!」

 

『ガ』

 

首を斬り落とす!

 

楽勝だね!

 

「因みにウルフは毛皮が売れるんだ。冬なんかに売ると銅貨五十枚はするぞ」

 

そうなんだ。

 

 

 

七階層、八階層も同じような感じだった。

 

あ、ホーンラビットってモンスターも出たから、それも倒した。

 

「よし、飯にするか。折角ホーンラビットを狩ったんだ、食うよ」

 

「えっ、モンスターって食べられるんですか?」

 

「食えるぞ?」

 

「その、食べて良いものなんですか?宗教的に……」

 

カリーナさんの方を見る。

 

「おかしなことではありませんよ?」

 

アッ、そうなんだ、普通なんだ。

 

「ホーンラビットは普通のウサギより美味いんだぞー?角は薬になるしな」

 

へー、やっぱり美味しいんだ。

 

「焼いて塩かけて食うぞ」

 

イザベルさんが手早く捌いて、焚き火の前に鉄の串に刺して焼く。

 

そして。

 

「あ、美味しい」

 

ウサギってこんな味なんだ。

 

うう、うさちゃん可愛そう……。で、でも、モンスターだから。

 

「アッ、その、そう言えば、モンスターって仲間になったりしないんですか?」

 

「ん?テイムのことか?できるらしいぞ?アタシにゃ無理だが……、国はワイバーンをテイムして竜騎士隊を作ってるし……、冒険者でもウルフを連れてる奴とか割といるな」

 

へー!

 

良いなー、私もペット欲しいなー!

 

あっちではお母さんが世話しないから駄目って言うんだもん。

 

猫ちゃんとか飼いたかったのに……。

 

ていうか、猫ちゃんなら散歩とかしなくても餌としつけだけでオーケーじゃん!

 

なんで駄目だって言われたんだろう?どうせお金ないからとかだよ、きっと!

 

「ん?勇者サマもテイムしたいのかい?」

 

「アッ、そうですね、なんか可愛い動物とかいると良いですね」

 

「ふーむ……、このダンジョンの下層の方に、何か良いモンスターがいれば、テイムしてみたらどうだい?」

 

「えっ、どうやるんですか?」

 

「動けなくなるくらいまでボコボコにして、自分の魔力を流すか……、卵や子供のモンスターを攫って、小さいうちから躾けるかのどっちかだね」

 

あー、そんな感じかあ。

 

「じゃ、じゃあ、良い感じのがいたら、て、手伝ってもらえますか?」

 

「おう、良いさ!」

 

 

 

×××××××××××××××

 

「ふむ……、ダンジョンの下層に適当にうちの兵士でも置いてくるか?いや、どこかにお助けフェアリーでも配置しようか」

 

「了解。人員を選定しておく」

 

マリーは有能だな。

 

正直、なくてはならないレベルになっている。

 

換えが効かない駒は使いにくい故に、後進を育てるように言ってあるのだが……、後進を育てるスピードよりも早くこいつが有能になっていくからな……。

 

今のところ、俺の秘書を完璧にこなせるのはこいつだけだ。

 

 

 

それはさておき、と。

 

「……あー、このタバコはいけるな、どこのだ?」

 

「ジパング産、『八神』」

 

ほう。

 

俺はマリーとタバコの批評をしつつ、勇者の見物を楽しむ。

 

「……で?お前の見解は?」

 

「特にない」

 

そうかよ。

 

「興味なしか?」

 

「人間が数匹死ぬ程度、なんの問題もない」

 

「……生きてて楽しいか?」

 

「そもそも生きていない。私はリッチ」

 

屁理屈じゃねえか。

 

「労働環境的な意味での楽しみはある。知識の習得とご主人様との性行為」

 

殺戮には興味がねえのかよ。

 

「人が死ぬことに特別な感情は抱かない」

 

「まあ、良いか」

 

こいつは相変わらずだな。

 

セックスしている時以外に表情が変わるのを見たことがねえ。

 

殴ってもうんともすんとも言わねえからな。

 

その上無口で、仕事の報告以外では、セックスに誘う時くらいしか話さねえしよ。

 

身体も貧相だし。顔は良いが。

 

「まあ、うざってえ女よりはマシだな」

 

「……私は、ご主人様を愛している」

 

「クハハ……!おいおい、賢さが取り柄のお前が、随分と馬鹿なことを言うなァ?」

 

愛だと?

 

下らん、そんなものになんの価値がある?

 

「お前も俺の側にいると、更なる知識を得られるから従っているだけだろう?」

 

「違う、愛しているから」

 

「証明する手段もない、そんな不確かな感情の揺らぎに何がある?」

 

「本当に愛している。ご主人様の為なら全てを捨てても良い」

 

ふん……。

 

「仮に、愛というものがこの世に存在したとして……、俺はお前を愛してはいない」

 

「……ッ!」

 

お?

 

泣いた?

 

「ほう、お前は泣けるのか?死人が泣くとは面白いな」

 

「………………」

 

「どうした、何か文句でもあるのか?」

 

「嘘でも、良い」

 

「……何がだ?」

 

「愛していると、言って欲しい」

 

……ふん。

 

まあ、愛は理解できんが、愛着ならばある程度は分かる。

 

道具として見れば、こいつらモンスター娘は非常に有用だ。

 

今後とも末永くよろしくしておきたい。

 

だから、そうだな。

 

「愛しているとも、マリー」

 

「……ありがとう、あなた❤︎」

 

嘘の一つくらい、ついてやってもいいだろう。

 




傭兵的には、愛は、「そう嘯いておけば手下のモンスター娘達が精力的に働くから、取り敢えず愛していると言っておく」みたいな感覚。傭兵には愛情というものが全く分かりません。サイコパスだからです。

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