ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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アンケート、拮抗してて草なんだ。


29話 愛し合う心を育てていったあなたが

「いいのか?」

 

私の一番目の夫が、そう訊ねてきました。

 

「何がです?」

 

と、私は聞き返します。

 

端的な物言いは、通じませんからね。

 

「ナキアのことだよ。あいつ、自分の直属の部下が死んだからって落ち込んでるぞ」

 

ああ、ナキア……。

 

私の娘……。

 

あの子の傅役は、あの子の家出を見逃したのですから、責任をとって親兄弟と共にハラキリをしてもらいました。

 

どうやらナキアは、それがショックだったようですね。

 

ふふふ、ナキア……、可愛い子。

 

部下も、民も、夫も……、我が子すらもいつかは死ぬのに。

 

まだ、少し甘く、繊細さが残っていますね。

 

でもすぐに、私が、母が教育してあげますから。

 

シティの運営のためなら、己の肉親すらをも切り捨てる。それが、ノーブルとして正しい在り方なのだ、と……。

 

「ナキアは、次のシティ・ライコウの支配者……、『ドミナン』になる子です。部下を失うことに慣れなくてはなりません。これも教育ですよ」

 

「そうは言ってもな……」

 

「私のようにドミナンになれば、今度はもっともっと多くのものを失います。その度に落ち込んでいては辛いでしょう?これは訓練なのです」

 

「……まあ、俺ァ、あの子の父親だが、その辺に口出しはできん。けど、少し心配したってバチは当たらんだろ?」

 

「確かに、あの子の種は恐らく貴方ですものね。血を分けた娘ともなると、情が湧きますか……」

 

「そういうことだ。……そうだ、あの、『恐竜旅団』とかいう連中との取引はどうなった?何かオモチャでも買ってやれば、あの子の機嫌も治るかもしれん」

 

ああ、その話ですか。

 

恐竜旅団……。

 

子飼いの部下の内、最も切り捨てても問題ない者を交渉役として送り込みましたが、分かったことは三つ。

 

「まず、あの団長……、ハクアという男。彼はどうやら、ノーブルのようです」

 

一つ、彼の団長がノーブルであること。

 

「ほう、ノーブルか。やっぱり、俺みたいに、ノーブルに姓を与えられた元ミリタイなのか?」

 

「いえ、生まれつきのノーブルでしょう。それは、『キカイ』への造詣の深さから分かります」

 

「どういうことだ?」

 

「実は今回、『キカイ』そのものと、その製造法を要求したのですが……」

 

「はっ!オイオイ、キカイの技術なんて、どんなシティも秘匿しているもんだぞ?うちだって、古代遺跡にあった技術をどうにか再現した『製鉄所』があるが、この技術は誰にも漏らさないだろ?」

 

そうですね。

 

技術というのはシティの優位性です。

 

簡単に漏らす訳がない。

 

「そうですね。ですから、ノーブルでも上位の者にならないと、キカイ技術は……、『カガク』はその一端すら知りえません。ですがかの団長は、キカイがインフラ無しには運用も製造もできないと言っていたそうなのです」

 

そう、二つ目の分かったこととして、団長の異様な知識量……。

 

ノーブルの中でも、都市運営に関わるレベルの出自でなければ、キカイ技術についてここまでのことは知らないはずです。

 

ここまでの知識を持つとなると、別のシティのドミナンと言われても納得できます。

 

ついでに言えば、自らの持つキカイ技術の詳細を理解しているだけでなく、インフラの段階からキカイ技術の施設方法を知るだけでなく、複数のキカイ技術を知り、使いこなしているとか……。

 

故に、程度の低いキカイは売り渡して良いと考えているそうです。

 

送り込んだ子飼いの部下も、あの『デンシャ』の中には至る所に考えられないほどのキカイ技術が撒き散らされたと言っていましたから……、恐らく、キカイを売るというのは本当のことなのでしょう。

 

「……よく分からんが、それがどうしたんだ?」

 

「これは、ノーブルの中でも上位の者しか知らない知識なのですが……、キカイというものは、動かす為には『デンキ』というものが必要なのです。そして、そのデンキを供給する為には、『ジェネレータ』や『コード』というものが必要で……」

 

「あーうん、そういう難しい話は分かんねえが……、逆に言やぁ、あの団長のハクアとかって男はそういう話を理解してるってことだな?」

 

「ええ。ですから、あのハクアさんは、恐らくは成り上がり者の私よりも、余程ノーブルとしての格は上でしょう……」

 

そして最後に。

 

「これは憶測ですが……、クスリを作り出すキカイが、あちら側にあるようなのです」

 

三つ、恐らくは多数の、有用なキカイ技術を持つこと……。

 

「クスリを?!そりゃすげえな!『大破壊』前のクスリを生成するキカイなんて、手に入れればそれこそシティを作れるぞ!」

 

そう、そうなりますよね。

 

「ええ。ですから、相手は単なるミリタイ集団ではなく、一つのシティとして扱うべきでしょう」

 

「そうだろうな。オアシスはないだろうが、水は山ほど持ってんだろ?」

 

「そうでしょうね。それと恐らくは、デンシャの内部でクサハナやケモノを育てているでしょう」

 

「移動する一つのシティってことか……」

 

「そうなりますね。となると、事は外交。次からは私が直接、交渉しに行きます」

 

「分かった、その時は俺が護衛になるぜ」

 

「残り二人の夫にも声をかけておいてください」

 

「ああ」

 

さあ、恐竜旅団……。

 

私のシティに、利益をもたらしてくださいね……?

 




中学一年生が好きな人と、中学二年生が好きな人とでバトルしてますね……。

基本システムは、

原作ヒロインをコマす

下僕にする

下僕と己の力を使って原作に干渉する

でいいですよね?

ホビーアニメに出てくる暗躍するタイプの敵が味方か分からん奴、みんな好きでしょ?

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