ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ねむねむ。



24:びっくり!ハプニング!

「ナナオの尻は私のものだ!私だけのものだ!!!」

 

ほう、アイリス学園風紀委員会情報部主任の望月サナキさんは、寝言を起きながらにして叫ぶという素晴らしい特技をお持ちのようだ。

 

「違うね……」

 

「何ッ?!」

 

「この学園の美女の、お尻もおっぱいも俺のものだ!!!!」

 

と、俺は対抗して宣言!

 

「何だとーっ!!!!」

 

バトル開始だ!

 

「……そもそも、私のお尻は私のものなんだけど」

 

あとついでにナナオが死んだ目をして呟いた……。

 

 

 

「貴様ぁっ!お尻だけじゃなくおっぱいの所有権まで宣言だとぉっ?!なんて太え野郎なのだ!ナナオくん、逮捕しろ!」

 

「したいですけどできないんですよね……。できたら本当にしたいんですけど……!」

 

ホロリと涙をこぼすナナオ。

 

かわいそう……。

 

「サナキだったか?お前のお尻とおっぱいも俺のものだー!」

 

まあそれとは関係なく、俺はサナキに抱きついた。

 

「ぬわー!……ん?悪くないかもしれないな」

 

と、クンクンと鼻を鳴らすサナキ。

 

ふむ?

 

「ふむふむ……、オスの匂いは初めて嗅ぐが、悪くない……、悪くないぞ。だが、お尻もおっぱいも硬いのがなあ……」

 

などとぶつくさ言いながらも、俺の身体を撫で回す。

 

バイなのかな?

 

もしかして、今まで男に会ったことがないから、バイだと気づかなかったとか?

 

そんな感じで、俺とセクハラバトルをしているサナキ。

 

それに対して、無の顔したナナオが言った。

 

「あの……、誘拐事件の資料を……」

 

「おっと、すまない。あまりにもセクハラバトルが愉快でね。資料を用意しよう」

 

そう言って、サナキは、首の後ろから伸縮有線プラグを引き出す。

 

へえ、有線か。

 

こういう保安施設とかのサーバには、無線接続がそもそもできないパターンはよくある。

 

無線通信が可能だと、ハッキングできてしまうからな。

 

こうして、物理的なプラグでサーバに直接ジャックインできる形式が一番安全だ。

 

しかもこの端子、JJB-type:G887……。

 

かなり珍しいタイプ。

 

これなら、限られた人員にしかアクセスできないだろう。

 

良いねえ。

 

そして数秒でデータファイルをダウンロードしたサナキは、そのファイルに流出防止プロテクトをかけてから、ナナオに光接続無線通信で送った。

 

サナキの網膜に光パターンがチカチカと表示され、それをナナオの網膜カメラがスキャンするのだ。

 

この光パターンはワンタイムパスワードで、このパスワードを受け取った者同士が電脳をローカルネットに繋げて一時的なP2P通信をするって訳だ。

 

ナナオの脳核に送られたデータファイルは、今度はナナオがカルイとミコシ、そして俺に共有してきた。

 

もちろん、編集不可の観覧専用ファイルとして。

 

で、見た感じ……。

 

「……うーん、特に変わったことはないねえ」

 

カルイが呟く。

 

そう、変わったことがないのだ。

 

「誘拐多発とは言うが、これでは誤差レベルではないか?」

 

ミコシもそう言う。

 

学園都市は確かに治安が良いが、それでも、月に三、四百件くらいは誘拐事件や行方不明がある。

 

今月は五百件あるが、誤差の範疇だ。

 

その手口も、夜中に歩ってる女の子を、裏路地に引き込んで……とか。

 

ごく普通だ。

 

有意的なデータには見えないが……?

 

「そうね……、とりあえず、現場まで行ってみないことには何とも言えないわ。行くわよ、カルイ、ミコシ」

 

「「おー」」

 

 

 

俺も暇つぶしに着いてきた。

 

「……何でいるの?」

 

「ノリで」

 

「はあ……。邪魔はしないでよ?」

 

ため息を一つこぼしたのち、キリリと顔を引き締めたナナオが、捜査を開始する。

 

「現場はここ。カブキ・シティのサクラ通り、コンビニエンスストア『ミツイマート』三号店の裏路地にある駐輪場。事件発生時刻は一昨日の午後十一時ごろ……」

 

資料が網膜カメラに投射される。

 

何々……?

 

被害者は、田中マイナ……、17歳。

 

夜中にコンビニに行ったところを、複数人に捕まって……とあるな。

 

「監視カメラの映像をARとして同期するわね」

 

ナナオがそう呼びかけると、電脳にデータファイルが届く。

 

ウイルスチェックを通した後に、.exeファイルを開くと、網膜に半透明なAR再現映像が映し出される……。

 

『ふんふふんふふ〜ん……、えっ?!』

 

被害の田中さんは、路地裏から伸びてきた手に掴まれる。

 

『な、なにっ?!い、いやあっ!』

 

パニックになって暴れるが……。

 

『うるせえぞ!』

 

『おらっ!』

 

『押さえろ!』

 

三人の顔を隠した女……恐らくは不良生徒に抑え込まれ、気を失う。

 

気を失った理由は、捕まっている最中に首に押し当てられたスタンガンだろう。

 

スタンガンはどこでも買える護身用のもの。

 

「うーん……、素人のやり口ね」

 

そう言ってナナオは、ひっくり返されたゴミ箱を見る。

 

暴れる被害者を押さえつけるために暴行を何度か繰り返してから、捕まえて誘拐した訳だ。

 

プロの誘拐犯ならば、こんな杜撰な手口は使わないだろう。

 

監視カメラに映っている時点で犯罪者として論外過ぎる。

 

少なくとも、犯行現場の監視カメラは無力化するくらいはやってくれよ……。

 

「で、犯人は?」

 

「捜索中……、でもすぐ見つかるわ。先行調査の時点で、犯行に使われた盗難車のIDが割れてるから、防犯ネットワークで検索して一発。めもどうせなら、大元を知るために泳がせて……」

 

その瞬間、ナナオの電脳に連絡が入る。

 

「もしもし?アイリス学園風紀委員会キャプテンIIIの坂本ナナオです。……はい、はい。……な、何ですって?!!」

 

「どしたの?」

 

カルイが首を傾げる。

 

「……誘拐犯が見つかったわ」

 

「あ、そうなんだ。じゃあ……」

 

「但し、『死体』でね……!」

 




サイバーパンク学園、ネタをもらってありがたい。

これからガンガン「透き通るような青春世界」を描いていくんで、覚悟してくださいよ。

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