ザニー。
身長135cm、体重は30kg程度。
顔つきは少々大人っぽいな。少なくとも、体格ほど幼くは見えない。
服装は、タンクトップ型の見せブラに、やたらと短いヘソ出し半袖ジャケット、そして男の子みたいな短パン。
鉄板入りのブーツを装備させ、頑丈な剣鉈と、腰に巻くタイプの小物入れを持たせている。
そんなこの子に俺が教えたのは、ごく初歩的な剣道と居合道、そして護身術。
それと……、実戦型の召喚術だ。
対するは大猿鬼。
言ってしまえばホブゴブリンのようなものだが、一般的なファンタジーのそれとは少し違って、猿やゴリラのように腕が長くて全身から毛が生えた、茶焦げた獣である。
こいつらは、木から作ったような棍棒や、石を持って投げつけてきたり、ともすればどこかで拾ってきた刃物を持っている。意外と馬鹿にならない相手だ、少なくとも「雑魚モンスター」なんかではない。
だって少なくとも、人間は猿より弱いからな。動物を舐めちゃいかんぞ、奴らはヒトなんぞよりよっぽど強靭で素早い。
……この世界の人間は、レベルの高低によってかなり戦闘能力に差が出るが、レベル1の一般人は地球人と大差ない力しか持っていない。
要するに、その辺の村の中に大猿鬼が出たら、割と結構な被害が出るぞ、ってこと。
ゴリラパワーと小学生並みの知能を持った猿とか、普通にヤバいだろ?そういうことだ。
さあ、そんなモンスターと、我が弟子はどう戦う?
「行くでやんす!」
おっ、剣鉈を構えたな。
特製の剣鉈は、小太刀のように反りがある。対バケモノ用に分厚く重いので、小太刀ではなく剣鉈と呼んでいるのだが、形状的には小太刀に近いと言えるだろう。
構えのスタイルは、半身になりつつも右手で剣鉈を正眼に構えて、左手は鞘に添えている小太刀術のオーソドックスなもの。
『グギャガギャ!』
そこに、身長170cmはあろうかというムキムキのゴリラ、大猿鬼は、その手に棍棒を持って殴りかかる!
「やあっ!」
それを、振り切る前に、力が乗り切る前に迎撃するような形で剣鉈を振るい、制止したザニーは……。
「くるりっ、と!」
『グガ?!』
剣鉈の「反り」を利用して、相手の棍棒を巻き取る。刀術でよく見る動きだな。俺が教えたんだが。
そして、無手になった大猿鬼の膝を斬り立てなくする。膝の皿を叩き斬ってやりゃあ、関節のある生き物は脚一本を無力化できるだろうからな。
ザニーの背の低さもあり、膝や膝裏を狙っていけと教えてある。
『ギャッ!』
そして、体勢を崩して片膝を突いた大猿鬼の首を……。
「えいっ!」
『ギッ……』
半ばまで断ち切る。
うん、上出来。
『ギャギギ!』
『グギャガギャア!』
おっ、今度は二体だ。どうする?
右手の剣鉈で、一体の鉈を受けて……。
左手では印を結んだな。
ああ、あれは召喚の印だ。
召喚術は、どうやら魔術とは異なり、呪文詠唱……「音」ではなく、文字やハンドサイン(印)などの「形」を重要なものとしている。
言葉で現象を起こすのではなく、文字や魔法陣、そしてこのような印を結ぶことで召喚術を発動できるのだ。
ぱ、ぱ、ぱっと。
結んだ印は「日輪」「独鈷」「大金剛」。
名前は九字切りのそれだが、片手でやる特別な印。
呼び出されるは火の精霊ザラマンデル。
しかし、「現象そのもの」と言える精霊は、制御することは難しい。
故に、印による、「制御をしない召喚」……「簡易召喚」だ。
ほんの一瞬だけザラマンデルを喚び出し、「火を吹け」と命令を一つだけして、即座に送還。
これにより、応用力を犠牲にして完全に「術」として完成させた……。
『ゴアアアアッ?!!!』
業火に包まれた片方の大猿鬼は、己の肌を掻きむしって叫ぶ。焼け死ぬのは辛いぞ、肺に火が入って呼吸が苦痛となり、苦しみ抜いて死ぬのだから。
それと同時並行で、上から鉈を振り下ろしてきた大猿鬼の一撃を、剣鉈を翳して受けたザニーだが。
今度はその受けた剣鉈を、鉈の刃に擦り付けるようにしつつ思い切り間合いを詰めて、相手の鉈の鍔元に刃を持っていき、手首を斬りつける。
『ギャッ?!』
手首の内側、筋の部分を切断すれば、生物としての構造上手を握ることはできなくなる。
そうして武器を落とした大猿鬼の、喉を引っ掻くようにして斬り、呼吸を止めて仕留める。
うーん、上出来。
……いや?
だがまだ終わってないな。
どうやら、騒ぎと血の匂いを嗅ぎつけて、大型の魔物が出てきたようだ。
『シュロロロロ……!』
えーと、なんだったか?
センザンコウって知ってる?
ほら、要はアルマジロみたいなのだ。
……アレを、数倍くらいデカくしたバケモノだよ。
頭から尻尾の先まで3m強、細長い口から出る舌は弾丸のように素早く、鋭い爪と、生半可な矢玉を弾く甲殻を持つ獣。
名前は確か……、穿城鱗獣、だったか?
この辺りの平原でエンカウントするモンスターの中ではトップクラスに強い存在だ。
あらまあ、運がないねえ。
で、どうするのかな?
おっ、腰の物入れから……、巻物を取り出した。
巻物を開いて、召喚魔法陣の真ん中に血を垂らす……と。
「召喚、鵺!」
ほう。
なるほど、なるほど。
……式神か。
俺がいつも小間使いにしている精霊達は、アレは実は、人間に制御できるような代物ではないらしい。
火の精霊水の精霊などとは言うが、要するにアレは「根源」で、俺のイメージの器に注ぎ込まれた「原初」そのものだそうで。
人の身で根源を操るなんてそうそうできんと、何人もいる弟子(嫁)達はそう言っていた。
……であれば、自分でも制御可能な個体を指定して召喚すればいい。
並行世界、可能性の海の果て。那由多の彼方から取り出された理想的な魔獣個体。召喚術の原点は「自分が欲しいものを三千世界のどこかから参照して複製する」こと。
「自分で制御可能」な、「理想的な能力を持つ魔獣」の「注文書」がこの巻物。
これは最早、召喚獣ではなく、自身の欲する存在を長々と巻物一本分に書き込んでいる、言わばプログラム。
故にその名を、式(プログラム)の鬼神(妖怪変化)、「式神」とする……。
『キィェ⬛︎⬛︎ェエ⬛︎⬛︎⬛︎エ!!!!!』
式神、鵺は、悍ましい鳴き声をあげながら、鋭い虎の爪で穿城鱗獣の顔面を抉る。
『シュロロローーー!!!』
負けじと、穿城鱗獣も、弾丸の速さで細い筒状の口から舌を射出。
当たれば、その名の通り城壁すら貫くだろうその一撃を、鵺は獣らしい反射神経で横っ飛びになって避ける。
そして。
『キィッェ⬛︎エ⬛︎⬛︎ェッ!!!!』
口から稲妻を吐き出して、穿城鱗獣の神経を焼いた。
流石に、高圧電流に耐えられる肉体ではないようだな。
頑強な鱗も、電撃には無意味なのだ。
『ジュボ、ロロ、ロ……』
目鼻から赤黒い血の泡を噴き出し、失禁しながら倒れ伏した穿城鱗獣。
死んだ、か。
それを確認すると、ザニーは鵺を送還し、俺に褒めろと無言の圧をかけてくる。
まあうん、褒めるけどさ。
……冷静になって考えると、これ忍者では????
ゾンビものを書いたが、ヒロインが全員気狂いでもうダメ。
一人は、ゾンビ騒ぎでこの世のどん底を味わって主人公にガチ媚びしてくる文学少女。
二人目は、目の前で親友が転化したゾンビに恋人を貪り食われあたおかになり、この世界をゲームだと思い込んでる女。
三人目、力尽くで他人から奪って生きていて、その自責の念で壊れかけの西洋美少女。
四人目、完全に頭がおかしくなって、自分のことを日本一の侍だと思い込み、刀振り回して暴れる女。
可愛いヒロインを書いているつもりなんですけど、可愛い女の子と会ったことないし、世間一般的に可愛いと言われている女を可愛いと思えたことがないのでこうなる。
こんなゾンビものを書いても、読者の皆さんにげっっっそりするような感覚を与えることしかできない。
個人的な感想なんだけどブレンパワードは主人公のことをおばあちゃんまでもが捨てて行ってのがキツかったな。両親がただでさえアレなのに、ババアまでもが恋に生きちゃったらもうダメでしょ。
仕方がないので、前言ってたクソMOD転生をもうちょっと考えてみるか。
VRゲームが普及した未来世界で、バトルフィールド1942みたいな鯖が停止してるFPSゲームで、自分らで立てた鯖でクソMODゴリゴリ入れて遊んでる精神異常中年男女が、ゲームの能力と勢力をそっくりそのまま保持して異世界転移……。ファンタジー世界でクソMOD発動させながら、確かなゲームの腕とクソみたいな人格で異世界で楽しもう!みたいな。
異世界側は、「転生者」のことを把握していて、「転生者」が齎すものは劇薬でこの世の害になると排除してくるアサシン教団みたいなのがいて、そいつらと戦う感じの話になります。
戦うけど、それはそれとして、「太陽がニコラスケイジになるMOD」とか、「女兵士がケツぷりんぷりんの2BになるMOD」とか、「装甲車が機関車トーマスになるMOD」とかを使いまくって暴れて、現地ファンタジー民にドン引きされるが。
主人公は、ただただ純粋にゲームが上手い天才おじさん。相棒にエリート刑事(公安)だったがテロで肉体の殆どを失いVR空間でしか生きられないお姉さんを……うおおいかんいかん!また可哀想なヒロインを書いてしまう!!!
あとは仲間達に、大和魂エディションな人、「将棋MOD」だの「野球MOD」だの本編FPSにかすりもしないクソ要素を追加してくるヤバいおじさんや、戦争ものFPSつってんのに杖からビーム出して「魔法MOD」とか使ってくるクソアホ、美少女NPCのパンツを眺めるのが生き甲斐の変態、魔法少女になりきってるおじさん(異世界転移により無事TS)などがいるとします。