ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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あーもう本当に嫌だ。



10:飲食の話

ダンジョンの食材は、美味いものが多い。

 

魔力を含んでいるからだろうか?地球の、品種改良を重ねられた食品に勝るとも劣らない、美味しい食材がかなり存在するのだ。

 

しかし、わざわざ食材を集めるためだけにダンジョンに潜るアホはいないし、そもそも調味料や調理法が未発達なので、あまり美味しい食事はこっちの世界では望めない……。

 

だから俺はこう考えた。

 

地球の技法で、異世界の食材を調理すりゃ良いんじゃないのー!と。

 

 

 

深層、小竜領域にて仕留めたワイバーン。

 

これのリブロース肉をじっくり叩き、ストライプバイソンのミルクヨーグルトに浸し柔らかくした後に、岩塩を馴染ませる……。

 

これを、鉄板でじっくり焼いて、そこに、ダンジョン産おろし玉ねぎと醤油をベースにしたステーキソースをぶっかける。

 

ダンジョンで取れた『魔除けニンニク』のフライドオニオンもふりかけて……。

 

山盛りのご飯とサラダ、フライドポテトも添えていただきます!

 

「……美味い!」

 

ワイバーンの肉は美味いのだが少々硬いのだ。

 

それをどうにかするために、じっくり叩いてからミルクに浸して柔らかくしたのだが……、どうやら正解だったらしい。

 

味わいだけなら、地球の高級和牛に勝てるくらいの旨味のある肉なのだ。柔らかさまで兼ね備えたらもう最強。

 

ダンジョン産のソースを使ったのも良い点だ。

 

玉ねぎもダンジョンで取れるもの、醤油も、ダンジョンで取れた豆から自家製で作った。だから、肉の旨みに負けていない。

 

特に、ダンジョンのヨーグルトに漬け込んだのが一番の決め手だな。

 

地球のヨーグルトに漬け込んだこともあったのだが、地球のヨーグルトではここまで肉を柔らかくすることはできなかった。

 

しかし……、魔力の力だろうか?ダンジョンのモンスターの乳から作ったヨーグルトは別格だ。食べても美味いが、肉を柔らかくする効果が段違いなのだ。

 

焼けた肉を頬張り……、そこに米!

 

しかもガーリックライス!

 

もう無敵ですよ無敵。

 

あー美味い!

 

ついでにダンジョンの果実で作った酒も飲む。

 

あー美味い!

 

「……今日のは当たりか?」

 

ハリーが横から出てきた。

 

はて?

 

当たり、とは?

 

「旦那が食ってるのは、極端に美味そうなものか、ゲテモノかのどちらかだからな……」

 

「……そうか?」

 

「バジリスクのシチューやトラウトのソテーならまだ分かるんだが……、生の魚肉とか蜘蛛とか食ってるからなあ……」

 

「蜘蛛?ありゃ蟹だろ」

 

「カニ?カニってなんだよ?赤くて足が八本、毒蜘蛛じゃないか」

 

あー?

 

「見たことないのか?蟹」

 

「知らないね、故郷の山にはいなかった」

 

うーん……。

 

こう言うところでも、教養の差が出るよね。

 

蟹を見たことも聞いたこともない人は、食べ物じゃなくて虫かなんかだと思う、ってことか。

 

「知らねえのかお前?蟹だろ?茹でると赤くなるやつだ」

 

横から現れて、俺の肉を掻っ攫っていったのは、アマゾネスのアンティオ。

 

「アタシの故郷でもよく食ったもんさ。ま、アマゾネスは蜘蛛も食うけどな!」

 

「うげぇ、信じられねえ……。でも、生魚は食わないだろ?」

 

「そりゃそうだ、食ったら腹を壊すよ」

 

そこに、更なる刺客が。

 

「「いや、生の魚は食うだろ?」」

 

北方から来たドワーフ、ロジャーとマーティンの二人組である。

 

「北の方では、魚を捌いて吊るしておくと半分凍ってシャーベットみたいになるんだ」

 

「肋の肉をスプーンで掬って食うんだが、これが最高でな!火酒の最高の友だ!」

 

「「うえーっ……」」

 

ハリーとアンティオは顔を顰めた。

 

文化圏の違いだなあ。

 

ぼーっとしていると、完全にアンティオに肉を食われてしまった。

 

食い足りないので追加で何か作るか。

 

そうだ、せっかく鉄板を出しているんだし、焼きそばでも作るか。

 

具材はネギと、ステーキを作るときに切り落としたワイバーンの端肉を使って、塩焼きそばでいく。

 

そうやって麺を焼き始めると……。

 

「「「「……管虫?」」」」

 

どうやら、麺も知られてないようだ。

 

「麺だよ、麦を水で練ったもの」

 

「パンで良いだろ……?」

 

「これはこれで美味いんだよ」

 

「……匂いだけなら凄く美味そうなんだが」

 

ハリーはそう言って、俺の隣に座った。

 

「味も美味いけどなあ」

 

「いや、俺は食いたくない」

 

「やるなんて一言も言ってねーよ」

 

ずぞぞ、と俺は麺を啜った。

 

「汚ねえなあ!」

 

「こういうもんなんだよ!」

 

そしてビール!

 

美味い!

 

「アレはないのか?あの、パンに肉と野菜を挟んだやつ……」

 

バーガークイーンか。

 

アレ買ってくるとこの世界の冒険者共が勝手に食うから、少し多めに買わなきゃならないんだよな。

 

まあ、バーガークイーンのハンバーガーなんて、俺の総資産からすれば誤差みたいなもんだが。

 

月に二日三日働くだけで、サラリーマンの生涯年収をはるかに超える額のカネが舞い込んで来るんだ。

 

バーガーの一個や二個で騒ぐ必要はない。

 

魔法で発酵も熟成も自由自在だし、時間すらも無意味。

 

……けど、パシリになるつもりはない。

 

「にしても、ごちゃごちゃうるさい奴らだな、お前らは。ゲオルグのおっさんなら何でも食うぞ」

 

「「「「あの人は英雄だから……」」」」

 

別に刺身を食うのは英雄的行為とかじゃないです……。

 




なんで忘れるかなー。



今はゲーム化地球の続きを書いてます。

自衛隊駐屯地に向かって、女の子達の身内の生き残りを探す感じ。

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