ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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さむいよー。


8話 バッド・カンパニー

ヒル・ジャイアント。

 

ネリアポリス東側の山岳地帯に生息する大型モンスター。

 

その大きさは、一般的なマギアメイルと同じく、全長8mにまで達する。

 

タングステン等レアメタルが多く含まれる外殻に、マギアメイルの炉心として使える心臓、そして、マギアメイルの最も重要なコアパーツになる『大型魔石』を持つモンスター。

 

外見は、岩のような質感の甲殻を纏う、ずんぐりむっくりとした人型で、家屋を踏み潰し、人間を一口で捕食する化け物である。

 

マギアメイルでも討伐は難しく、それらの素材は市場には滅多に出回らない。

 

大型魔石は、基本的には、国有のワイバーン牧場で生産されるのが殆どである。

 

ダニエルは、そんな大型の化け物を、半日の遠征で四体も仕留めて帰ってきた。

 

これには、ドン・エスポジートも驚いた。

 

その驚きや恐れを表に出すことはないが、目に見えて機嫌が良くなるくらいには、気分の昂揚があった。

 

ネリアポリスは、長年東部を困らせていたヒル・ジャイアントを四体も減らせたことで、大いに喜ぶ。

 

喜びのあまり、お祭り騒ぎが始まるほどに。

 

流石に、毎度毎度ドン・エスポジートが出張るのはおかしい話なので、今回は、ドン・エスポジートの息子にしてアンダーボス(若頭)であるスパーダ・エスポジートが出迎えをした。

 

スパーダは、ドン・エスポジートにそっくりで、ドンが若返ったかのような姿をしている。強いて言えば、ドンより柔らかな印象があるが。

 

以降も、スパーダは、ダニエルの応対役となる……。

 

「素晴らしい成果だな、シニョール・ダニエル」

 

「あんたは?」

 

「ドンの息子、スパーダだ」

 

「ふむ……、息子を迎えに寄越すくらいには重視されているということか。中々に光栄だな」

 

「ああ、それで……、契約だが……」

 

「レアメタルである外殻と骨は多く貰いたい。だが、それ以外は不要だ」

 

「不要?!」

 

スパーダは、思わずに飛び上がった。

 

このスパーダという男は、経済学を学ぶために、大国である『ドレイク帝国』に留学していた経験のあるインテリだ。

 

ヒル・ジャイアントの値段がどれほどになるかを知っている身からすると、外殻以外を不要と言い切るのは「気が知れない」というものだった。

 

外郭と骨を抜きにしても、四体のヒル・ジャイアントの素材は、現代日本円にして十億円は遥かに超えるだろう。

 

「まさか、分からない訳でもないだろう?大型魔石はどこの国も欲しがる戦略物資だし、血はエリクシア・リキッドなどの素材として大いに売れる。肉や内臓だって魔法儀式に使えるし、心臓はマギアメイルの炉心に……」

 

「いや、要らない。全部そちらに上納する。代わりに、純金を200グレム(グラムとほぼ同じ)とプラチナを100グレムほど用意して貰えるか?」

 

「……分かった。貴方がそれで良いなら。但し、純金とプラチナは500キルグレム用意しよう。我々は物乞いではないからな、対価は払わせてくれ」

 

「よし、じゃあ、このモンスター?とやらを解体して貰えるか?解体を終えたら、北の街外れにある森へ持ってきてくれ」

 

「北の森……、チェリスの森か?」

 

「ああ、そこに拠点があるんだ」

 

「よければ、街に宿くらいは用意するが……」

 

「いや、結構だ」

 

 

 

ヒル・ジャイアントの解体と、レアメタルの輸入には、一月の時を要すると連絡があった。

 

なのでダニエルは、その間、風光明媚なネリアポリスの見物と、スパーダの護衛に時間を費やすこととした。

 

とは言え、エスポジートファミリーが支配するネリアポリスにおいて、ファミリーに楯突くような者は存在せず、護衛の必要性は殆どなかったが。

 

国家中枢から送られてきた官僚の類も、ファミリーに逆らえないように賄賂漬けにされているが故、今のところ、ファミリーに逆らう存在はこの近辺にはいないのだ。

 

中央は、今勢いが強いソラネル共和国を抑えることに必死だから、という理由はあるが、そうでなくても基本的には、ネリアポリスのような地方はほぼ放置して税金を持っていくだけ。

 

そんな有様だから、自助組織としてマフィアができ、存在を黙認されているのだが……。

 

「ですが、犯罪シンジゲートなど、社会が発達すればすぐに排斥されます」

 

とニアは言った。

 

「確かにな。遥か昔……、二十一世紀頃には、マフィアだのヤクザだの、そういう連中は一掃されたもんな」

 

ダニエルはそう返す。

 

そう……、社会のシステムが確立していくにつれて、「犯罪」という行為は、どんどんやり辛くなっていくものだ。

 

「宇宙移民が始まった二十五世紀頃には、宇宙海賊なども出ていたそうですが……」

 

「今はめっきり、そんなもんは見なくなったらしいな」

 

「肯定です。宇宙海賊などという、リスクが高い割に旨味がない犯罪をやるより、真面目に配信者でもやった方が、よほど儲かりますから……」

 

「そもそも、金そのものがあんまり使われない文明だったしなあ……」

 

ダニエルとニアの視点では、マフィアが悪であることも当然理解しているが、それよりも、マフィアが生まれる社会が間抜けだと感じている。

 

そして、マフィアなどという存在が存続できるのは、多めに見積もってもあと百年ほどだろう、とも。

 

あと百年もすれば、社会システムがそこそこに整備されて、「犯罪してまで稼ぐのが割に合わない世界」になるだろうと予想しているのだ。

 

まあ、もちろん、核戦争でも起きなければの話ではあるのだが……。

 

「しばらく過ごした感じでは、エスポジートファミリーの人らはかなり良い感じだな」

 

「はい。この時代の人間にしては、かなり丁寧な対応をしてくださいますし、地球ともマナーはほぼ変わりませんから不快感は感じませんね」

 

「なるべく生き残らせてやりたいよなあ……」

 

「その為には、犯罪をせずとも豊かに生活できるビジネスモデルの提示をするべきでしょう。ですが、今の時代にそれを語っても、夢物語と切り捨てられるのがオチかと」

 

「そうなんだよなあ……」

 

ダニエルには、基本的に情はないが、感情はある。

 

恩人が沈む泥舟に乗っていれば、外野から注意くらいはするのだ。

 

手を差し伸べるまではやらないが。

 

「そもそも、帰る方法を探すべきでは?」

 

ニアの提言。

 

ご尤もな話である。

 

だが。

 

「いやぁ、無理でしょ。これ、次元湾曲反応だろ?」

 

「ブルームーン号の計器の示す情報と、データベースが示す情報を照らし合わせますと、その可能性が最も高いですね」

 

「俺達に寿命なんてもんはないから、それは置いておくとしても……、帰る為に研究とかすると、千年くらいかかるんじゃないか?」

 

「シミュレーションによると、この世界で研究者や施設を作って、それで千年ほど研究をすればあるいは……」

 

「だよなあ……。次元湾曲反応なんて、五十七世紀でもほぼ未知のものだし、この世界で実験をやるとなると、星をダース単位で潰す覚悟と資材と人材が欲しいもんな……」

 

「現実的ではありませんね」

 

「まあ最終的にそれを目指すとしても、しばらくはこの世界で休暇と洒落込もうぜ、相棒」

 

「肯定ですね。銀河大帝を倒した我々には、有給休暇を消費する権限があるはずです」

 

「まあ、もうネットワーク回線とか繋がらんから、金も引き出せないんだけどな!」

 

「「ワハハハハ」」

 

「笑えないな」「笑えませんね」

 

「とにかくさぁ、このファミリーでそこそこの立場になって、この世界で生活する基盤を作っていこうぜ」

 

「私達ができることと言えば、戦闘なのですが」

 

「良いじゃん良いじゃん、やってやろうじゃん。傭兵団でも結成する?」

 

「良いと思いますよ。今回手に入った資材で、廉価版のグリムギアもどきを作りましょうか」

 

「そうだな、自由に使える兵力は欲しいな」

 

そんな話をしながら、傍目から見ればイチャイチャしている二人の前に、話を盗み聞きしていた人間が……。

 

「頼むっ!そのプロジェクトに、私も参加させてくれえっ!!!」

 

飛び出してきた……。

 




仮面ライダービルドを見ながら小説を書き書き。

サイバーパンク学園は結局9話までしか……。

ブルアカをやることによってパワーを溜めることとします。

むしろ、スカイリムをやっているからスカイリムっぽい話が書けちゃってます。

まだ全然序盤ですけど、本格戦記ファンタジー!……にドヴァーキンみたいな奴が乱入して大変なことになるクソアホファンタジーだね。

斜陽の帝国、ボンクラ王子を傀儡にした大貴族。そしてそれに反旗を翻した第二王子率いる革命軍(勇者付き)!

そこで、オープンワールドゲームの理論で暴れるカス。

一応考えているのは、最初は政府軍側で革命軍をジャンジャンバリバリ殺しまくるんだけど、「政府軍側の指導者の態度が気に食わない」と実にオープンワールドゲーム的理由で裏切り革命軍側について大暴れ!みたいな?

それはそれとして異世界転生ナーロッパで能力隠しものを書きたい。

なんか知らんけどまたいつものように激つよチート能力持ちの、チートなくてもクソ強いサイコパスマンが、「人と関わるのだるい」と能力隠しする話。

あれも書きたいこれも書きたい。あーあ、人生が1145141919810回くらいあればいいのになあ(火の鳥並の感想)。


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