ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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うぅっ……、生きるのが辛い。

獣人美少女をモフるだけで暮らせる世界に行きた……いやでもゲームの新作ができない世界はちょっと無理だな。


12話 俺は乙女ゲーで例えると転校初日から話しかけてきてくれる元気系だからな

「おめでとうございます!今回の依頼達成により、ドーマさんは『銅盾位』に認定されました!」

 

そう言って、五角形の盾を模した銅製の冒険者証を渡される。

 

「……ところでドーマさん?最近儲かっていらっしゃるみたいですねえ!」

 

受付嬢がイイ笑顔をしていらっしゃる!

 

「あー……、愛しの受付嬢ちゃん、今晩空いてるかな?良ければ、食事でもどう?奢るよ」

 

「はぁい♡もうバッチリ空いちゃってまーす♡」

 

いっそ清々しいわな、ここまで薄汚いと……。

 

 

 

銅盾位になると、俺のことを「得体が知れない術師」と遠巻きに見ていた他の冒険者達も近づいてくる。

 

「な、なあ、あんた……」

 

そこそこ若い男。

 

二十半ばくらいか。

 

金髪をざっとスポーツ刈りにした、体格のいい前衛剣士の男だ。

 

「何だ?」

 

「あんたって、術師……なんだよな?」

 

「そうだが?」

 

「もし良かったら、今度一緒に仕事をしないか?」

 

んー?

 

「何故今更話しかけてくる?急にお友達にでもなりたくなったのか?発作的に?トチ狂ったのかね、病院に行くことをおすすめするよ。頭のだぞ」

 

今まで散々避けてきた癖によー。

 

気にしちゃいないけども。

 

「へ?あ、ああ!それはな、モグリの術師は危ないからだよ」

 

ああ……。

 

そういや、この世界の術って、使い方を間違えると魔力が逆流してパーン!ってなったり、暴発して味方ごとドカン!ってなったりとかするらしいな……。

 

なるほどな、そういう「ハズレ術師」なんじゃないか?と思われていたのか。

 

それが、今回、銅盾位を得たことで、実績から見て「アタリ術師」であると判断するに至った訳か。

 

「仲間にならないか?丁度、術師が必要でさ」

 

うーん……。

 

その辺はなあ……。

 

「こいつは恐縮、恐縮の至りだな。悪いが、お前らは俺ほど儲けられないだろうからそいつは無理なご相談よ」

 

収入差的にちょっとな……。

 

「そうか……」

 

「だが、情報共有くらいはしておきたい。何かあれば声をかけてくれ。最低限のコミュニケーション……ああ、会話くらいはするつもりはある。俺はおしゃべりが大好きな元気で明るいイケメンの青年だからな。ほらよくいるだろ?恋愛ものゲームとかで、開始時からやたら気安く話しかけてくるフレンドリーな細め関西弁キャラ。大体あんなノリだよ俺は」

 

「あ、ああ、分かった、急に声をかけてすまなかったな。それじゃあ……」

 

ほおー、やっぱり銅盾位ともなると、お行儀がいいと言うか何と言うか……。

 

いや、生存バイアスというやつか?

 

これくらいお行儀が良くないと、このランクの冒険者としてはやっていけないってことだろう。

 

「その、早速、一つ聞きたいんだが……、あんた、どうやってそんなに稼いでるんだ?」

 

と、問われる。

 

「そう簡単に答えると思うか?まあ俺は優しいので答えるが。普通に狩猟だよ。術で硬角鹿や森狼を狩って、術で皮を鞣してから売ってるんだ。秘伝の薬を使って鞣しているから、高く売れる」

 

俺は正直に答えた。

 

「お前、職人の技を持っているのか」

 

「まあ一時期、皮鞣しの工作場で修行していたことがあってな。上と折り合いが悪くなって辞めちまったんだが、それでも、鞣しの技術だけはものにした。素人仕事だが、この地方ではない鞣しの技法らしくてな。下手くそでも高く売れるんだ」

 

「なるほどな……。じゃあ確かに、他の冒険者とつるむ必要はないな……」

 

「ああ、そういう訳で、仲間にはなれない。そもそも俺は顔の良い女以外と行動すると全身に蕁麻疹ができて内臓が爆発する奇病にかかってるから色々と無理なんだ。悪いな」

 

「いや、こちらこそすまない。何か情報があれば伝えるよ」

 

男は去っていった……。

 

何にせよ、これで、他の冒険者との溝も埋まり始めたな。

 

……しかしアレだな。

 

こうもメタクソに稼いでいると、狙われそうで怖いな。

 

江戸っ子は宵越しの金を持たない!なんて話がかつての日本ではあったが、アレは家にお金を貯めとくと盗まれたり火事で家ごと貯金が消し飛んだりするから使っちゃおうぜ!という意味なのを知る人間は少ない。

 

粋や酔狂、侘び寂びなんてもんは、基本的に痩せ我慢からきてるからな。国民性である。

 

まあ何だ、とにかく、根城にしているエリカの家が危なそうだから、護衛に冒険者でも雇おうと思う。

 

雇うのは女冒険者が良いだろう。女の護衛に男を付けるのもアレだしな。

 

見た目が悪過ぎるのも良くないし、可愛い子にしよう。なあに、安心しろ。

 

他意はアリアリだ。

 

……だって一応、適当な精霊をエリカに取り憑かせているから、死にはしないだろうし。

 

護衛の名目で女冒険者が欲しいだけだな!

 

 

 

そんな訳で俺は、ギルドに対して依頼を出した。

 

「護衛、ですか?」

 

「俺の……宿の家主を守りたくてね」

 

「ああ、愛人のエリカさんですね」

 

んーんん。

 

「……何で知ってるんだ?」

 

「そりゃもう、有名ですよ!かつて『銀剣位』まで登り詰めた女冒険者、『純潔のエリカ』が、若い男に引っかかったと噂なんですから!」

 

んー……、そうなんだ。

 

エリカは、冒険者時代の話をしたがらないからな。

 

無理に聞くのも悪いからと聞いてなかったんだが、銀剣位だったのか。

 

「でもそれが、このノースウッド始まって以来の稼ぎを見せる術師だっていうんですから、それは目立ちますよね?」

 

「そうだなあ、そうなるなあ」

 

「にしても、愛人に護衛を派遣するだなんて、優しい人ですねえ!甲斐性があって良いです!エリカさんが羨ましいくらいですよ!」

 

この世界基準ではそうなるのな。

 

「……ですけど、護衛で募集するより、徒党の組員として募集した方がいいと思いますよ?」

 

つまり、パーティメンバーを募れってこと?

 

「何故なんだ?」

 

「それはまあ、本物の術師の一党に加われるなら、大抵の条件は飲ませられますから……」

 

……どうやら、本物の術師ってのは凄く貴重なんだとか。

 

この世界での術師とは、尊敬されるも畏怖される存在とは前に言った。

 

だが、その尊敬の具合は、俺の思う遥か上らしい。

 

「本物の」と但し書きが付くが、術師というだけで冒険者ならばどんな徒党にも引っ張りだこ。

 

仕官も、いきなり貴族の邸宅を尋ねても大抵は雇ってもらえて、戦闘系の術師として戦争の前線に出るならば三十人扶持は堅いんだとか。

 

戦果次第では貴種の仲間入りも果たせるくらいと言えば、その凄さも伝わるだろうか?

 

とにかく、術師とは、そのくらい凄まじいのだ。

 

そんな術師の徒党の一員となれれば、甘い汁を啜れることは確実だもんな。そりゃ、誰もが術師の徒党に入りたがるわ。

 

特に俺は、定期的に数百万ベル単位の金を受け取っているのも、既に知れ渡っている。

 

おこぼれに預かりたい!というスケベ心は、みんなあるだろうな。

 

よし、じゃあいっそ、パーティメンバーを募るか!

 

「じゃあ、女限定で徒党の組員を募ってくれ。真面目に働きそうなやつを頼む。顔の良さも重視してくれよ?ブスなら突っ返すからな?」

 

「また女ですか?!ドーマさん、本当に好きですねえ……」

 

そりゃ好きだろ、女だぞ?

 

「お前も好きだよ、受付嬢ちゃん」

 

「もー!またまたー!本気にしちゃいますよ〜?」

 




今作、今は35話まで書けました。

応援パワーが僕を強くする……。

それはそれとして、一つ気づいた知見があって、主人公が登り詰めたら、その登り詰めた地点を降りてもう一回やり直しても良いんですよね。

貴族になったのに、悠々暮らしてないなんておかしい!なんて考えがありましたが、別に貴族になろうと何になろうと、好き勝手に出奔して好きなところで好き勝手やって良いんだな、と。それが自作主人公だろ、と。

そんな訳で、現在は第二部を書いてます。

第一部ではパワーの力で思い切り貴族になりますが、第二部では秒で飽きて弟子と一緒に外国に遊びに行きます。

具体的に?

砂漠の国で、流砂の上を走る船に乗って、砂漠の秘宝を探す感じのアレ。

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