ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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一度は結婚とかしてみてえもんだ。


10話 アイアン・ガイ

「では、何かな?貴方達は機械だと?」

 

スパーダは、掠れた声でそう訊ねた。

 

あまりにも信じられない話であるが故、マフィアらしい冷静さを保てていない。

 

ドン・エスポジートならば、動揺を抑え込めただろうが、まだ二十八歳の若造であるスパーダに、ここまで突飛な話を聞いてもポーカーフェイスを貫け、というのは酷な話だった。

 

「おう!ちょっと待ってろ……、ほら!」

 

おもむろに上着を脱いで、胸板を「剥がした」ダニエル。

 

剥がした、と言うよりは、ロボットがアーマーをパージするかのように、肉体が分割されてパカッと開くようなイメージだ。

 

そこには、臓器ではなく、輝く小型炉心があった……。

 

それだけでない、この世界の人間では到底理解し得ないだろう、頂上的な機械部品の数々。

 

骨の代わりに超硬合金のフレーム、肉の代わりにカーボンナノファイバーでできた人工筋肉、代謝機能はナノマシンで再現……。

 

炉心は、ほんの直径10cm足らずの大きさだと言うのに、原子力発電装置数基分のエネルギーを絶えず産み出す。

 

それらのエネルギーを、神経ファイバーに通電し、重厚な12.7mm弾をも弾くボディフレームを、人工筋肉チューブで力強く動かす。

 

正直な話、マギアメイルの量産機ならば、やり方次第で生身のまま倒せるかもしれない。

 

それくらいのボディなのだ。

 

「わあーっ!す、凄いぞ!もっと見せてくれー!」

 

同行していたイルヴァが異様に興奮し始めるのを他所に、スパーダはもう限界を迎えていた。

 

顔を真っ青にしながら、スパーダは質問を重ねる。

 

「貴方は……、何者なんだ?人でない、機械なのに、何故意思がある?!」

 

「ん、ああ……、俺の脳みそは、ちゃんと人間なんだよ。脳以外のパーツを全部機械にしただけだ」

 

「何と、非人道的な……!」

 

「そうか?やってみると便利だぞ?」

 

薄ら笑いを浮かべるダニエル。

 

三十世紀以降は、サイボーグ化していない人間の方が稀少なくらいだったのだから、ダニエルは何も感じていない。

 

しかし、この近世並みの世界に生まれたスパーダからすると、それはまさに化け物だった。

 

「貴方は……、いや、それは……」

 

「あー良いよ良いよ、メンタル面は大体人間だから。普通に扱ってくれりゃそれで良い。ただ言いたいのは、俺はこれからもずっと生きるんだよ。だから、生活基盤は盤石であればあるほど良いんだ。分かるな?」

 

「ああ……、分かった。ドンにも、貴方達が長命種だと伝えておく」

 

何とか平静を取り戻したスパーダが、自分に言い聞かせるかのようにそう言った。

 

「あ、それとさ、金貸してくんね?ここにいる錬金術師を雇うつもりでさ」

 

「錬金術師……?マギアメイルを造るのに必要ということか?」

 

「いや、全然いらんけど……」

 

「なら何故雇うんだ?」

 

「うち流の人型兵器の造り方を教えて、作業員として使う予定なんだよ。これからパイロット……あー、乗り手と機体を増やすからな!」

 

「なるほど……、理解した。それなら、我々の者にも声をかけようと思うのだが?」

 

「おう!つまり、ファミリーの息がかかった奴を監視として受け入れろって事だろ?良いぜ!」

 

ダニエルは、笑顔でそう宣った。

 

この男は、腹芸などできないのだが、相手の意図くらいは見抜けてしまうという、実にやりにくい存在だった。

 

スパーダは大いに顔を引き攣らせながら返答に困って口籠もっていたが……。

 

「……あー、分かった。二心がないと言うなら、こちらから派遣する人員を受け入れてほしい。流石に、マギアメイル複数体に敵対されれば拙いからね」

 

「それなら、何機かくれてやろうか?」

 

と、ド級の爆弾を再度ぶん投げてくるダニエル。

 

スパーダは、最早驚くのも疲れたと言った顔で言葉を紡ぐ。

 

「あー……、その、くれるとは?」

 

「人型兵器だろ?そっちに何機か渡すぞ。訓練はこっちでやってやるが、運用はそっちでしてくれていい。門の前に飾っておけば映えるんじゃね?」

 

「マギアメイルを?軍の最新兵器を?一機で数百億リールはする超兵器を、お裾分けすると????」

 

もう限界だった。

 

胃が痛み、頭痛が止まらない。

 

「ああ、それと、傭兵として働くことになっても良いなら、何人でも人員は受け入れるぞ。事務方でもパイロットでも何でもな。でも、今は金がないから少し貸して欲しいんだが」

 

「ああ、ああ、分かった。少し……、落ち着かせてくれ。金なんていくらでも渡すから……」

 

スパーダは、机の薬箱から胃薬を一掴み取り出して、ボリボリと噛み砕いた。

 

相当に「限界」なようだ。

 

そして、瓶の炭酸水をラッパ飲みして……、自らの顔を思い切り叩いた。

 

「ふーッ……。シニョール・ダニエル。契約書を作ろうか」

 

「おう、良いぞ」

 

 

 

契約は纏まった。

 

まず、ダニエル側は、今回のヒル・ジャイアントの外殻と骨を全て受け取り、四機の人型兵器を製造する。

 

その内、一機は、エスポジートファミリーに完全に譲渡する。

 

二機は、エスポジートファミリー関係者をパイロットとして、傭兵団に入団させる。

 

一機は、ダニエルが適当にパイロットを探してどうにかする。

 

エスポジートファミリーに譲渡した機体だが、パイロットの訓練はダニエルが受け持つ。

 

更に、武器弾薬や追加パーツ、整備は、ダニエル側が格安でやってくれる。

 

整備員や事務員は、イルヴァの一族とエスポジートファミリー関係者が受け持つ。

 

業務上知り得た情報は極秘。しかし、エスポジートファミリー関係者は、ダニエル側が裏切っていないかを確認し、定期的に報告することを許す。

 

つまり、具体的な作戦内容や技術の漏洩は不許可で、最悪の場合死刑もあり得る。

 

……エスポジートファミリーに驚くほど有利な内容で、話がまとまった。

 

ダニエルは本当に二心がないので、これで良いのだ。

 

今後も、資材の回収状況により機体を増産するが、その内何機かは譲渡する、とも。

 

スパーダは、「何か企んでいるのではないか?」とかなり疑っていたが、本気で二心がないと、裏がないと分かってしまったので、ドンに確認の上で契約を結んだ。

 

スパーダは、この時に結んだ契約が、後世でもすっと生き続け、子々孫々に感謝され続けるのをまだ知らない……。

 




実力隠し能力もの。

何かこう、ジャンプの能力アニメみたいなノリの必殺技名叫びながら殴り合う異能バトルもので、チート能力無双できるが、戦うのが怠くて能力隠しする話を書きたい。

設定は大体やる夫スレのメガテンもので、「表社会は普通に見えるけど、裏では異能者同士のバトルやら、悪魔との戦いが行われているんだよなあ」みたいな。

内容は大体ブリーチみたいにオサレな必殺技や卍解!とかやりながら、ジョジョとかハンターハンターみたいな能力バトルやる感じ。

この世界では、能力はハンターハンターよろしく、制限をかけたり、使い所を絞ったりすることにより出力が上がる。

何でもかんでもできる万能能力はない。

で、異世界帰還者主人公は制限なしの「嘘を実現する能力」みたいな現実改変能力持ちで、それを頑張って隠しながら、吉良吉影が如く静かに暮らす。

殺人癖がないオーバーヘブン持ちの吉良吉影みたいな男のスローライフ……!

異能バトルなんだけど、あえて弱点を作ることにより強くなる!みたいなルールの世界で、主人公の能力はクソ強力でその癖弱点はない。

周りのみんなが「発動条件は〜」「能力の複雑さは〜」と真面目に考えてるのに、主人公だけ「制限なし、何でもできるし、別世界の能力なので他能力からの干渉を受けない」みたいなクソ設定。

平和に暮らそうとするも、いきなり異能バトルに巻き込まれて能力を使ってしまう!

その異質にして巨大な力の波動を、各地の感知系能力者にキャッチされ、「この地域になんか凄いのがいるぞ!」と業界で大騒ぎに!

通ってる高校もやたらと能力者がいるし、この世界はなんなんだ?!となる。

そんな感じ。

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