ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ウー体調。

湿度高くて汗かくのに、気温は寒くなってきて、身体がバグってる。

ほんまクソ。


18話 時折くさいのが良い

タムストール。

 

現代日本から見れば過疎地域だが、この時代のこの世界からすれば、中規模なそこそこの格を持つ都市国家だ。

 

中規模な都市国家ともなると、富が集まる。

 

交易で栄えているとなると、尚更に。

 

富が集まれば、「そういう連中」も湧いて出る。

 

これは仕方がない、世の中ってのはそういうものだ。

 

性善説など所詮嘘っぱち。貧すれば鈍する、倫理など現代人の浅知恵に過ぎないとよく分かる……。

 

「げへへ、これだけ立派な馬なら、とんでもない値段で売れるに違いねえ!おらっ、来い!」

 

「………………」

 

「このっ!このっ!動けこのバカ馬!」

 

「ブルルッ……、ヒヒーン!!!」

 

「ごピッ?!!」

 

あー。

 

ありゃ死んだぞ。

 

「こら、『プラーナ』!道を汚すな!気をつけろ!」

 

「ヒヒーン……」

 

黒い馬だ。

 

この世界の人間は小さい。男でも、平均身長は160cmを切るだろう。

 

故に、そんな小さい人間達が乗り回す馬も、ひどく小さい。

 

現代のスマートなサラブレッドと比べれば、短足で、足が太くて、二回りほども小さいポニーのようなものだろう。

 

だが、この馬は違う。

 

闇を溶かしたかのように美しい黒色で、立髪もサラサラで長く、赤い瞳を持つ。

 

最大の特徴は、騎士の乗る重種馬よりも更に大きく重厚な、凄まじい巨体だった。

 

前脚で人間の頭を踏み潰すくらいの、強大な筋力も持つ。

 

この世界において馬とは、極めて高価な財産となるのだが……、これほどの馬なら、普通の馬十頭と交換しても惜しくはないと言われるくらいの、凄まじい価値がある巨馬であった……。

 

はい、うん。

 

この馬、プラーナですが。

 

造りました。

 

盗賊騎士……、騎士が野盗に堕ちたような連中を、昔討伐したのだが、そいつが持っていた馬を捕まえて、ウイルスを投与して改造。

 

カマラのアドバイスの元、正確な分量を投与し、錬金術師の加護持ちの知り合いに頼んだ薬を色々と投薬し……。

 

それにより、変異を重ねて、普通の馬からこの凄まじい巨馬を創り出したのだった。

 

人間並みの高い知能、自動車並みの速度で走る凄まじい筋力、鋼鉄よりも堅牢な骨格……。

 

まあうん、軽い気持ちでバケモン作っちゃったな。

 

でもその辺を言えば俺達が化け物なのでセーフという理論を押し通させてもらうぞ!

 

だってね、よく考えてほしいんだよ俺は。

 

ぶっちゃけた話をすると、別に全然歩けるよ?俺らはネオ・ヒューマンだからね。

 

でも騎士だから、立場上、馬の一頭くらい持っていないと格好がつかないんだよ。

 

舐められる訳だ。

 

そして、この世界で舐められるってのは、命に関わる。

 

人権も福祉も碌にないこの世界では、その代わりに「強さ」が人権を担保し、「共同体への貢献度」が福祉を担保する訳だ。

 

つまり、舐められると、「あいつ雑魚だし、あいつの仲間も怖くないから、ぶっ殺して奪ってやろうぜ!」と、その辺の人間から思われてしまう訳だな!

 

え?「人間は例え、相手を殺せる立場にあっても、いきなり殺したりはしない?」

 

んー!

 

そうだとね、俺もね、楽なんですけどね!

 

俺が好きだった漫画の話をしようか。

 

それにね、名台詞があるんだよ。

 

『侍の本懐とは!ナメられたら殺す!』ってね。

 

この世界、大体どこもこんな感じである。

 

そりゃあもちろん、優しい人だっているさ。

 

だが、現代日本と比べれば、地獄そのものだよマジで。

 

舐められたら拙いし、舐められたら殺さなきゃならないんだよ。殺さなきゃ『ならない』んだ、義務なんだ。

 

俺が舐められると、俺の所属する共同体である聖堂騎士団にも迷惑がかかる。

 

つまり、俺が舐められると、「なんだ、聖堂騎士団って雑魚じゃん!」となり、「今度から聖堂騎士団狙って略奪しようぜ!あいつら雑魚だから!」ってなる訳だな!

 

いやぁ、末法末法!

 

……笑い事ではない。

 

まあとにかくそんな感じで、舐められないようにしなきゃならない。

 

だから、わざわざ鎧をこさえて、大槍をいつも持ち歩いて、クソデカ黒馬に跨り、偉そうに強そうにしなきゃならん訳だな。

 

「全く……、この世界の人間、マジでクソだな!!!」

 

そう叫ぶのはカマラ。

 

お前の人格もクソですが……?

 

「……なんだその目は?僕の人格否定かこのヤロー!」

 

「そうだなあ」

 

「おらっ!このっ!大体にしてお前が悪いんだろうが!『遍歴騎士』になったんだから、召使いの一人や二人、用意しておけよっ!」

 

「はぁー????俺が用意した召使いを、お前が嫌だっつって拒否ったんだろうがよ!」

 

「……だ、だって、デカい男の人、怖いんだもん」

 

「怖いんだもん!じゃねーよ!この世界はナーロッパじゃねえんだぞ?!美少女魔族奴隷なんて従者にしても、舐められてレイプされて殺されちまうんだよ!!!」

 

「ま、まあ、それはそうだが……。も、もうちょっとなんとかならないか?美少年とかさ」

 

「ならねーっての!美少年もレイプされて殺されるわ!第一、その理論でいくと俺もデカくて怖い男だろうが!!!」

 

「え?そうか?お前はイケメンだし優しいし、良い匂いとかするじゃんか」

 

「お、おう」

 

何で急に褒められたの俺?

 

「と、とにかくっ!ネオ・ヒューマンとしての変異能力で嗅覚を制限できるとは言え!臭くて不潔で粗野で、僕の美少女ボディをキモい目で見てくる男の従者はやめろってんだよ!」

 

「中世世界で難しいこと言うなよお前……。大体にしてお前は可愛くて色っぽいんだから、そう言う目で見られるのは仕方ないだろ?」

 

「えへへ……、お前よく分かってんな!僕、やっぱり可愛いよなあ〜!」

 

「まあでも風呂には入って欲しいが」

 

「浄化の魔術使ってるから臭くはないだろ?!!」

 

「いや時折くさい」

 

「テメーっ!!!」

 

はぁ、どうするか……。

 

「なあ、別に良いだろ、むさいおっさんが従者でもさ。聖堂騎士団の紹介だから大丈夫だって」

 

「嫌だ!男はダメだ!と、とにかく、奴隷市場にでも行ってみないか?裏切る心配の薄い魔族奴隷を買っておこう、な?」

 

「な?じゃねえんだよなあ……」

 

「だ、だってぇ!この国の男、怖いんだもん!ワンチャン魔族奴隷の方がマシまであるもん!」

 

もん!じゃねえよ、似合わねえぞ陰キャ。

 

「そ、それにほら……、手足ないやつとか買ってさ、ウイルス注入して治してやって、『神の奇跡でーす!』とか言えば、勝手に従うって!な?裏切らないやつにしよう!で、怖くない奴!」

 

ったく、この女は本当になあ……。

 




カマラの見た目が、地味で陰キャなんだけど、ムチムチのエロい身体してて時折くさいって感じ。かわいいね。

サイバーパンク学園ものでは、くさい女の子をあまり書けなそうなので、今作でくさい女の子をたくさん書いていきたい。


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