まあ別に、今後生きていてもやることと言ったら仕事とMOD作りとVRゲームしかないから、最終的に問題無いっちゃあ無いんだよな。
俺は悟った。
いや、ほら、だってさ?
現実の女はもう本当にガチでダルいしさ。
あいつら、ちょっと浮気した程度で刃物振り回すからほんとクソなんだよ。
無理心中とか本当にダルい。
暇潰しにコナかけただけなのに本気になってさあ……。
仕事もまあ、ゲームでやってることと同じようなもんだろうしさ。いや覚えてねえけど。
じゃあもうさ、ゲームの世界で生きていけば良いじゃん?
幸いにも、MOD特盛の状態での主人公に憑依転生した状態だ。
暇つぶしにも困ることはない。
もしも、俺がVRゲームの世界に取り込まれたとして、放っておけばいずれ救助が来るはず。
そうではなく、VRゲームの世界に入ってしまい、二度と出られないならば、それはそれで。
外的要因がどうであれ、これから今、俺がどうすべきかは明白だ。
とりあえず生きること……。
リアルな中世ファンタジーを謳うこのゲームでは、食事や睡眠をとらなければ死ぬ。
なので、しっかり食べて、身を守るために戦う必要がある。金だって稼がなきゃならん、家も欲しい。
とりあえず俺は、キャンプの焚き火で料理を始めることにした。
インベントリは……、うん、まあ普通に開けるな。
使えないのは、セーブやロードをするための『システムメニュー』と、コマンドを入力することによりゲームを改変するデバッグシステムである『コンソールコマンド』、そして強制ログアウトのための『強制終了ワード』の三つ。
逆に言えば、それ以外は使えるのだ。
俺は『ジャーナル』……、ミッションについて書かれた手帳に、文字を書き入れる。
×××××××××××××××
《始まりの一歩》
・能力の確認をする
×××××××××××××××
まず、最初は料理だ。
飲食をしないと、どんどん最大HPとスタミナが減っていく。
また、病気になる確率も上がる。
何か食べ物を食べて、栄養を摂ろう。
そしてこの際、食材を「調理」することにより、食材から得られる栄養や回復効果が倍増する……。
インベントリから取り出した「兎の肉」を、キャンプの焚き火にかかった鍋で、細かく切った野菜と共に茹でる……。
「兎肉のシチュー」だ。
味は……、うん、美味い。
そして、次。
剣の素振りだ。
俺の武器は、刀身の長さだけで二メートルを超える大剣だ。
重量も長さも、並の人間には持ち上げることすら不可能な、暴力的質量。
俺はこれを、片手で持ち上げて、片手で振り回せた。
一応、手加減してだが、サーバント達と模擬戦もやる。
その結果、ごく普通に動けると判明。
サーバント達も、俺の技には一切翳りがないとお墨付きをくれた。
魔法も、指で印を作ると、ちゃんと発動した。
ああ、そう、この世界での魔法は、杖から火の玉が!とかではなく、何も持っていない指で印を結ぶことにより発動するんだよな。
例えば、握った手を開くと、「電撃放射」が発動して、手のひらから電撃がビリビリーっと出てくるとか。
人差し指と中指で胸の真ん中を二度叩けば「自己回復」とか、指を揃えて親指を畳み手を前に出せば「衝撃波動」とかな。
あとは俺のような『契約者』は、契約した神々から授かった『真語』で叫べば、それだけで『神秘術』を行使できる。
それと……、あとはクラフト系能力か。
その辺の木を切り、変化の魔法の類で瞬間乾燥させて、工作セットで小さな木彫りの人形を作る。
現実世界ではこんなことはできなかったんだろうが、やはりこの肉体は主人公なのだろう。
『身体が覚えている』というやつで、木彫り以外にも鉄器作りや金細工、裁縫なんてのもできた。
但し、ゲームとは違い、自分でやらなきゃいけないのはだるいかもな。
ゲームでは、鍛治をするのであれば、鍛治のコマンドメニューを開いて製作物を選んで決定すれば、画面が一瞬暗転してから時間が経過して物品ができている……みたいな感じだった。
まあそりゃ、リアルな中世ファンタジーゲーム!とは言え、ガチで二、三時間くらいかけて剣一本を作るシーンを見せつけられるのは普通に苦痛だもんな、仕方ないよそれは。
しかし……、どうやら現実のこの世界では、そうやってちゃんと一から作らなきゃならないらしい。
今は「鉄の剣」を作ったが、三十分くらいかかった。
十二分に早いのだが、それでも、リアルな動作の分時間はかなりかかるようだ。
これで全身鎧なんて作れば、丸一日は確実にかかるだろうな……。
あとはポーション作り。
擦り潰した薬草やキノコを、錬金術で抽出したりなんだりして、ポーションを作る。
これも、リアル補正によりかなり時間がかかる……。
ああ、だけど、一度に大量に作るなら大釜を使えば良いのか。
今度はその方法でやってみよう。
とにかく、戦闘能力、魔法、クラフト、全てが正常に動作すると分かった。
俺はジャーナルに、クエスト成功を表す◯印をつけた……。
……ジャーナルの更新も手動なんだよなあ、ダルいわー。
×××××××××××××××
《始まりの一歩》
・能力の確認をする◯
———クエスト成功
×××××××××××××××
そして、また、新しいクエストが思い浮かんだので書き記す。
×××××××××××××××
《第二の矢》
・MODの確認をする
×××××××××××××××
そう、MODだ。
ここにいるサーバントは、全てMODによって作られた存在。
つまり、「追加サーバント」のMODは有効化している。
他にも、先ほどに「魔法追加」「飲食メニュー追加」「クラフト品目追加」も確認できたし、身につけているアイテムも全てMODによるもの。
だが、他のMODはどうだろうか?
そうだ、あのMODが有効なら……!
俺は、インベントリから、『本格的中世ファンタジー!』の謳い文句に反する、所謂「ロアフレンドリー」ではないアイテム……電子タブレットを出した。
そしてそれの電源をつけると……、アイテムの名前と画像がずらりと表示される。
任意のアイテムをタッチすると……、そのアイテムが出現した!
「よし!これなら、飲食の問題は解決したな!」
そう、これは、デバッグ用のアイテム生成機である。
コンソールコマンドでアイテムを呼び出せば良いのでは?とは皆言うのだが、ランダムポップしたMODアイテムの確認はこっちの方が分かりやすいんだよね。
何にせよ、これで分かったな。
コンソールコマンドでのチート行為は不可能。しかし、チートじみたMODは全て有効化されている……。
×××××××××××××××
《第二の矢》
・MODの確認をする◯
———クエスト成功
×××××××××××××××
スカイリムをやりながら書いた本作ですが、肝心のスカイリムが動かなくなるという痛恨のミス。
仕方がないので、世界樹の迷宮をプレイしながら、古典的ダンジョン世界にいる不審者の平穏な日々の続きを書いてます。
でも多分週末はfo4やってそうな予感があり、その時にはゾンビものとか書いてそうなんだよなあ……。
スカイリムは入れてるMODの更新が来るまで待つことにしました、バージョン下げも上手くいかんしね。