ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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仕事は期限ギリギリになって焦ってやるタイプです。


55話 初めてのモンスター

「成る程なあ、勇者サマは賢いんだな」

 

「アッ、いえ、そんなことないですよふひひ」

 

私なんてまだまだですよ本当に。

 

「っと、そろそろ街外れだからな、いつモンスターが出てもおかしくないぞ」

 

「は、はいっ!」

 

「ん?ああ、緊張すんなって、勇者サマ!街の近くだから、そんなに強いモンスターは出ねえよ!それに、アタシ達だっているんだから、心配しなくていいよ!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

うおお、心強いぜー!!

 

 

 

「っとお?ゴブリンだ!八体はいる!勇者サマは自分の身を守ることだけ考えろ!行くぞ!」

 

「了解」

 

「はい」

 

三人は馬車から降りて、迎撃に。

 

私は……。

 

一応、馬車の外に出たけど。

 

「いぃやぁ!!!」

 

「えいっ!」

 

「ストーンバレット」

 

み、みんな戦ってる。

 

あ、一体こっちに来た。

 

えーと、えーと。

 

斬らなきゃ。

 

え?

 

分かんない。

 

倒さなきゃならないんだよね?

 

『斬って下さい、マスター!』

 

インドキロスの声だ。

 

そうだ、斬らなきゃ!

 

殺さなきゃ、殺されるんだ!!!

 

「う、うわあああああ!!!」

 

『ギィッ?!!!』

 

 

 

「っ、は、あ……、た、たお、した?」

 

振り返る。

 

そこには。

 

脳天から真っ二つになり、内臓をぶちまけているゴブリンが。

 

「うっ」

 

「大丈夫か勇者サマ!」

 

「ゔぉええええええっ」

 

吐いた。

 

 

 

グロ過ぎもう無理マジ無理……、無理。

 

「大丈夫か?」

 

「いえ……、ダイジョブです」

 

「嘘つけ、真っ青だぞ?!」

 

「いやホント、ダイジョブですから……」

 

「……もしかして、モンスターを殺すのは初めてか?」

 

「……はい」

 

「ははは、なら仕方ねーよ、私だって、初めての時はビビって漏らしたしな。あっ、これは秘密だぞ!誰にも言うなよ?!」

 

「はい……」

 

「そのうち慣れる、ってのは乱暴か?」

 

「いえ、その通りだと思いましゅ……、ううっ」

 

「……まあ、アレだ。最初に斬ったのが人間じゃねえだけマシだよ」

 

まあ、それは、そうかな。

 

「イザベルさんは、人間を、殺したことが?」

 

「ん、ああ、あるよ」

 

………………。

 

「私の国では、殺人なんて滅多にありませんでした」

 

「ああ、平和なところなんだろ?」

 

「みんな、病気とか、事故とかで死ぬんですけど。私、生まれて、初めて、こんなにたくさんの血、死体を」

 

「分かった、分かった。もう大丈夫だからな」

 

「あっ……」

 

イザベルさん……。

 

あったかい……。

 

「……新人の冒険者なんかはな。初めての依頼の時なんか、ビビっちまって、今の勇者サマみてえになるやつがいっぱいいる。アタシだって最初はビビった。変なことじゃねえよ、な?」

 

「あ、ありがとう、ございます……」

 

「よしよし、大丈夫だからな」

 

イザベルさん……、優しい。

 

お姉さんがいたら、こんな感じなのかな。

 

「さ、先に進もうか?無理そうだったらアタシに任せろ!仲間だろ?な?」

 

「……はいっ!」

 

 

 

×××××××××××××××

 

「はっ、随分と腑抜けなんだな」

 

今回来ているのはグラースだ。

 

「日本人なんてそんなもんだ」

 

「そうなのか?」

 

「ああ、あの国は他人に殺されるより自殺する人間の方が多いからな」

 

「なんだそりゃ?!逆に怖えよ?!!」

 

突っ込みを入れながら、二人で3ポンドステーキを食う。

 

グラースは適当にナイフとフォークで食っている。この世界でマナーがどうこうと講釈を垂れるつもりはない。俺を不快にしねえ程度の礼儀作法がありゃいい。

 

「もぐもぐ……、ご主人様の国はどうだったんだ?やっぱり、ご主人様みてえに勇敢な男がいるのか?」

 

「俺に国家という帰属意識はないな」

 

「は?」

 

「あー……、俺は、まあ、捨て子なのかなんなのか分からないが、物心ついた頃には、ベトナムの少年兵だった」

 

「えーと、つまり、自分がどこの国の人間か分かんねえのか?」

 

「そうだ」

 

「で、気づいた頃には兵士だったと?」

 

「そうだ」

 

「へえ……、それで?誰に仕えていたんだ?」

 

「誰にも仕えたくなかったから、上層部を皆殺しにして組織を乗っ取った」

 

「ははははは!そりゃ凄え!ご主人様はそうだよな!誰にも従わねえもんな!カッコいいぜ!それでこそ俺が惚れた男だ!」

 

まあ、俺の教導をしていた兵士が言うには、親は日本人とユダヤ人だったらしいが。

 

本当か嘘かは分からんが、見た目が周りと違うって差別されてたな。

 

まあ、皆殺しにしたが。

 

 

 

「てかこの肉美味くね?どこの肉?」

 

「ジパングの和牛だ」

 

「あー、ジパングかー!あそこは飯が美味いからなあ!」

 

ほう。

 

「行ったのか?」

 

「俺みたいな政府の重鎮は、視察だなんだと理由つけて、城のゲートから転移できるからな。そん時に、観光ついでに見て回った」

 

「ジパングはどうだ?」

 

「飯が美味えな。あと、城が変な形してて面白え。あとは、試作の自動車を見てきたぜ」

 

そうか。

 

「特に揚げ物とかヤベーな。病み付きだ。あっ、でもアルカディアの飯も美味えんだよなー」

 

「……そういやお前、仕事サボってアルカディアの全国料理大会の審判員しに行ったらしいなァ?」

 

「さ、サボってねーし!あれも仕事だし!」

 

まあ、それくらいなら別に構わねえよ。

 

しっかり働いてるみてえだしな。

 

グラースは休むべき時に休める奴だ。

 

休むのも、兵士にとって重要な才能だからな。ストレスのコントロールは大切だ。

 

ロールパンを齧るグラース。

 

「んー、美味えなー」

 

品はねえが見てくれは良い女だな、相変わらず。

 

 

 

「で、こいつらどうすんのよ、ご主人様?」

 

「ふむ、勇者の知識は必要かもしれない」

 

「へー」

 

「洗脳でもするか」

 

「んー?でもアレ、人格ぶっ壊れるんじゃなかった?」

 

「いや、アレを使えば壊さずに洗脳できる」

 

「アレ?」

 

「アレだ」

 

「あー……、アレ?」

 

「そうだ」

 

「ふーん……。じゃあ、殺さない方が良いんだな?」

 

「まあ、そうだな。死体は持ってこい」

 

「勇者以外の三匹は?」

 

「殺……、いや、そうだな、捕らえろ」

 

「ん、分かった」

 

「だが、積極的に攻めてこないなら別に構わねえよ」

 

「うん。……ご馳走さま。さて」

 

なんだ?

 

「ヤりてえ!」

 

「クハハ、ムードもクソもねえな」

 

食欲の次は性欲かァ?

 

分かりやすくて良いな、雌犬。

 

「だってよー、最近ヤってねーじゃんかー。セックスしてえんだもんよー、セックスー」

 

「良いぜ、やってやる。一晩中犯してやるからな」

 

「あんっ❤︎当たり前だろー、あー、早く孕みてえなー」

 




ポンドステーキとか今もう食えないんだよなあ。

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