ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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序盤は仲間を増やすパートです。駆け足で行きます。


7話 初めての依頼

依頼:謎の古い館の取り壊し

 

ランク無制限、失敗時の違約金はなし。15番街郊外にある古い館の取り壊しを望む。成功者には百万ゼニーを払う。もう本当に誰でもいいから兎に角壊してくれ。サングリア王国都市開発部より。

 

「あの、お姉さん、この依頼ってさ」

 

「あー、これですか……」

 

話を詳しく聞いたところ……。

 

土地開発の邪魔になっている、誰にも壊せないほど強力な結界が張られた謎の古い館があるそうだ。下手したら王国が成立する前からあるらしい。それでその結界は兎に角硬い。レベル4の属性魔法でも傷一つつかなかったそうだ。

 

「まあ、記念に挑戦する冒険者の方も多いですし、危険もありませんから、やってみるのも悪くないんじゃないでしょうか」

 

「じゃあやりますわ」

 

「あ、武器が壊れたなどの苦情は受け入れませんので」

 

「うーっす」

 

さて、行くぞヴァイオレット。

 

 

 

「ふむ、多重防御結界だな。それも私を封印していた結界と同じくらい古い」

 

結界に触れたヴァイオレットが呟く。

 

「んじゃ、いっちょやるか」

 

「できるのか?私が混沌魔法で吹き飛ばしてやっても良いが?」

 

「いや、自分の最大火力が知りたい」

 

「まあ、好きにしろ」

 

さーて、ぶっ放すっかー。

 

利き手の左手に力を集中。

 

触手化、先端に海獣の角を付けて回転させる。

 

そして全身のバネを使って、渾身の突きを放つ。

 

「デス・ツキ!」

 

すると、ガラスが割れるかのような音と共に、結界らしきものは砕け散った。

 

「それは何だ」

 

「折角だから必殺技作ってみた。この世界は剣と魔法の世界。すなわち中二病。みんな中二病の中で俺だけが大人のムーブ見せたら逆に浮くじゃんよ」

 

「?、分からんが、必殺技か。そういうのは良いぞ、一つ二つ必殺の技くらいなきゃな。私の混沌魔法も必殺技だ」

 

さーて、ぶっ壊す……、前に館の物色でもするか。

 

取れるもんは取っておこう。

 

え?窃盗?

 

ほらあれだ、勇者が一般家屋を家探しするみてーなもんよ。合法合法バレなきゃヘーキ。

 

館の中に入る。

 

内部は埃一つなく、高貴ながらもどこか不気味だ。肝試しみたいでちょっと楽しい。

 

そして、寝室らしき部屋に入ると。

 

「おいおいおーい、あっからさまなフラグぅ」

 

怪しい……、これでもかってくらい怪しい棺桶があった。

 

「怪しい、怪しいぞ。あからさまなフラグ。こんなものを見せられて黙っているやつは男じゃねえ」

 

「何言ってるか分からんが、開けるのか?」

 

「モチのロンよ。オープン!!!」

 

すると中にはっ!

 

美少女吸血鬼ぃやあああああ!!!

 

「男やん」

 

男じゃーんかよーーー!!!

 

「んっ、ふぁぁ……。あ、おはよう?」

 

「おう、おはよう」

 

「おはよう」

 

俺とヴァイオレットが挨拶する。

 

さて、男……。

 

男と言うには少し幼い。白い髪をショートカットにし、紅く鋭い瞳。病的なまでに白い肌。背中には蝙蝠の羽。

 

「てめー、吸血鬼か」

 

「ああ、真祖吸血鬼のカインだ」

 

真祖、ねえ。

 

「にしても、男の血は不味いんだけどね」

 

少し考え込んでいるその時、首筋に噛み付かれた。油断していたのであっさりと。

 

「ぢゅう、ぢゅる、ぢゅるる」

 

クソッ、やばい死……、なねえな。吸われる量と血液を再生成するペースが釣り合ってる。結果俺の血は減らない。

 

「ぷはあ。いや、驚いた。男なのに君の血は美味いね。昔飲んだ……、そうウォータードラゴンの血を濃くしたみたいな。凄く美味しい」

 

「てめー、殺す気で吸ったろ」

 

リッター単位で吸いやがったぞこいつ。

 

「いや、殺すつもりなんてなかったけど……?さっきまで長く寝ていたから、空腹を抑えきれなかったかも」

 

「許さん」

 

「そう怒らないでよ。そうだ、お礼に僕の宝をあげよう」

 

「根こそぎもらうわ」

 

「構わないよ。僕的には宝とかに執着はないし。でも、根こそぎと言うのは少し酷いんじゃないかな」

 

「じゃあどうする?殺し合う?」

 

やっちゃいますか?二対一だぞ?お?やんのかこのやろー!

 

「んー」

 

徐にカーテンを開くカイン。

 

「うわあ、見たことない街並み。エルスレムは滅んだのか……。うーん、となると、僕の居場所はない、のかぁ」

 

こちらに向き直り、言った。

 

「そうだ、君達、僕の眷属になってくれない?男には興味がないし、そっちの女も僕の好みのタイプじゃないけど、この際わがままは言わないよ!僕のために働いてくれないかな?」

 

「死にたいのかクソガキ」

 

「断る」

 

当然お断り。

 

「そうか、じゃあ……」

 

お、殺し合いかー?

 

「逆に僕が君の部下になると言うのはどうだろう?」

 

「……プライドとかそう言うのは?」

 

「怠けられるならどーでも良いよ僕は!」

 

とんでもねえクズだな、こいつ。

 




クズ吸血鬼カインが仲間になった!!

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