ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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カレーうまい。


18話 実績:アスレッド王都到達

さあ着いたぞ、アスレッド王都。

 

かなり大きな城塞都市だな、丘の上にあるタイプのやつだ。カルカソンヌに似ているだろうか?

 

生活するには不便だろうが、防御力はバッチリで攻められにくいだろうな。

 

そして、丘の周辺には、農地が広く分布している。

 

ルーネンブルクの街では、宿屋などの大きな店舗は二階建てだっだが、一般的な家屋はワンルームの平屋だな。

 

二階建ての建物は、まだ技術的に難しく、宿屋などの店舗レベルではないと建てられないくらいに高級なのだ。中世ヨーロッパクオリティだ。

 

……ってか、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界である、と言っても、地球で定義されるところの「中世」は、西ローマ帝国の崩壊からルネサンス前くらいまでの話。五世紀から十五世紀くらいまでの、およそ千年間くらいが中世なのである。

 

日本で言えば、飛鳥時代から戦国時代くらいの期間だ。そりゃ、「一つの時代」と言えるほどの短さではない。

 

なので中世ヨーロッパと言うと、人によってイメージするものが異なるだろうから、分かりやすく言えば……。

 

この世界は、「十字軍の時代」くらいの文明レベルだ。

 

十世紀のヨーロッパくらいと言う訳だな。暗黒時代真っ只中、一番カスな時代だ。

 

話を戻そう。

 

そんな農民の家だが、一般人が中世ヨーロッパ風と聞いてイメージされる「レンガの家」とかそんなものではない。

 

平屋で、茅葺き屋根の、粘土や牛糞などで作られた土壁の、床は土だけのワンルーム。

 

これが、標準的な中世のご家庭だ。

 

富農ならここに、納屋と家畜小屋があるくらいのもの。

 

綿のベッド?ないない、寝室は藁が撒かれてある部屋に、粗雑な麻布がかけてあるだけ。

 

あれだな、中世ヨーロッパよりも、「弥生時代に毛が生えた程度」みたいな方が、イメージとしては正しいかもしれない。

 

そんな感じの農村を通り過ぎ、アスレッド王都に入ろうと、門の前に行く。

 

門は結構頑張っているみたいだな、鉄柵の門を鎖で吊り上げるタイプのやつだ。

 

滑車の理論で持ち上げる為に必要な力を削減しているし、技術が全くないアホしかいない世界!とかではないな。安心できる。

 

街に入ってからは、驚いたことに衛兵に声をかけられた。

 

そう、衛兵である。

 

まずここははっきり言っておきたいのだが、中世暗黒期レベルの世界に「衛兵」なんてものはまずいない。

 

「警察がいないってこと?!それってやばいんじゃないの?!」とお思いかもしれないが安心してほしい、その通りである。

 

普通、中世社会のコミュニティでは、市民に兵役の義務があり兵隊をやらされて、ついでに「自警団」を結成させて警察官の代わりをやらせよう!ってなことになっている。

 

専業警察官などという高級な職業を生み出せるほどのリソースが社会にないのだ。

 

だから悪いことをした奴は、見回りしているコミュニティのおっさん達……自警団にボコボコにされて、村長だの領主だのにその悪者を引き渡して、裁判をしてもらう訳だな。

 

自警団なんてもんは、私服のおっさん達が刺股みたいな棒持って巡回してるだけ。

 

この世界ではそれに付け加えて、対モンスターの人員である傭兵ギルドってもんもあるが、それは余談、別の話だな。余所者の傭兵に街の治安維持なんてやらせねーからな。

 

そう、衛兵。

 

衛兵ってことは、警察官。専業の戦士。

 

統一された革鎧と鉄兜、木製の円盾と鉄剣を持った男達が何人も、街を巡回している!

 

これは、中世社会ではとても凄いことなのだ。

 

騎士以外にも専業戦士がいて、その専業戦士達に同じ規格の武器を持たせられる。

 

それは、多くのリソースを持っていて、そのリソースを適切に配分できるだけのマネジメント能力と流通網があると分かる。思想的にも先進的と言えるな。

 

俺は感心しながら、衛兵にアーデルハイト姫を引き渡した。

 

で、衛兵の案内に従い、城の中へと入場。

 

衛兵達は自警団の単なるおっさん共とは異なり、訓練されている。

 

訓練とは、単純に戦いだけでなく、こんな風に目上の騎士が来たらどうするか?みたいな作法とかそういうことも含むのだろう。

 

しっかりと丁寧に案内され、それでいて警戒もしつつ、いつでも拘束できるような位置取りで俺を城まで送り届けてくれた。

 

やっぱ違うなあ、兵士ってのは。

 

 

 

城壁の中、中央に大きめの石造りの城。

 

木造のモットアンドベイリー式城塞じゃねーのかよ、生意気な。

 

ちゃんとした塔、キープに案内されちまったぞおい。

 

第二第三城壁!みたいな、城壁の外に城壁を広げるバームクーヘンみたいな環状城壁をイメージしていると思うが、それに高低差を加えることで更に攻められにくくなっているおまけ付きだ。

 

建築技術も高い高い……。

 

なんでこんなガチガチに防御固めてんだ?と思ったが、聞けばここは隣国との要衝にある都市なんだとか。

 

蛮族やモンスターが山の方から攻めてくることが稀によくあるんだそうだ。

 

パッと見た感じ、防衛力に極振りしている為に居住性はアレっぽい感じだが……。

 

「流石に、主城くらいはある程度のスペースがあるか……」

 

メインとなる主城には、玉座の間がしっかりとあった……。

 

まあ玉座の間って言っても、単に玉座が壁の前にドン!とあって、その前に広めの空間があって、そこにテーブルと椅子がたくさんある、言わば広間なんだけどね。

 

廊下とかを作るスペースはない感じだ。

 

「何だ?」

 

おっと、衛兵に聞かれていたか。

 

「いや、失礼。こちらの国とは違う作りの城に、少し驚いただけだ」

 

「そうか。あちらが、アスレッドの王たるブローナック様だ。失礼のないようにな」

 

ブローナック?変な名前だな。

 

何でもいいから早く済ませるぞ……。

 




よく考えれば今日ってクリスマスじゃね?

はえー、今年も特に何もないけど、人生普通に楽しいから良いか……。

それと、ダンジョンものの続きをちょいちょい書いてます。

勇者編を終わりまで書き、今は、冒険者ギルドの酒場で暇な冒険者達と駄弁ったり、弟子の女子高生のいる新人冒険者パーティとダンジョンに潜ったりするところを書いてる。

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