ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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今回はそう言う話です。


64話 異世界の事情

今日もダンジョン攻略。

 

取り敢えず十階層まで。

 

私とシンシアさんがアイテムボックスを使える分、荷物持ちを同行させる必要はない。

 

アイテムボックスにはトン単位くらいの物が入るので、実質、シンシアさんと合わせて数トン。

 

言うなれば、トラックを引き連れて移動しているようなものだ。

 

替えの服や雑貨、武器、食料なんかを詰める。

 

えーと、確か、昔見た映画での知識だけど、人間は一年で1トンの食料が必要らしいから……、四人で半年保つかな?ってくらいかな。

 

あ、アイテムボックスの中のものは、時間が止まっているから腐らないんだって。

 

まあ、お約束だね。

 

さて、荷物は旅慣れしているカリーナさんと、冒険者のイザベルさんが選んでくれたので、それを私とシンシアさんがアイテムボックスに収納する。

 

最近はその為の買い溜めをしている。

 

パン屋さんにわざわざ多目にパンを焼いてもらって、それを片っ端から収納。

 

燻製や塩漬けの肉、野菜、干物も。

 

他にも下着とか手拭いとか、簡単な武器や防具の手入れ用の工具、予備の武器や防具、食器や鍋、調味料に、野営に必要なテントや薪なんかも。

 

兎に角沢山の生活必需品を集めている。

 

それで、その、一番キツイのはね……。

 

この世界、生理用品がない……!!!

 

「あ、あの、イ、イザベルさん?その、月のものが来た時って、どうしてますか?」

 

「月のもの?何だいそれは?」

 

「あ、あの、女の人が、その、血が出る……」

 

「ん、ああ!生理かい?」

 

「うぅ、は、はい」

 

明け透けに言わないでよもう!

 

「それがどうかしたんだい?誰でもなるものだよ」

 

「えっ、血が……」

 

「イザベルさん!貴女って人はもう!勇者様、月のものは、亜麻布を股に巻くのです」

 

と、カリーナさん。

 

そ、そう言えばこの世界の女の人、みんな下着も履いてないからね?!

 

何せ中世的な異世界、ブラもパンティもない!!

 

私は……、その、男性用のズボンみたいなパンツを無理矢理履いてます。うう、ショーツが恋しい……。

 

「そうなのかい?」

 

「えっ、じゃあイザベルさんは、その、せ、生理の時どうしてるんですか?」

 

「どうもしないよ?」

 

「ど、どうもしないとは?」

 

「だから、何にもしないよ。血は出るもんだ、仕方ない。割り切るよ」

 

「ほ、ほら、具合とか悪く……」

 

「ああ、そうだね、昔毒を吐くモンスターに毒を吹き付けられたことがあるけど……、あの時よりはキツくはないからね。耐えられるよ。まあ、生理の時は大事をとって、冒険者としての仕事は休むね」

 

えええええ?!!!血、垂れ流し?!!!

 

「ゴブリンやオークなんかは、女の血の匂いに敏感だからねえ……。そんなんで森やダンジョンに行ったら面倒だよ?」

 

え?!何それ?!実体験?!!!

 

「まあ、そもそも、モンスターってのは血の匂いに敏感なやつが多いんだけどね、特に女の経血には物凄く敏感なんだよ。だから、モンスターを引き寄せる匂い袋なんかには、経血が使われていたりするんだ」

 

へ、へー?

 

イザベルさんは垂れ流し、と。

 

「その、シンシアさんは?」

 

「亜麻布を股に巻く」

 

そうなんだ……。

 

良かった、垂れ流しじゃないんだ。

 

「血が漏れる度にクリーンの魔法を使ってしまう」

 

まあ、そうだよね。

 

「因みに、月経時は魔力が大きく減衰する。要注意」

 

「え?そんなのあるんですか?!」

 

「ある。また、月経時は、体調不良故に魔法が安定しないことが多い。女魔法使いの弱点」

 

まあ、それもそうだよね。

 

私ももう重い時なんかは学校休むもん。

 

えーと、それでカリーナさんは?

 

「カリーナさんはどうしてますか?」

 

「亜麻布を当てて、家や宿で休みます」

 

「そうですよね、普通は」

 

「因みに、月経の時は教会に入れません」

 

「えっ?な、なんでですか?」

 

「不浄だからです」

 

えー?

 

「で、でも、月のものは必ず来るものですし、不浄とか言われても」

 

「アース教においては、女の穢れ、悪魔の仕業とされています。瀉血をすると月経が来なくなると言う説もあります」

 

「瀉血ってなんですか?」

 

「血を抜くことです。月経は女の病気の一つですから」

 

「い、いやいや!病気じゃないですよ?!む、むしろ、その、月のものが来ない方が病気だと思います!」

 

「そうなのですか?」

 

「は、はい」

 

そっか……、医学とかも発達してないから……。

 

みんなそんな感じなんだ。

 

「私の世界では、その、月のものが来た時は、その、ちゃんと子供を産めるようになったからって祝われるんですけど」

 

「初潮を祝われるのですか?それはまた、何とも……。こちらでは悪魔の訪れとして忌避されるので……」

 

うーん。

 

文化の違いかあ。

 

 

 

×××××××××××××××

 

「確かにそうだな、この世界ではそんなもんか」

 

「そーだぜー、女は毎月大変なんだ、労われよー?」

 

「テメーが発情期の度に死ぬ程ブチ犯す俺も大変なんだがな」

 

「でも楽しんでるから良いだろ?」

 

「まあな」

 

 

 

今日はグラースが来ている。

 

「獣人、鳥人、爬虫人類辺りは、毎月の生理に加えて、年に二、三回の発情期があるんだ」

 

グラースが言う。

 

「発情期は男女両方に来るぞ。滅茶苦茶大変だから労ってくれ」

 

知らんが。

 

「いや本当に……、セックスのことしか考えられなくなるんだよ……」

 

「確かに、発情期の時のお前は、麻薬を注射されたかのように理性を失っていたな」

 

噛み付くわ引っ掻くわで大暴れだ。ダメージはないが、それに毎年付き合うのは本当に面倒だからな。

 

何せ、こいつの発情期の最中は、全部の予定をキャンセルし、一週間程ずっとセックスしなきゃならない。

 

食事と排泄、睡眠以外の時間は全てセックスだ。人外の体力がなければ付き合いきれないだろう。

 

「獣人や鳥人、爬虫人は、パートナーが発情期に入ると、自分も発情期に入るもんなんだけどよ……、ご主人様は何ともないのか?」

 

「確かに俺は、獣人、爬虫人、悪魔を合成した種族だが、あくまでベースは悪魔だ。特に問題はない」

 

エルフやドワーフなどの亜人、悪魔、虫人、植物人、ゴブリンなどの鬼人なども、生理のメカニズムは人と変わらない。

 

マリーみたいな不死人はそもそも生理が来ないってよ。だが性欲はあるらしいが。

 

「毎回言ってるが、発情抑制剤飲めよ」

 

エデンにて、発情を抑える薬が開発されたはずだ。

 

「えー、あれ飲むとだるくなるんだよー、思いっきりセックスした方が良いってー」

 

ピルみたいなもんなのか?

 

「お前以外にもピトーネとブリッツとウーノも相手にしなきゃならねえんだぞ……」

 

「あー、やっぱあいつらも何だかんだ理由つけて薬飲まねーんだな?」

 

「ああ……」

 

「いーじゃんか、モテモテで」

 

「同じ女を一週間抱くのは飽きるんだよ」

 

「酷え?!」

 

「他の男に相手してもらったらどうだ?」

 

「いや、モンスター娘は基本的に、自分の旦那以外の男に抱かれることはないんだよ」

 

「うん?そう言えば浮気が話題になったことねえな……」

 

確かに、ハーレムを持つ男は多いが、浮気だ何だと言う話は聞いたことがない。

 

何でだ?

 

「自分の旦那以外をその、性的な目で見れなくなるんだよなー」

 

「何だそれは」

 

「いや、上手く説明できないんだけど、なんつーかフェロモン?的なアレだと思うぜ?自分の旦那以外の匂いが、こう、臭くなる?みたいな?」

 

そうなのか?

 

「そうだなー、自分の旦那以外の男は……、こう、親父とか男の兄弟とかみたいな感じになるんだよな」

 

ふーむ。

 

そう言う種族特性がある、と言うことか?

 

通りで人妻に声をかけても釣れない訳だ。

 

「モンスター娘はそう言う生き物なんだな」

 

そう納得しておこう。

 

この世界はファンタジーだからな、説明できないおかしな進化を遂げたってことだろう。

 




最近もう一週間くらいずっとラーメン食ってる。

いかんいかん、痩せねば。

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