ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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バイオやってまーーーす!


28話 実績:口論巧者

愚かにも、子供を守ろうとして隙を晒す勇者ラディアス。

 

そこを容赦なく攻撃する俺。

 

側から見ると俺は完全に悪役だが、勝負において他人の命を守ろうだとか、そういう「純度」を下げるような真似をする方が悪いと俺は思っている。

 

メインクエストを達成するのに精一杯の奴が、サブ目標もついでに達成しようなんざ舐めてるとしか思えないからな。

 

「真面目にやれよ、殺し合いだぞ?」

 

「ッ!!」

 

迫る大剣。

 

勇者は死ん———。

 

 

 

「やらせない!」

 

 

 

瞬間、強い衝撃が、俺の側頭部に響く。

 

ボウガンか何かだな。

 

振り向くとそこには、大型の斧。

 

それを籠手で受けると、側面から雷光の魔法。

 

こいつらは……。

 

「子供を狙うなんて……、卑怯よ!」

 

「勇者は俺が守る、そう言う契約なんでな」

 

「……貴方みたいな人に、私達は負けない」

 

ボウガンを構えた赤毛ツインテールの女レンジャー。

 

大斧を担ぐ傭兵風の大男。

 

大きな魔女帽子にローブのロリ魔女。

 

なるほど、「勇者パーティ」ってところか。

 

面白いな、勇者パーティ。なんか変に特徴がある男女だ。

 

そしてこのタイミングの良過ぎる妨害……。

 

こちらとしては、そこまでやる気を出している訳ではなく、あくまでも「実力の底や手札は極力隠しつつ」と言う方針でやっているので……、つまりはハンデがある状態なので、ってのは言い訳になるかね?

 

そうだとしても、バニラのヴォルスランドでなら一流かなーって「程度」の雑魚である勇者を、俺が仕留め損なうとか、あり得るのか?

 

MOD特盛の環境でやっている俺からすれば、バニラで一流の戦士とかゴミだぞ。レベルシンクMODとかでその辺の盗賊団もレベル300くらいあるからな。ヴォルスランドの治安はもうボロボロ。

 

とにかく、こうも作為的なものを見せられると、何らかの神の介入って可能性があるなと疑ってしまう。

 

神はやめてほしい、殺すのがクソめんどくさいからな。

 

殺せない設定の神を殺すならば、設定をぶち破るほどの……、かなりの工夫(グリッジ)が必要だし。

 

うーん、どうするかなあ。

 

ちょっと無理してでも殺した方が良いのだろうか?それとも、実は何かしらの重要クエストの導線になる殺せないタイプのNPCとかで、無理して殺さない方が良い存在なのか?

 

ジャーナルは相変わらず何も答えてくれないし……。

 

まあ、そうだな。

 

「俺から逃げられたらクエストギバーってことで……」

 

とりあえず、普通に殺すから。

 

もしも俺から逃げられるみたいな奇跡があれば、「殺せないタイプのNPC」……、つまりは「運命に守られた存在」と認めるってことで。

 

俺は大剣を振り上げた。

 

ドキドキの魔女裁判の始まりである。

 

 

 

「運命の加護がお前らにあるのか?俺はそれを知りたい」

 

「何を……ッ?!」

 

「死んだら、それまでの存在だった、と言うことだ。納得してくれ、戦士ならば」

 

「子供を狙う奴が、戦士などであるものか!!」

 

勇者パーティとレスバしながら戦闘。

 

ロザリアは雑魚散らしに専念してもらう。

 

まずは、俺が勇者パーティがどんなもんなのかを体感したいからな。

 

「ヌぅん!」

 

俺は、思い切りに踏み込んで前進し、大剣の鍔を押し付けるような形でのぶちかまし……体当たりを放つ。

 

「お、ラァっ!」

 

「はああっ!」

 

それを、傭兵風の男が大斧をぶつけて弱め、そのほんの少しの減速に合わせて、勇者が剣で斬りつけてくる。

 

「おおあ!」

 

「そこっ!」

 

「『サンダーボルト』!」

 

ならば、と。

 

タンク役……攻撃を受け止めようとしてくる傭兵男から優先して殺そうと大剣を振り下ろせば、背後からちくちくとボウガンのボルトや魔法がぶつけられる。

 

なるほど、俺これ知ってる。

 

チームワークって言うやつだ。

 

「それほどの力がありながら、何故!」

 

勇者の鋭い斬り込み。

 

ヒーターシールドを前に出して、その陰から居合術のように剣を振り抜く小細工付き。

 

「主語がねーんだよ主語が。まあ言いたいことは分かる。『何で正しいボクたちの味方をしないんだー!』だろ?」

 

俺はそれを読んで、大剣の長い柄で弾く。

 

殆ど力を入れずとも、頑丈な大剣のどこかしらに当たれば防げるし、どこかしらを当てたら確殺できるので気持ち的には楽ではあるな。

 

「正しさが分かっているのなら!」

 

「そりゃお前らにとっての正しさだろうがよ。人に押し付けるな気持ち悪い」

 

キモいわー、独善的ってこういうのを言うんだろうな。

 

「貴族達が何をしているのか、分からないのか?!」

 

「いや知ってるけど。でも俺も貴族側だし、何で貴族側が不利になるような提案をそのまま呑まなきゃいけない訳?交渉エアプかよ」

 

俺から言わせりゃ、争う前にお互いに利益がある落とし所を話し合いで探るべきだったね、ってところだな。

 

戦乱の世になれば、こうして無辜の民草が一番苦しむのなんて考えなくても分かることじゃん?こうなる前にやれることあったんじゃねーの?って感じ。

 

で、横合いから飛んでくる火球の魔法を弾いて、同時に下を向いて額を前に。兜のバイザーでボウガンのボルトを防ぐ。

 

「恵まれた者が、そうでない者に分け与えるのは、生き物として当然のことだ!」

 

「はえー、コミーかな?世界の全てに平等に分けたら全員が飢え死にする程度の富しかないこの世界で平等分配とかアホ過ぎ。そんなことするなら、貴族という特権階級に富を集めて強くして、その力で世の中を守らせる方がマシだろ」

 

「その、人々を守るべき貴族が横暴なんだ!」

 

「話聞いてた?貴族が守るべきは人そのものじゃなくて世界だっつったろボケ。世界ってかまあ、機構ね」

 

「人々は今泣いているんだ!仕組みを守ってどうする?!」

 

「スーパーコーディネーターみたいな論調キモいからやめてくれや。そんなん言われても、貴族にリソースを注ぎ込んで頑張って良い発明や良い戦士を作ってもらい、徐々に世の中を良くしていくしか方法はないだろ常識的に考えて。早漏はこれだから困る」

 

傭兵男の大斧が頭に叩きつけられるも、頭を強く振って、兜の角で弾く。

 

しかし勇者が光の魔法光線を放ってくるので、俺はそれを大剣を盾にして弾き、返す刀で暗黒の斬撃波を飛ばして返す。ここまでは見せて良いだろう。

 

「そうやって切り捨てられる側の意見は無視して!そんなことは許されない!」

 

「許す許さないはお前が決めることじゃねえなあ。ってかそうじゃなきゃどうすんの?貴族皆殺しにして、統治のノウハウがない無学なノーミンが何できんの?この世界はモンスターに常に脅かされているんだから、上等な騎士が常に必要なんだぞ?お前らのその、みんな仲良く貧乏になる世界で騎士が作れんのか?先があるのか?」

 

「そ、それは!」

 

「言い淀んだ時点でお前らの負けだよ」

 

俺の鋭い蹴りが、勇者の脇腹を捉えた。

 




バイオハザードヴィレッジを始めた。

……けど不思議なことに、ゾンビものを書こうとは思わなくなりました。このゲームが最早ゾンビものじゃねーからです。

まあ怖いけどね?なんかこう、違くない?

いや面白いよ?ゲーム性的な話も、ストーリーも。

でもこれゾンビゲームではなくない????

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