あ!
「待ったか?」
「いえ、全然待っとりませんわ!」
ゼット様ーーーっ♡♡♡
あーーー……、良い!
イケメンやわぁ……♡
白のスーツは、法廷でのテックバトルん時によく見る、いつもの衣装!
勝負服やんか〜!
ウチとお話するだけなのに勝負服とか……んぇ?も、もしかして、これって……?!
「行こうか」
「は、はいいっ!!!」
デーーートなんやない??!?!!!?!
浮ついた気分になった自分をぶん殴りたいわ……。
これ、マジもんの接待やんか!
何でウチに?
ゼット様は何を考えとるん?
ウチはビクついていた……、ゼット様が「送迎車だ」と言った、黒塗りのリムジンの中で……。
「ぜ、ゼット様、その、ウチは……」
ガチガチになったウチは、命乞いするみたいにゼット様の方を向いた。
リムジンやで?
値段なんて分からんけど、ウチみたいな貧乏人には程遠い世界のもんや!
汚したら、いくら請求されるのか……!
半泣きのウチに、ゼット様は……。
「そんなに怯える必要はない」
と、端的に言った。
「で、でも、ウチ、お金……」
「何を言ってるんだ?デート代を女に出させるような男がいるか?」
あっダメもう好き。
「行き先は単なる料亭だ、個室だからマナーを気にする必要はない。このリムジンも、俺がいつも送迎に使っているものだ。例えスクラップにしても問題はない」
あーーー好き。
ってか、やっぱデートなん?
あー、好き。
好き。
「で、で、デートなんですかこれ?」
「当たり前だろう?でなければ、二人きりで会おうとなど言わんよ」
「で、でもぉ……、その、ウチみたいなのと……」
「俺が良いと言っている」
あっ好き。
押し強い男カッコええ♡
好き♡
強い男好きぃ〜♡♡♡
えへへへへぇ……、ゼット様がくっ付いてええ言うからね?ゼット様に抱きついちゃった!
ゼット様、見た目によらず身体がっしりしてて、雄のフェロモン強くて、頭がくらくらするわ……♡
しかも、女の扱いに慣れてるとこも良い!
肩の抱き方とか、歩くペースをチビのウチに合わせてくれるとことか、全部手慣れてて大人っぽくて最高!
でね、行き先はね……、なんと!
銀座一番の料亭、『月華雅楽亭』だった!
これめちゃくちゃ凄いやつ……!
ここ、確か完全予約制の一見さんお断りで、政治家とか来日した映画スターとかが来るようなところやん!昔、テレビで見たわ!
こんなとこに顔パスなんて……、お金持ちでかっこいい……♡
綺麗な和風の建物、庭園を眺めながら畳の個室で。
わざわざ料理長が挨拶しに来ちゃったりもした!
初夏の先付け?小鉢?がどうこうとかゆうててよく分からんかったけど、小分けされた美味しいものが続々と出てくるんや!
「ん〜……!美味い!」
「それは良かったな」
……あ。
ゼット様、やっぱ、ハイソやわ。
箸の使い方、めっちゃ上手い。
気品あるわあ……。
ウチのチンピラ親父とは違うわやっぱ。
カッコええわ。
「……あ、でも、ウチ、何だか弟妹らに悪いわ。ウチばっかしこんな良いもん食って」
「ん、ああ。ご家族の方には俺から連絡してある」
「あ、ほんまですか?えらいすんませんね」
ちょっと失礼して、ケータッチでメールを見ると……。
《お姉ちゃんありがと!》
《親愛なるお姉ちゃんが大好きな弟の御伽だよ!
今日はなんか、お姉ちゃんのバイト先の偉い人から出前寿司届いた!
しかも、回転寿司じゃない高いやつ!
母ちゃんの分まで来たよ!
お姉ちゃんありがとう!バイト先の人にお礼言っといてね!》
あふぁ。
「あ、その、ウチに……?」
「迷惑だったか?」
「いえいえっ!メッチャ助かります!」
ゼット様……、ウチのことだけじゃなくて、弟妹らのことまで考えてくれとるんやな……。
なんて……、なんて優しいお人なんや!
ウチは、この人の為なら何でもやるわ!
「こちら、焼き物の黒毛和牛で……」
「黒毛和牛?!?!!?!!」
人生で一度も食ったことないで黒毛和牛?!!?!!!?!
んでまあ、良い感じに酒も入ってな?
近くの旅館で部屋とってくれとる言うからついてったらな……?
なんと、同室やったんや!
「あ、あう、あうあうあう……」
「どうした?身体が冷えるぞ、早く部屋に入れ」
「お、同じ部屋なんです?」
「問題でも?」
こ、これ、パックンチョと喰われるやつやんけ!!!!!
あーメッチャドキドキしてきた!
脳みそ沸騰しそうやわ!!!
二人で食休みに寛いで……、うわ、ゼット様なんか英語の新聞読んどるわ!やっぱ外国語とかできるんやな……、アメリカで飛び級しとるもんな。
「えっ、え、英字新聞です?読めはるんですか?」
「ああ」
「す、凄いですねえ!」
「……無理に間を持たせようとか考えんで良いぞ。ここでは寛ぐものだ」
く、寛ぐったって……。
「普段そんなことせぇへんから、分からんですわ……」
家では基本、家事か子守りかやもん。
寛ぐってのがいまいち分からんわ。
すると、ゼット様は、新聞を畳んでこちらに来いと手招きした。
なので、ゼット様に近寄ると……。
「ひゃん♡」
ゼット様に抱き寄せられた!!!
「寛ぐ、と言うのはな、『何もしないこと』を楽しむということだ。余暇というのは本質的な贅沢だぞ?」
「えーと……?」
「何もしないで良い。俺の側で、ただくっ付いていろ」
「は、はいっ!」
な、なるほど!
何もしない贅沢……か!
あーでもこうして、家事と子守りから解放されて、好きな人にくっついてるだけでなんもせーへんのは……。
なんか……、ええな!
で、まあ、この後もちろん喰われたんやけどな!!!!
ゼット様、床でも優しゅうてホンマに……!
好き!!!!!
では、次から予告通り、サイバーパンク学園を投稿します。
5話くらい投稿するので、アンケートにご協力ください。
そしたらまたちょい休んでからホビアニ再開して、サイバーパンク学園に行きます。