ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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書き溜めー!


14話 若いって良いよなあ

異世界に来て合計三年。

 

俺達全員が二十歳になった頃……。

 

「就職成功を祝って!乾杯!」

 

「「「「かんぱーい!!!」」」」

 

俺達は、聖堂騎士団の宿舎で、祝杯を上げていた。

 

そう……、無事に、就職活動に成功したのだ。

 

今まで貯めてきたクラス基金で、「今まで養ってやった金を返せ!そうじゃなきゃ言うこと何でも聞け!」と脅しつけてきた火の国に借金を返して。

 

聖堂騎士団で人脈作りと訓練に明け暮れて、数年の従軍の代わりに安定した就職先と、身分の保障を約束され。

 

そうして今。

 

それぞれが、別の道を歩み始める、別れの日と相なった……。

 

「二年遅れの卒業式だ!仰げば尊し、でも歌うか?」

 

俺は、ワインの注がれたゴブレットを傾ける。

 

「はーい!一番、橘改めアヤ!歌いまーす!」

 

「おー!いいぞー!やれやれー!」

 

「……歌詞わかんないや!あはははは!」

 

「はははははは!」

 

ああ、良いなあ……。

 

今まで、こいつらもよく頑張ってきた。

 

俺は、元からかなりのバイタリティがあったから、異世界転移くらいで傷つく豆腐メンタルではないのだが……。

 

クラスメイト達は、心身共に傷つきながら、だがお互いに支え合って、頑張ってきた……。

 

凄いよ、こいつらは。

 

高校生だったんだぞ?それが、ここまでよく頑張ってきた……。

 

「何をしんみり言ってんだよ、阿字……いや、アーク?」

 

俺をアークという新しい名で呼んだのは、白道聖斗……、今の名をセイと名乗る、元ジョックの美男子だ。

 

「ははっ、慣れないな。日本人の名前は、この世界の人間にとってかなり発音しにくいし、苗字があるのも貴族だけだからって、みんな改名したけど……、変な感じだ」

 

「だよなぁ、俺なんて阿字だから、サンスクリット語最初の文字「ア」からアークだぞ?カッコつけ過ぎだよなあ」

 

「そうか?カッコいいだろ?」

 

「厨二だよ厨二。蓮華が……カマラが悪いよカマラが」

 

「カマラ……、お前と同じサンスクリット語の、蓮華って意味の言葉か。愛されてるなあ、お前」

 

「まあそりゃあなあ。あの女、俺のこと大好きだし。口が悪いのも俺なら怒らないからって甘えてんだよ、可愛いもんだ」

 

「ははっ、通じ合ってんなあ……。で、さあ。その……、ありがとうな」

 

「あ?何を……?」

 

酔っているのか、照れているのか。

 

頬を染めたセイが、こちらを見ないで呟くように独白した。

 

「俺らさ、お前みたいな超人と違って、一般人な訳よ。お前と違って、人殺しとか未だに苦手だし、野生の獣捕まえて食ったりすんのも苦手だし……、ぶっちゃけ何もできねーんだ」

 

「そんなことないだろ、お前らは頑張ってるよ」

 

「……お前さ、その気になれば、一人で出て行っても何とかやっていけただろ?俺達を見捨てても、さ」

 

あー……。

 

「まあ、そりゃあな」

 

それは、そう。

 

見捨てなかった理由は、八つ当たりで攻撃されたら怖いってことと、何となく寝覚めが悪いからってことだけだ。

 

俺の能力や加護はまあ強いが、だからといって世界の全てを敵に回して勝てるほどではない。

 

世界の全てに勝てるなら、世界で一番傲慢になって良いだろうが……、俺はそうではないのだ。

 

であれば、周りのことを考えなきゃならない。

 

敵に回さなくていい奴を敵に回さないような立ち回りを。

 

味方を増やすように、敵を減らすように、そうやって社会に溶け込まなければならない……。

 

「本当にさ、感謝してるんだよ。俺達全員、お前が支えてくれたおかげでここまで来れたんだ」

 

「俺一人の力じゃねえよ。知識はカマラが、力仕事は不良共がやってくれたし、お前はクラスのまとめ役をやってくれただろ?他の奴らも自分の加護を使いこなして、それで役立ってた」

 

「はは……、よく言うよ。本当の意味で役に立ってたのはカマラだけだろ?俺達は指示通り動いただけだ」

 

「……どうした?調子でも悪いのか?さっきから、後ろ向きなことばかりだな」

 

「いや……、わりぃ。でもさ、俺達はさ、本当にお前に感謝してるんだ。お前のお陰で、今までやってこれたんだよ」

 

「……そうか」

 

「マジで……、クラスのまとめ役とか、キツかった。俺の器じゃねえんだよな」

 

「いやぁ、頑張ってたろ。総長殿から聞いたぞ?お前が夜な夜な総長殿に、『人を纏めるってどうすればいいんですか?』とか聞きにきたって……」

 

「うえ?!あの人、それ言いふらしちゃったの?!!恥ずいんだけど?!!!」

 

「安心しろ、口止めはしておいた。総長殿も『今時見ない良い若者だ』って褒めてくれてたぞ?」

 

「そ、そうか……、そっかあ……!」

 

 

 

「で、結局……、お前はカマラと『自由騎士』として、諸国漫遊の旅に出るんだよな?」

 

セイがそう言った。

 

「ああ、そうだな。お前のように、本格的に聖堂騎士団に入って宮仕えみたいなのは、俺にはできない」

 

「転移術師の落合……リープは、騎士団の下請け商会を開いて、何年か働けば教会公認の運び屋を始める」

 

「ああ、そうだ。ついでに言えば、インテリ組は騎士団の内勤やって勉強しつつ法律家を目指して……」

 

「オタク達は、しばらく騎士団の持つ村で働いて、手に職をつけて職人を目指すんだったな」

 

「で、不良共は傭兵団を結成、と……」

 

ああ、そうだな。

 

みんなバラバラになるんだなあ。

 

「けど……、陳腐な言葉だけどさ。離れ離れになっても、俺達の心は一つだぜ!」

 

「ああ、そうだな」

 

そんな話をセイとしていると……。

 

「アーク!キサマ!」

 

ほろ酔いの槍崎……ドーリが話しかけてきた。

 

「立て!」

 

「どうした、ドーリ?」

 

「……キサマ、明日にはカマラちゃんとラブラブで旅に出るそうだな?」

 

ラブラブから分からんが……。

 

「まあ、そうなるな」

 

「そうか……」

 

そう言うと、ドーリは。

 

素早く拳を顔面に叩きつけてきた!

 

「っぶねぇ」

 

俺は受け流す、ついでに拳を掴もうとするが、ドーリは素早く拳を引いていた。

 

同時に、タックルが飛んでくる!

 

「っの、お前よぉ!」

 

俺はそれを飛び越えて、向き直る。

 

「ぐわははは!!!まだまだ行くぞ!!!」

 

下段の回し蹴り!

 

これを食らい続ければ、膝にくるぞ。

 

ローキックは毒のようにじわじわと効くのだ。

 

「何なんだ一体!」

 

俺は、前蹴りを放つ。

 

が、ブロックされた。

 

しぶとくなったなこいつも……。

 

「けど、まだまだ甘ェーよ」

 

二発目の前蹴りを……、変化させて回し蹴りに。

 

「っ?!がっ!!」

 

回し蹴りを当ててから、足の返しだけで打ち下ろしの下段回し蹴り!

 

「ぎいっ?!」

 

下がってきた顔面に膝蹴りぃ!

 

「ぐわあああ!!!」

 

っと、こんなもんか。

 

鼻血を流しながら仰向けにぶっ倒れたドーリ。

 

「く……、はは……、わあっははははは!!!!」

 

……いきなり笑い始めたぞ?

 

何だこいつ……。

 

「相変わらず、ムカつくくらいに強いな、キサマ!もう笑い声しか出んぞ!……だがな!世界一の傭兵団として、世界で一番モテモテでカッコ良くなるのはオレ様だ!キサマには負けんからな!」

 

……なるほどなあ。

 

こいつなりの激励ってことか。

 

「期待しないで待ってるよ」

 

 

 

「いつか吠え面をかかせてやるから!だから!またケンカしに来いよ、アーク!!!」

 




サイバーパンク学園、楽しいなこれ……。

なんか面白い部活とか委員会とかないですか?

とりあえずサイバーパンク学園の世界観では、「生徒会総会」という各学校の生徒会に、封建制のように自治権を与えている大きな「学園都市そのものの」生徒会があるとして、生徒の純粋な能力としては生徒総会長が一番強いです。

で、生徒総会の特殊部隊に「生徒総会執行部」があり、大きなテロとかを学園都市でやると、全員学ランみたいな詰襟黒制服着たサイボーグ女の子が「生徒総会執行部だ!死ね!」と襲いかかってきます。

そして、「風紀委員会」は、警察官のようなポジションで、逮捕権がある。警部以上だと場合によっては殺害権もある。

「ロボ研」はマイコンどころか戦闘用のロボットを作る(違法)し、射撃部は血の気が多い。兵器開発部は碌なことをしないし、機甲部もヤバい。

んー……、部活動も委員会もまともにやってこなかったから、良い案が思い浮かばないわよ……。

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