ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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BE-KINDのナッツプロテインバーにハマってる。


27話 愛の力を抱きしめる

案の定、面倒なことになった。

 

最初のうちは、商取引をしようと近づいてきたアキンド共だが、ジュラ娘達がお人好しで頼まれれば断れないタイプだと見抜くと、奴隷のような見窄らしい人間を並べて「慈悲を乞う」という形で何かしらをもらおうとしてきた。

 

見つける度に俺は発砲までして追い返すのだが、残念ながら脅して言うことを聞くようなお利口さんはこの世界にはいない。

 

例えば、の話なのだが……。

 

アメリカや南米では銃規制が緩くて、その辺の人々が銃を持ち歩いている。

 

つまり、舐めたことをすれば即座に脳天に弾丸が叩き込まれてもおかしくない訳だ。

 

それなのに、犯罪件数は減らないし、銃を持ち歩くことが許されない日本より余程治安が悪い……。

 

何故か?

 

民度が悪いからである。

 

これは悪口のように聞こえるがそうではない。

 

要するに、「騙される方が悪いと考える」とか、「都合が悪ければ暴力を振るう」とか、そういう風潮を国ぐるみで作っているのが悪いと言う話だ。

 

この世界もそうで、日本にあるような道徳観を民衆から感じられることがない。

 

民度が悪いのだ。

 

だからこうして簡単に他人を騙す。

 

騙すことに罪悪感を感じていない。

 

皆、平気で悪事をやる。

 

この前なんて、低レアのジュラ娘を誘拐して、それを対価に何らかの交渉を仕掛けようとしたアホもいる。

 

もちろん、ジュラ娘は星一つの子でもそれなりに鍛えた成人男性くらいの身体能力を持つからそう簡単には捕まらないが……、俺は許せなかった。

 

その犯人に普通に発砲して、マグナム弾で腕を吹き飛ばしてやったが……、次の日にはまた別の奴が同じことをやらかした。

 

もう早速、この街から去りたいのだが……、リソースの収集を何もない荒野でやる訳にもいかない為、離れるに離れられない。

 

「クソが!!!!」

 

俺は、秘密基地の執務室で、机を殴った。

 

「せ、先生……、怒らないでください……!」

 

スミが、耳と尻尾をピンと立ててから、ヘタっと耳を寝かせて言ってきた。

 

「怒るなだと?!こっちはうちの子を攫われそうに……!いや、うん、すまん。スミに言っても解決しないよな」

 

「い、いえ!先生のみんなを心配する気持ちは分かってますから!」

 

「そうか……。ああ、そう言えば、この前は君達の目の前で他人を撃ってしまって悪かった。それは謝る」

 

「……私も、かつてはスミロドンという、弱肉強食の世界で生きる獣でしたから。仲間を守る為なら戦って、その結果として相手を殺してしまうことは仕方ないと思っています」

 

ん?

 

そうだったのか。

 

優しい世界の住人だったのでは……?

 

「意外だな。正直、何が何でも殺すなって言われるかと思ってた」

 

「私達は、野生の獣として、恐竜として……、面白半分で相手を虐め殺したり、感情的になって喧嘩以上の損害を相手に与えることは良くないと言っているんです」

 

なるほどな。

 

まあ実際のところ、知能が高く社会を形成する生物は、よく仲間内で虐めをしたりするし、猫科の生き物なんて特に、狩りの練習として弱らせた獲物を自分の子に殺させるみたいな人間から見たら残虐と思えるような行為をやるんだが……。

 

しかしその辺について逐一突っ込みを入れる男は絶対にモテない奴なんだよな。

 

俺はまともな成人男性なので、スミは一般論で話していると理解し、頷く。

 

「じゃあ、仲間を守る為の戦いだったり、生きる為の狩猟ならば、殺すことも厭わないんだな?」

 

「はい。私達にも、覚悟はあります」

 

なるほどな。

 

恐らくは、そう言ったことを加味しても、ジュラ娘は手加減した上で人間を制圧できるから極力殺さないという話だろう。

 

それに……。

 

「あの、この前拾った子供の時は本気じゃなかった、と?」

 

あの時は、ナキアを攫ったスジモノを殺さなかっただろ?

 

「それは……、あの子は群れの仲間じゃありませんから。群れの仲間を守る時は全力で戦いますけど、この世界の人達の問題に対して、力で介入するのは……、何というか……」

 

ああ、そういう考えをするのか。

 

子供に優しくするのは当然、子供を助けるのも当然。

 

でも、スジモノも人間だから、極力殺しは避けたい。

 

しかし群れの仲間は家族なので、家族を助ける時は相手が何であれ容赦しない、と。

 

そう言うことか。

 

「そうか……。君ら、割とマジで野生寄りの価値観してるんだな」

 

つまりそれってアレでしょ?

 

野生動物みたいにシステマチックな優先順位があるって訳でしょ?

 

野生の世界で生きる動物は、弱い個体は例え我が子でも切り捨てていく。

 

人間のように感情で「ダメな子ほどかわいい!」なんてことはないのだ。

 

だからジュラ娘達も、優先順位が明確なのだ。

 

「はい!私達の一番は、『先生を守ること』!次に、『群れを存続させること』です!」

 

「……その為には、仲間を切り捨てることになっても、か?」

 

「……はい、それが野生の掟ですから。でも!私はそんなことを絶対にしませんよ!みんなを守りますから!」

 

……と言っても、ガチでダメそうな時は低レアの子から切り捨てていくんだろうなあ……。

 

参ったな、これはかなり……、ガチなやつだぞ?

 

低レアの子達を物理的にも悪意からも守りながら、リソース収集か……。

 

かなりキツイが、古代恐竜文明の遺産の面白ギミックトラップよりはマシだ。

 

やり遂げて見せようじゃないか。

 

愛するこの子達の為だ。

 




ホビアニ転生もの、着手してしまった。

いつものようにノープランだが、とりあえず第一話は13話になります。

つまり、本編アニメの13話からスタート。

本編アニメ主人公の弟君視点で、世界観の説明を兼ねたアニメの一つの話をやる。

で、そのすぐ次に、小説主人公である転生者の兄の話。

13話、悪の組織のテロリストが学校を占拠するも、それを謎の黒尽くめの戦士が残虐に倒す!

〜あの黒き戦士の正体は……?〜みたいな煽り文が出てくるんだけど、その黒き戦士の正体である転生者兄の視点。

ホビーアニメの世界に内心でバチバチにキレ散らかしながら戦う、いつものカス主人公。

で、それが終わったら、小説主人公の転生者兄視点での過去回想に入る。

こんな感じでやりたい。

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