ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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金が欲しい……。


18話 荒んだプラネット

「むー!」

 

ぷくり、と頬を膨らませて、可愛らしく「怒ってますよ」アピールをするプテラ。

 

「ん……?ああ、ごめんな、ムードが良くないな」

 

ぶっちゃけた話、いきなりレイプみたいなディープキスをかましてくるギャル女にムードがどうこうみたいに怒られたくないんだが、まあそこは女の子なのでと言うことで。

 

どちらが悪いかと問われれば、この場面では俺が悪いしな。

 

まるで、仕事ばかりで家族に構わない駄目親父のようだったと自省する。

 

「ごめんな、よしよし」

 

「んぅ……♡許しちゃう!」

 

抱きしめて頭を撫でてやる。

 

幸せそうに俺の胸板に頬を擦り付けるプテラ。

 

……良く考えれば、ジュラ娘って俺の肉体を素手でへし折れるんだよな。

 

それとこんなスキンシップをするとか、俺は割と凄い奴なんじゃないだろうか?

 

 

 

「何かねー、オバケは……あっ、えっと、『アポカリプス』だっけ?あれはいなかったよ!でも、人の匂いがするから、誰かのお家なのかもねー」

 

コーラフロートのアイスクリームをつつきながら、プテラは答えた。

 

『アポカリプス』というのは、あのアバドナなどと呼ばれるバッタなど、モンスターの総称だ。

 

「人、か……」

 

さて、人がいるとのことだが。

 

俺はエンジ村で、ここに人が住んでいるなどとは聞いていない。

 

ここら辺で直近で人が住んでいるのは、目的地のダイナーフォーチュンだけだと聞く。

 

なんだかきな臭いな。

 

エンジ村の持つ情報が古いだけと言う説もあるが……。

 

「人がいるかもしれない、とのことだが、他に何か変わったものは?」

 

「鳥がいたよ。走りそうなやつ」

 

チバシリ、だったか。

 

走る陸鳥で、この世界のポピュラーな騎乗動物なんだとか。

 

チバシリは、エンジ村にはないくらいに高価なもの。それを連れていると言うことは……。

 

厄介ごと、だな。

 

「ガソリンスタンドは避けて通る」

 

「そうなの?」

 

「ああ、関わるべきじゃない」

 

嫌な予感がする。

 

俺は即座にひみつきちの撤収準備にかかった……。

 

だが、その時である。

 

「ヒャッホー!!!」

 

「ホーホホホ!!!」

 

「ヒャーハハ!!!」

 

陸鳥に股がる複数の男達が、いきなり発砲してきた!

 

「ックソが!迎撃しろ!」

 

俺は素早くその場に伏せて、叫ぶ。

 

「分かったよー!」

 

ケナガマンモスのモースは、巨大なタワーシールドを構えて俺の前に。

 

隣にいたプテラは、電気を纏う二丁拳銃で素早く襲撃者達の足元を撃った。

 

「プテラ?!何やってるんだ、殺せ!」

 

「え、だ、だって、相手は人間だよ?!殺しちゃダメだよ!」

 

ダメな訳あるかよ、あっちが先に撃ってきたんだぞ?!

 

クソ、善良さが悉く裏目に出るな!

 

「じゃあ無力化しろ!それくらいはやってくれ!」

 

「わ、分かった!」

 

プテラは、銃をしまって、素手で挑みかかる。

 

遠距離アタッカーで防御力が低いプテラだが、それでも、襲撃者達が撃ってくるような粗製のパイプ銃如きでは、高ランクジュラ娘の身体に傷はつけられない。

 

プテラは銃弾を腕で弾きながら、真っ直ぐに襲撃者達の方へ向かって行った……。

 

そうこうしているうちに、騒ぎを聞きつけたジュラ娘達が集まる。

 

ジュラ娘はタワーディフェンスゲームだ、守る方が得意なんだ。数が揃えば負けはない。

 

アンキロサウルスのアン、トリケラトプスのリッケ。

 

最高レアの二人のタンクが、俺の目の前で盾を構えて、防御系のスキルを発動したのを見届けて、俺は立ち上がり、襲撃者達を観察した……。

 

襲撃者。

 

人数は二十人ほど。

 

粗製な廃材アート(パイプ銃)を構える男達。

 

薬物中毒でボロボロになった肌と髪、黄ばんだ乱杭歯、不自然に膨らんだ筋肉。

 

アポカリプス共の皮を剥いで作ったらしい、粗末な革と甲殻の鎧。

 

世紀末トンデモ拳法漫画の雑魚悪党のようでいながらも、ファンタジー世界の邪悪なゴブリンやオークのような、生理的嫌悪を感じさせる不愉快な造形の連中だ。

 

「テメェーーーら!『シティ・ライコウ』からの刺客だなァー?!!」

 

「ガキを取り戻しに来たって訳か!」

 

そう叫ぶ男達は、この世界では考えられないほど小綺麗で、質の良いシャツを着た少女を前に出した。

 

金髪に翠の瞳の、整った顔の美少女だ。

 

「あ、あんた達!お母様が雇ったミリタイなんでしょ?!早く私を助けなさい!」

 

情報の洪水をワッと浴びせかけられ、一瞬フリーズする俺。

 

そして、その断片的な情報が頭の中に嵌って、クソみたいな展開が見えて来る……。

 

攫われたガキ、シティ・ライコウの偉い人の子供?ああもう勘弁してくれ。

 

謝ればいいのか?土下座するし靴も舐める。

 

だからこれ以上、面倒を持ってこないでくれ。

 

クソが、これは、逃げても関わっても面倒だぞ……。

 

仮に逃げた場合、ここにいる襲撃者とガキは俺達の目撃者に早変わり。

 

シティ・ライコウの重鎮(?)の縁者を見捨てた悪党として、街一つと敵対ルート。

 

助けた場合も、このガキをシティ・ライコウに送りつける必要が出てくる……。

 

皆殺しで「誰も何も見てません!」としたいが、それをやると道徳心の塊であるジュラ娘がどんな反応をするのやら……。

 

ああ、こりゃあ駄目だ。

 

詰んでるな。

 

 

 

こうなれば仕方がない。

 

どうすれば、これ以上傷口が広がらずに済むか?を考えて行動するとしよう。

 

俺は小声で、近くに潜むとあるジュラ娘に指示をすると、自分の銃を構えた。

 

「何やってるんだお前ら!早く制圧しろ!」

 

「でも人質が!」

 

スミが叫ぶ。

 

「俺達には関係ないだろうが!こっちは撃たれてるんだぞ!」

 

「〜〜〜ッ!わ、分かり、ました……!」

 

やはりか!

 

日頃から色々試していたのだが、「ジュラ娘達は俺に逆らわない」!!!

 

だが……。

 

ジュラ娘達は、無手でジリジリと近付くだけで、誰も直接的な行動には移らなかった。

 

そう……、「ジュラ娘達は俺の命令に逆らわないが、可能な範囲で逆らう」ということだ!

 

つまり、今のような場面では、俺の命令で「敵の制圧」をしようとしながらも、自らの善性に従って「無傷で鎮圧し、人質も助けようとしている」訳だ!

 

ゲームと同じだ!ジュラ娘達は、タワーディフェンスゲームとして、「常に最高評価の行動を取ろうとする」!しかし、「強制的な命令があれば、最高評価を切り捨ててでもビターな結果を目指す」訳だ!!!

 

よし、そうとなれば!

 

俺は、構えた銃を適当に盲撃ちする……!

 




あー書けない。

どうしよ。

書き溜めがマジでピンチ。

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