ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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あーつらい!

金がない!


40話 政商

アスレッド王都への移動中。

 

「ギャおお?!」

 

「おー、肉だ」

 

突っかかってきた熊のモンスターを両断して、解体して肉にした。

 

モンスターは獣と違って、積極的に突っかかってきてくれるので、殺すのが楽で良い。

 

例えば、本物の動物の熊ならば、縄張りを持ち、そこに人が近づいてくると怖がって、縄張りを守るために攻撃してくる。

 

しかしモンスターは基本的に、人であれなんであれ、食えそうなものならなんにでも襲いかかるのだ。

 

人の味を覚えた獣って言うか……、とにかく攻撃性が高いってことだな。

 

他にも、モンスターの心臓付近には、結晶化した魔力の塊である「魔石」なるものがあるってのも判別方法の一つらしいが……、まあ、向かってくる奴は全員モンスター扱いで良いんじゃないかな。盗賊?人型のモンスター!みたいな。

 

しかし、そんな感じの違いも面白いなと思えるな。

 

ヴォルスランドでは、動物とモンスターの違いがそんなになかったから。

 

……ああ、ヴォルスランドはよくあるなろう系ファンタジーではなく、オリジナルな世界観を持つ重厚なファンタジーだったからな。

 

ゴブリンやオークみたいな、そういうのはいなかった。

 

代わりに、暗黒の神の力で狂った地底人の一種『ヴォーグ』や、大型の類人猿のような種族の『洞窟トロル』、そして街道付近には『オオカミ』や『サーベルタイガー』などが出た。

 

他にも、動物の『グリズリー』や『マンモスゾウ』は普通に強いし、河川には『ババゴラ』、戦場跡にはゾロゾロと『ウェイカー』共が湧いたものだ。

 

出てこられて一番困る存在は、一つ目の鹿の頭を持つ巨人である『フィーンド』で、『ドラゴン』が村や町に降り立つのは天災とされていたな。

 

……なお、プレイヤーレベルに合わせて難易度を上げるMODを導入していたので、俺のヴォルスランドには毎週数十匹のドラゴンが火を吹きながら街を焼きにきて、変異種フィーンドがスクラムを組んで攻め込んできて、レベル300くらいの盗賊団がちょっとした軍隊規模で現れる感じだった。この世の地獄かな?

 

まあとにかく、この世界では動物とモンスターは違うらしい。

 

しかし、モンスターも殺してしまえば、動物と同じように食肉や革として活用できるのは同じ。

 

熊のモンスターの肉はこの晩に、生姜で煮込んで和風の煮込みにして、皆で食べた。

 

 

 

はい、アスレッド王都。

 

英雄である俺に手を振って歓声を上げる街の住人達に、同じく手を振り返してやりつつ、俺は王都の広場に馬車を駐車した。

 

一瞬、アスレッド王に御用商人についての相談をするか?などとも思ったが、中世ヨーロッパ風ファンタジー世界とはいえ、アポ無しで王様のところに行くのも良くないかと思い直し、自分で探すこととした。

 

で、ここは王都。

 

王都は、バームクーヘンよろしく、多くの城壁が多重に広がっており、その内側ほど安全だ。

 

そして、安全な内側には、貴族やそれに連なる大商人、あるいはインテリである魔術師や学者が住んでいる……。

 

相変わらず薄汚れて悪臭漂う城塞都市だが、中心街ということもあり、多少は煌びやかだな。

 

汚物の類も奴隷に片付けさせているし、豚の放し飼いとかもしていない。

 

建物も多くが煉瓦製で、防犯的にも良い印象だ。

 

やはり、国の上層部の人間が住むだけあって、豪華さと何より堅牢さを感じられるな。

 

……まあ、隠しきれていない汚臭を、香を焚いて誤魔化したりはしているが、死ぬほど臭い訳ではないのでセーフとしよう。

 

そんな街を俺は、嫁を引き連れてしばらく歩く。

 

そして、商店らしき店を見つけると、ごちゃごちゃ言わずにとりあえず入店してみた。

 

一応、店構えが露骨に華美過ぎない、気品がある店を選んだつもりだ。

 

「こっ、これはこれは!英雄様ではございませんか!」

 

太った中年が揉み手で現れた。

 

ガモン商店、だそうだ。

 

えーと、この世界の貴族らしい態度で……、武断的で、傲慢に。

 

「俺の領地に商人が欲しい。人はいるか?」

 

こんな感じか?

 

いきなり上から目線で用件を単刀直入に、ってな感じで。

 

「は、ははあっ!了解しました!」

 

怯えながらも、どこか俺を侮った態度の商人。

 

どうやら、「商売の話なんてどうせわからないだろうし、うまいこと説得してとっとと帰ってもらおう」って感じの雰囲気だ。

 

そうだよなあ、普通こうなるよなあ……。

 

……んー、やっぱやめだ。

 

性に合わない。

 

合わせるところは合わせて、俺のやり方を通したいところは通す。

 

それでいいだろう。

 

キャンセルボタンはないが、仕切り直り。

 

俺は咳払いをしてから、一言。

 

「急な話で悪いな。だが、これはそっちにも得がある話だ」

 

「えっあっ、は、はい、はあ?」

 

うお、すごい狼狽えてるな。

 

貴族様は、卑しいとされている商人に対してこんなに下手に出ないもんな。

 

いつぞやのアーデルハイト姫のように、「高貴なる貴族の私の言うことを聞けるだけで幸せでしょ?」みたいな態度がデフォみたいなところがある。

 

そんなんだから反乱軍なんてもんができるんだぞ、そういうところだぞ……、とは思うが、そんなもんだろう。理性的な統治者なんて、それこそ俺の知る地球にも多くはなかった。

 

「まず、俺の封土……サスボーンだが、七つの村と砦が一つ、人口は一千人程度のところだ。一千人に物を売れる立場になれるのならば、販路を広げる価値はあるよな?」

 

「……はい、それはもう」

 

少し悩んだような、困惑したかのような顔をした店主の中年親父は、カクカクと頷く。

 

「そして、もしサスボーンに人を寄越してくれるのならば、店の建物はこちらで用意してやれる。領主である俺との取引も、来てくれた商人と優先的に行うだろう」

 

「そ、れは……、御用商人に、と言うことでしょうか?!」

 

「そうだ。だからこそ、下手な奴を寄越すようなら、その時点で斬り捨てるが……、逆に言えば飛躍のきっかけにもなり得る」

 

「な、な、なんと!」

 

「俺はこの話を、何人かの商人に持っていくつもりだ。そして、より良い条件を出せる商会を、一つだけ選ぶ。……分かるな?」

 

「わ、分かりました!直ちに調整させていただきます!」

 

うんうん、そうだよ。

 

上から目線で全部命令するより、メリットを提示して交渉してやった方が、「折角交渉で掴み取った立場なんだし」と離れにくいパートナーが手に入るってもんだ。

 

命じられて嫌々ってのよりも、交渉の結果自分で勝ち取った御用商人の立場なら、サスボーンに居着いてくれる……んじゃねえかな?

 




よし、設定を更に考えてきたぞ。

人類が地球から飛び出て、全人類が宇宙に適応した新人類になるくらいの遥か未来の話。

宇宙は、銀河連邦と宇宙帝国に勢力を二分され、更にそこに宇宙怪獣や外宇宙敵性体(BETAみたいなの)が現れて入り混じる、クソみたいなカオス状態にあった。

主人公は、テラ星系で生まれた人間で、成り上がりを求めて銀河連邦軍に入隊する。

銀河連邦軍における入隊テスト及び、軍学校での成績は、有志始まって以来と言えるほどの好成績。非公式にだが、軍から出向してきた元軍大将を戦術シミュレーターで打ち負かすなどして、将来を嘱望されていた。

しかしよりにもよって、入隊適正テストの精神診断でこの世の終わりみたいなサイコパス判定を下され、適性検査をした精神科医がストレスで自殺するなど一悶着あり……、最終的に主人公は、テラ星系帯全体から集められた有能なサイコパス凶悪犯を軍隊にぶち込んだという「懲罰部隊」の隊長に任命される。

んーしかし、上層部の思惑やら何やらを他所に、サイコパス共はサイコパス同士で勝手に仲良くなり、この特殊工作部隊という名の懲罰部隊は、敵国である宇宙帝国の惑星を七つほど破壊し一千億人ほどぶち殺すという大金星(最悪)を挙げてしまう。

銀河連邦軍最高級の功績ではあるが、宇宙国際法を完全に無視した殺戮行為が複数と、その手口の残虐性から、最終的に部隊のメンバーごと最新式開拓宇宙船に乗せられて外宇宙に追放される。

まあ追放って言っても馬鹿みたいな高性能でデカい船を貰ってるし、軍隊のサイボーグボディもそのままだしお得ではあり、一応、任務として「外宇宙の調査及び、使えそうな惑星の先行確保、そして開拓」をやれって言われてて、しかも規約とか特になしのフリーハンドなので楽っちゃ楽。

そしてしかもこいつら、本当に資源に溢れていて、未開人ばっかりの都合がいい惑星を見つけるんだからヤバいよね。

はい。

で、見つけた惑星はファンタジー。

人間は元より、エルフにドワーフ、獣人と色々。モンスターも出てて、中世ナーロッパな文明。

しかしこの惑星が凄いところは、まず惑星の環境がほぼ地球と一緒!環境汚染されてない緑の惑星とか最高級だ!

そして何より、「魔石」がザクザクとれること!

この星で魔石と呼ばれているエネルギー体は、宇宙共通の貨幣でありエネルギー源の超物質「エネルゴン」と全く同じものなのだ!

エネルゴンは、まあ言ってしまえば物質化したライフストリームの濃縮物みたいなもんで、銀河連邦では使わない惑星からエネルギー全部吸ってエネルゴンに変換するなどをしている。その場合でも、得られるエネルゴンは数トン程度。

だがこの惑星では、埋蔵量何十トンという魔石(エネルゴン)鉱山がその辺にいくつもあって、しかもこの星の生命体は生きているだけでエネルゴンを体内に濃縮する機能まであるではないか!

主人公は思った……。

「アレ?これ、銀河連邦に帰還してこの星渡すより、俺がこの星の王になった方が億万長者になれんじゃねーの?」と……。

そんな訳で始まる、ファンタジー世界征服活動!

つまり!

汚いケロロ軍曹だ!!!!

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