ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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今回短め。



12話 死と再生

さ、て、と。

 

早速、村の近くまで来た。

 

「どうだ、萩原?」

 

「ムムム……、今、しもべのネズミ達の視界を借りて、建物の中を見てますぞ……」

 

『調教師』の加護を持つ、オタクの萩原は、顔を顰めた。

 

「……これは、あまりにも!う、うう、これは!」

 

「どうした?」

 

「……殺されて、おりますぞ。こ、子供も!なんて酷い奴らなのでありますか!なんて、なんて……!何でこんな……!」

 

「分かった、もういい、死体をあまり直視するな萩原」

 

俺は、槍を弓を手に取った。

 

「行くぞお前ら!奇襲だ!」

 

「「「「おうっ!!!」」」」

 

 

 

夕方、気を抜いている盗賊の頭に、和弓もどきの大矢が突き刺さる。

 

「ぷギッ」

 

即死だ。

 

見張りの盗賊が倒れた音を聞きつけて、迂闊にも顔を出した盗賊団員に……。

 

「鉄よ、丸まれ!丸まり、爆ぜろ!『アイアン・バレット』!!!」

 

「水よ、集まれ!集まり、塞げ!『ウォーター・サフォケイション』!!!」

 

「炎よ、燃えろ!燃えて、弾けろ!『ファイア・ボール』!!!」

 

攻撃魔法を容赦なく浴びせかける。

 

「て、敵襲だーーー!!!」

 

当然に、声を上げる盗賊団。

 

建物の中からゾロゾロと出てくる。

 

「クソ、火の国の偵察め、適当な仕事しやがって!何が数人だ、二十人超えてるじゃねえか!」

 

俺はそう吐き捨てる。

 

そう、火の国の報告では、盗賊は数人だけって話だった。

 

これは退却か……?

 

っと、あれは。

 

「魔法使いがいるぞ!肉盾を出せ!」

 

「「「「おうっ!!!」」」」

 

村人を肉盾にしやがったのか!

 

俺はまあ、倫理観的には問題だが容赦なく殺せる。だが、クラスメイトには無理だな。

 

「クソ!阿字!」

 

「仕方ない、突撃するぞ!魔法使い組は退がってろ!」

 

俺は、槍を抱えて突撃した……。

 

 

 

地獄のような乱戦。

 

刃物や鈍器での殺し合いとなると、アドレナリンが全開で、そうさぱっと即死したりは中々してくれない。

 

泥沼のようなぶち殺し合い。

 

何人か大怪我だ。

 

魔法使い組も捕まって斬られたりした。

 

それを、数少ない回復魔法使いが必死に治して……。

 

治したんだが……。

 

「蓮華ちゃん!蓮華ちゃん!ど、どうしよう、もう魔力がないよぉ……!」

 

『聖術師』の平野が泣き叫ぶ。

 

はらわたが溢れた、蓮華の前で。

 

「は、はあ、はあ、は、あ……」

 

目の焦点が合っていない。

 

これは……、無理だな。

 

「お、おい!誰か回復魔法がまだ使えるやつはいないのか?!蓮華ちゃんが死んでしまうだろ!!!」

 

槍崎が叫ぶ。

 

槍崎はなんだかんだで仲間思いだからなあ……。馬鹿だけど。マジで馬鹿だけど。

 

「……ご、りら」

 

おや、ご指名か。

 

皆が見守る中、こいつは何を言うんだ……?

 

「お、まえ、化け物、だろ?」

 

「……へえ?」

 

なるほどな。

 

俺の加護がなんなのか、分かっていたのか。

 

「く、くく……。『観測者』の、僕、に、隠し事、なんて、できないぞ……」

 

「で?どうしたい?」

 

「分かってん、だろ?やれよ……!」

 

「……駄目なら?」

 

「お前が、終わらせて、くれよ。殺されん、なら、好きな、男に、されたい……!」

 

へえ!告白ってやつ?

 

「良いねえ、面白い女だよ、お前は」

 

「ふ、へへ……!頼んだ、肇……!」

 

「ああ、任せろ」

 

俺にも、遅れた青春がやってきちゃったな。

 

……じゃあ、やるか。

 

俺は、右腕を『変異』させる。

 

「「「「ッ?!!!」」」」

 

絶句するクラスメイトを他所に、俺は、変異ウイルスの滴る触腕を……。

 

「あ、がぁっ……!」

 

蓮華の心臓に、突き立てた……。

 

 

 

『う、あ、が、ガアアアアアアアッ!!!!!!!』

 

 

 

蓮華の、女の声帯からはとても出せないような、獣の雄叫びのような叫び。

 

それと同時に、蓮華の全身から煙が立ち昇り、浮き出た血管が赤く発光する!

 

溢れた内臓が、肉が、脈動し蠕動し、蠢き、絡みつき、爆ぜる!!!

 

『は、ああ、あ、アァー……!!!』

 

クリーチャーだ。

 

 

 

そこにいたのは、一匹の魔人だった。

 

 




あーもう駄目、サイバーパンク学園ものが楽し過ぎる。

調べることや考えることが多いから手は進まないけど、今日は朝からずっとサイバーパンクのことを考えてました。

完全にブルアカを意識した感じになりましたけど、僕は「怪我をしない」というのはエッチじゃないと思うので、ちゃんと怪我するようにしておきました。

具体的に言えば、サイボーグの脳みそは「脳核」と言うもので、軍用の大口径ライフルで撃たれない限り壊れないこの核に、人体の全ての情報と脳みそが入っているという設定です。

なので、人体バラバラになるまで撃たれても、脳核を仲間に回収してもらえれば、バイオ技術で肉体再生して復活できるって訳ですね!

え?脳核が悪意ある者に回収されたら?そりゃ、死ぬより辛い目に遭うんじゃないの?それくらいのリスクはあって当然では?

それと、バイオ技術で肉体は再生できても、サイボーグ化できる比率には限りがあるぞ!肉体の機械化率を増やすと、拒絶反応が起きる確率が上がっていくんだ!法規制もあり、民間用のサイボーグで許可される機械化比率は30%、軍用でも50%とされているぞ!

主人公?あいつの機械化比率は95%だ。何で自意識を保てているのか、現代技術の全てを駆使しても解析不能で、国中の研究者が匙を投げているぞ!

法律も、治安が終わってるから殺人罪でも半年くらいで出所できるぞ!まあ、金持ちとかを殺すと、「超法規的なんちゃら」とか言われて死刑にされるけど。何でだろうね!おかしいね!!!

だから、一般市民は、身内が殺されたら街の傭兵とかに依頼を出して、身内を殺したやつを殺させるんだよなあ。報復ってことだね。法がまともに機能してないから、自分で解決するしかないもんね。

つまり具体的にどんな世界か?

女の子達が割とナチュラルに殺し合いをする狂った世界です。

ちょっとした喧嘩で「カッとなって」銃器を抜いて、防弾制服に阻まれたとしても弾丸の衝撃で手足がへし折れ内臓が潰れるんですね。

でも、撃たれた側の女の子も、自動的に脳核から脳内麻薬が分泌されて痛みを軽減し、「負けた方が再生医療クリニック代オゴリね!」とか言いながら撃ち返す!

そんなイカれた世界ですね!



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