ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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人生リセットしてえ。


28話 憤怒の聖騎士

「セイ、何か変なことは起きてないか?」

 

「あ、アルフレッド先輩!大丈夫です!」

 

俺に話しかけてきたのは、先輩騎士のアルフレッドさん。

 

アルフレッド先輩は、火の国の貴族の三男坊から、『騎士』の加護を活かして聖堂騎士団に入団し、それから七年目のベテランだ!

 

確かに、加護の話をすれば、俺の『聖騎士』の加護の方が格上だ。

 

けど、アルフレッド先輩からは、学ぶべきところが山ほどある。

 

学のない異世界人だからって見下すようなことはしちゃダメだな。

 

この世界の人はこの世界の人なりに頑張ってるし……、そもそも論だが、学ぶべきところなんて自分で見つけるもんだ。何でも教えてもらおうって甘ったれた姿勢は駄目なんだよな。

 

今日も、無事に宿屋まで辿り着いたので、巡礼者と共に休む。

 

宿屋と言っても、個室の宿屋なんて貴族向けの金持ち宿だけだ。

 

普通の宿屋は、大部屋一つだな。

 

流石に、色々と不都合だから、ちょっとした天幕のようなもので、パーティションみたいにして女子と区切る。

 

俺の『聖属性魔法』で汚れを弾き飛ばし、宿屋のキッチンを借りて料理をする……。

 

料理と言っても、簡単なものだけどな。

 

ライ麦パンと、バターで作ったペミカンを溶かして味を整えたスープ。

 

味はまあ、最低限のレベルは維持していると思う。アルフレッド先輩は、「旅先でこんなにうまいスープが飲めるなんて最高だ!」と喜んでいるが……。

 

「良いか、セイ?今回のような護衛の時は、護衛される人々の様子に気を配るんだぞ。我々に遠慮して、体調が悪いのに無理をする巡礼者も少なくない。そう言う時は〜……」

 

「はい!勉強になります、先輩!」

 

夜は、アルフレッド先輩に為になる話を聞く。

 

アルフレッド先輩は、騎士として巡礼者の護衛を中心に、七年間も戦い続けてきたんだ。

 

色んなことを知っている。

 

俺は、アルフレッド先輩のことをとても尊敬しているんだ!

 

 

 

朝は、朝日が登る前くらいに起きて、身体が鈍らないように軽く訓練をする。

 

「そらっ!どうした!」

 

「ぐわっ!もう一回お願いします!」

 

朝の訓練では、アルフレッド先輩にお願いして、稽古をつけてもらっている。

 

加護ありなら100%勝てるが、無しなら100%俺が負けるからな。

 

やっぱり、ベテランって凄い。

 

騎士という、いつ死んでもおかしくない仕事を、七年間も続けているってことは……、ずっと生き残ってきたってことだ。

 

それって、めちゃくちゃ凄いことだろ?

 

それに、アルフレッド先輩は優しい人だしな。

 

「セイ、どうだ?仕事は慣れたか?」

 

「はい!皆さん優しいんで!」

 

「ははっ、そりゃそうだ。お前にはみんな期待してるからな。『聖騎士』の加護と言えば、この聖堂騎士団の初代総長と同じ加護なんだよ」

 

「そうなんですか」

 

「それに、お前自身も良い若者だからな。最上位加護を授かったというのに、油断や慢心がない……。これは凄いことだぞ」

 

「それは……、俺は、俺より凄い男を知っているからですよ」

 

「サー・アークのことか?お前の憧れだって言う……?」

 

「はい!あいつは凄い奴なんです!」

 

「確かに、サー・アークは凄まじい戦士であると同時に、学問にも長けた超人だな。うまいスープの素である『ペミカン』も、サー・アークが開発したとか……」

 

「はい、そうなんですよ!俺は、いつかあいつに追いつきたいんです!」

 

「ははは、そりゃ良いな。頑張れよ!」

 

「はいっ!」

 

俺は幸せだ。

 

良い先輩と、尊敬する上司と。

 

憧れの、背を追いかける目標がいて。

 

先輩も、子供が産まれたから、任務が終わったら嫁さんと子供に会いたいって。

 

みんな、幸せだったんだ。

 

 

 

なのに、先輩は、何で死ななきゃならなかったんだ?

 

 

 

雨が降っている。

 

「先輩……、どうして、なんで、こんな……」

 

血溜まりに倒れ込む先輩、アルフレッド先輩。

 

はらわたが裂けて、ぶち撒けられている。

 

即死だ。

 

どんなに凄い魔法でも、死んだ人を蘇らせることはできない。

 

俺の、聖属性魔法の回復でも、失った命は二度と戻ってこないんだ。

 

「悪の聖堂騎士団め!暗黒騎士シーズウィ様の名の元、『天誅』を下すぅ!!!」

 

先輩の死骸が、踏み躙られる。

 

相手は、魔族だ。

 

恐らくは野盗だろう、薄汚い格好の獣人。

 

ああ、ああ……。

 

「退けろ」

 

「あぁん?!」

 

「その汚い足を……、俺の先輩から退けろって言ってるんだよ!!!」

 

聖属性魔法、発動……!

 

「奔れ白炎!描け白道!『ディバイン・レイ』!!!」

 

魔族の上半身が焼き消える。

 

聖属性魔法、即ち、俺が邪悪と認定した全てを焼き尽くす白き炎!

 

「き、貴様!同志をよくも!『暗黒の力』を喰らえぇっ!!!『ダークネス・カッター』!!!」

 

「無駄だ」

 

「そ、そんな!『暗黒の力』が、かき消され……!」

 

「消えろ」

 

「ぐわあああ!!!」

 

 

 

先輩の懐には、聖堂騎士団の総長に向けた報告書があった。

 

内容は簡単だ。

 

先輩は、『聖騎士』である俺の保護者として守ることと同時に……。

 

最近現れた強力な力を持つ魔族の、調査をしていたと……。

 

『暗黒騎士』が他者に与える『暗黒の力』……。

 

『暗黒の力』を使って、既存権益全てに『天誅』を下す『革命』……。

 

許せない……。

 

そんな、そんな物のために、先輩は……!

 




人生、あらかじめ無料体験版を配信しておくべきだろ。

こんなクソゲーだと知っていればDLしなかったのに。

まあそれは別にいいんだけど、サイバーパンク学園が20話書けた。

今は田舎剣士書いてる。

読者さんからは「好きに生き、理不尽に死ぬ。それが必然だ」と暖かい声援をいただいており、つまりは書きたいものを書けと言われています。

ですが、やっぱりそろそろ何か完結させたい!そう言う気持ちは当然ある訳です。

が、ムンムンと湧いてくる新作への欲求!

書きたい……、書きたいぞ!救済ものを!!!

たまにはスチームパンクとかやってみませんか?魔法ありで。

スチームパンク的世界でぇ、悪の独裁者に捨て駒にされた女の子兵士を助ける話とかどうです?

十代半ばくらいの本屋さんとかの美少女が、高校を中退させられて無理矢理徴兵されて、適当な型落ち装備を持たされて敵陣に置いてきぼりにされて、その隙にお偉いさんは外国に亡命してる……、みたいな。

問題は、ゲーム世界転生となると、そのゲーム分の設定をしっかり組まなきゃならんことなのよね。俺みたいなその時のノリと勢いでライブ感の赴くままオリチャー発動させちゃうタイプの作者には向かないのだ……。


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