ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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家系ラーメンを食いたい。


12話 ファースト・ステップ

創世歴1255年5月7日……。

 

GMG-N77のモンキーモデル、GMM-N77……。

 

機体名を、『ネクロノミコン』……、通称、ネクロ77型の産声が上がった……。

 

 

 

「「「「おおーっ!」」」」

 

見物人達から歓声が上がる。

 

その見物人達の中には、ちゃっかり屋台を開く奴もいれば、写真機を構えた奴もいる。

 

更には、あの、ドン・エスポジートが、アンダーボスのスパーダを伴い、わざわざこんなところにまで足を運んでいた。

 

ネリアポリスから数キロ離れたここは、何もない草原が広がり、それどころか未開拓の森から小型モンスター(それでも全長3メートルくらいはあるが)が出てくる危険な地だった。

 

だがそこは、ほんの一月で、広々としたグラウンドが広がる練兵場に変わっていた。

 

そしてその練兵場には、四機の人型兵器……、グリムメイルが鎮座している。

 

ダークブラックのメインフレームに、シルバーグレーの装甲板を纏うその人型は、この世界の無駄にゴテゴテしたマギアメイルとは異なり、工学に基づいた鋭角さと、工業製品らしいディティールが特徴。

 

マギアメイルがその名の通り「鎧」ならば、このネクロ77型は「ジェット戦闘機」のようなフォルムだ。

 

そんなネクロ77型に四人のパイロットが乗り込み……。

 

二列ある、細いブルーのバイザーアイに光が灯る!

 

「「「「うおおおおっ!!!!」」」」

 

四体のネクロ77型は、修復されたレメゲトンに先導されながら、練兵場を練り歩いた。

 

ネリアポリスの民衆の黄色い声を浴びながら。

 

『旦那ぁ!凄いねこれ!びっくりするほど操作が簡単だ!』

 

獅子獣人のアトラが、機体内のマイクに叫ぶ。

 

しかしそれも無理はない。

 

ほぼ文字も読めず、知識らしい知識がない獣人の女が、シミュレータで二、三週間訓練しただけで動かせる人型兵器……。

 

どう考えても異様だ。

 

だが、グリムギア、グリムメイルには、マギアメイルとは決定的に違うあるシステムがある。

 

これが、機体操作をサポートしているのだ。

 

そのシステムこそが……。

 

《マスター、そこは違います。右のペダルを踏んでください》

 

『おっと!こっちだね!』

 

超AIシステム……、通称『グリモア』だ。

 

グリモアを搭載した兵器故に、グリム・ギアと。

 

そう呼ばれるのだ。

 

とは言え、グリモアを搭載し、機械の部品(ギア)と同化することをコンセプトとしたグリムギアと比べれば、グリモアを搭載した鎧に過ぎないグリムメイルは、マニュアル操縦をやっているやっているような時点で敵わないが。

 

しかしそれでも、判断力は低いが知識と演算力でパイロットをサポートするグリモアがいれば、逆説的に、パイロットは判断力さえあればなんでも良いことになる。

 

マギアメイル他、この世界の一般的な兵器と比べれば、グリムメイルは現代地球のオートマ車くらい楽に動かせるのだ。

 

無論、戦闘行動となるともう少し難しくなるが、それでも少し訓練すれば何とかなる程度のもの。

 

因みに、ダニエルがアトラをスカウトしたのも、決断力に長けていたからという点が大きい。

 

グリムギア、グリムメイルパイロットに必要なものは、判断力と攻撃性……。

 

野蛮な社会不適合者のならず者こそ、グリモア(魔書)に愛されるのだ。

 

 

 

「ドン、どう思いますか?」

 

練兵場の奥にある、ブルームーン号を改造した事務所。その窓から訓練の風景を見る、エスポジートファミリーの面々。

 

カポレジーム(幹部)全員と、アンダーボス(若頭)たるスパーダ、そしてドン・エスポジートことレオナルド。

 

彼らは、全く新しい最強兵器の誕生を目にして、歴史が変わりつつあることを自覚した。

 

「……スパーダ、お前は頭が良い。私の誇りだよ」

 

スパーダの問いかけに、要領を得ない答えを返すドン。

 

「ドン……?」

 

訝しげにドンの方を見るスパーダだが……、次に続くドンの言葉を聞いて驚愕した。

 

「シニョール・ダニエルを、カポレジームにしようと考えている」

 

「「「「なっ……?!」」」」

 

スパーダも、他の幹部達も全てが驚きの声を上げた。

 

だがそれだけで、反対の言葉は上手く喉元から出てくれない。

 

「金が全てではない。だが、彼がファミリーにもたらした利益は、金銭に換えれば三百億リールに達するだろう」

 

「ですが……!」

 

「確かに、彼はよそ者で、それどころかヴェリタ人ですらない。だが、ここで我々が、功労者に相応の待遇を用意せねば、我々は我々でなくなる」

 

「ドン……」

 

マフィアとは、『名誉ある男』だ。

 

ヤクザが『仁義』を口にするように、マフィアには『名誉』を大切にする風潮があった。

 

特にこの、昔気質のドンからすると、不名誉な人間になることは何よりも嫌悪すべきことだった。

 

しきたりを曲げてでも、名誉ある行動をすること。

 

これが、ドンの出した答えだった。

 

例えそれが建前に過ぎずとも、その薄皮一枚の人間性こそが、人間が人間たる所以だと、ドンはそう思っている。

 

もちろん、ドンは無能ではない。

 

故に、言葉を続ける。

 

「しかし、新人をいきなりカポにするなど、諸君らも納得できまい」

 

「あ、いや……」

 

狼狽えるカポ達を手で制しながら、更に話を続けるドン。

 

「一年だ。一年間、彼の行動を見ておこう。諸君らも、彼とよく話をするべきだ。そうして、問題がなければ、彼は新たな傭兵部門のカポにする」

 

「「「「……はい」」」」

 

そう言い切ったドンの目先では、ネクロ77型が格闘訓練に入っていた……。

 




実力隠しもの、俺が書くと本当の本当にガチで能力を隠しきれちゃう有能サイコパスになっちゃうんだよな。

だからこうします。

主人公が異世界転移して、異世界で無敵の力を得て、地球に帰還。そして、地球も実は裏世界でスタンドバトルやら念能力者やらみたいなのがある、と。

で、主人公の通っている学校では、能力者がやたらと多い。

ここまでは良いですね?

はい、じゃあ、主人公はヤリチンで、厄介な能力者女クラスメイトを異世界転移する前から全員食っちゃってました。

ここから始まる地獄みてえな学園生活。

主人公「っべーわ……、確かにあの女、抱いた時に全身傷だらけだからおかしいとは思ったが……!適当に『身体の傷なんて気にしない、君は綺麗だよ』とかリップサービスしまくってたわ……」

ヒロイン?「主人公君は、戦いで穢れ切った私のことも愛してくれるんだ!私の血に塗れた手を握ってくれるのは彼だけなの!」

ヒロイン?「能力のせいで昔から嫌われていた私を受け止めてくれたのは主人公君だけだった!私は主人公君の為に生きる!」

ヒロイン?「主人公君なら、異端者である自分も受け入れてくれる!」

こんな感じ。

それから不審に思われない程度に逃げ回り、能力者から身を守る為に能力を使わざるを得ない展開になり、こっそり変装して能力を使ったりする感じ?

……汚いタキシード仮面様かな?

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