休みだとバリバリに書けるな……。
「では次ぃ!そちらの無能女から行きましょうか!」
「ひっ……!い、嫌だあっ!」
「黙れ!訓練だ!お前のような無能は、人一倍の訓練が必要なのだ!」
叫ぶボーンズは、今度は、吉祥寺の腕を掴んだ。
なるほど、なるほど。
よく理解できた。
「ぶ、ぶっふぅー!ふーぅ!ふふーぅ!!!来い!来い!来ぉい!!!」
「い、ぎぃ!痛い、腕が……!」
恐らくは九十キロは超えているだろう握力、リンゴくらいなら握り潰す剛力で、吉祥寺の細腕を掴んでいる騎士ボーンズ。
美女を壊せるからだろうか、鈴木をリンチした時よりもかなり興奮していた。勃起したものの先が、先走りで濡れている。
吉祥寺は、そこそこの体格と、ちょうど良い程度の肉付きがあるが、所詮は女。
脂肪と筋肉を含めて、体重130kgはあろうかというボーンズに掴まれて、抗うことなどできるはずもない。
「さあ!構えろ!」
「あ、ああ、あ……!」
「来ないならぁ、こちらから行くぞお!!!」
「うわあああっ!!!」
足払い。
「ぐっ?!」
素早く転がって受身を取るボーンズ。
うん、まあ、見てられん。
鈴木は男だし、個人的に嫌いな奴だからどうなろうが構わん。
だが、性格はまあまあ悪いが、美人の吉祥寺がリンチされるのは、流石に黙って見てられんだろう。
「貴様ぁ!神聖なる騎士の勝負に横入りとは!何様のつもりだあ!!!」
「なるほど、よくできてるな?」
俺は、長棒をくるりと回す。
「お前のようなサディストの異常者に、使えない加護持ちの三人をリンチさせることにより、他全ての勇者をビビらせる、と。短期的に言うことを聞かせるんなら、恐怖は最適な道具だもんな」
「……貴様」
「ついでに失格勇者の三人を始末できれば、食い扶持が減って万々歳、と?よくできているな、蛮族の癖に頭が回ると褒めてやろう」
「……潰す、潰す、潰ぅ、してやる!!!私はボーンズだぞ、誇り高き騎士ボーンズ・マルチーロゥだぞ!侮辱は許さなあああい!!!!」
「宝蔵院流槍術阿字派、阿字肇……。いざ、参る」
とは言っても、カッコつけたは良いものの……。
騎士とやり合ったことなんて流石にないぞ。
しばらく様子見……、軽く牽制!
突き、引いて、突く!
「ぬう!」
「硬っ……?!」
盾、不自然に硬いぞ?!なんだこれ?!
「ぶひいーっ!ぶふぅー!馬鹿め!『騎士』の加護には、弱いとは言え『身体強化』と『武具強化』の力があるのだ!加護なしとは違うぞ!」
はえー!
なるほどな、なんか異世界的な魔法パワーがあるのか。
こりゃ力比べもまずそうだ。
見た目も太くて強そうだが、見た目以上に強いってことでしょ?
やばいやばい。
が、まあ、それならそれでやりようはいくらでもある。
一合武器を交えれば、大体のことが分かるものだ。
力任せ、剛力、堅牢。なるほど、シンプルだ。そして強い。
が、それつまり、翻って。
不器用、止まれぬ、不細工となる。
「ぶはあっ!」
一撃、外側から、素早く強く飛んでくる、危険だ、が、下手。
であれば、こう。
横薙ぎの木刀に対して、一歩退く。
それと同時に、敵の内側に導くように、全身の回転から生み出される遠心力を込めて、木刀の峰を叩く!
「お、おおっ?!!」
ぐるん。
力強く、全身の力を使って横薙ぎを放ってきたボーンズは、その勢いのままくるりと回る。
そして膝裏を、棒で突く!
「が!ああ!」
そうだねえ、膝裏は鍛えられないからなあ、痛いだろうなあ。
で、崩れたボーンズ。
武術的に言う「死に体」というやつ、つまりは隙だらけだ。
そこに思い切り、振り下ろしの棒の一撃を……!
「そこまで」
いやに、通る声。
女の声だ。
女の声とは思えないほどに、低い声だった。
「は、はひ、ははひい……?!!」
ガタガタと、先ほどまで大興奮して暴れ回っていたボーンズが、お化けに怯える幼子のように震え始めた。
下のモノはシナシナに萎えたようだ。本気でビビっている。
「あ、ひ、あ……、ひ、『姫殿下』!これは違うので———」
「黙れ」
「ぶぷぺらあっ?!!!」
白銀の美しいガントレットに包まれた正拳が、ボーンズの顔面に、信じられない速度で突き刺さる。
それを受けた130kgは目算であろうという巨体のボーンズが、縦に回転しながら吹き飛び、石造りの城壁に突き刺さった。
怖……。
「……我が国の者が失礼した」
そう言って、目礼した女は……。
白銀のフルプレートメイルを着込み、豪奢な赤い羽飾りがついた兜を小脇に抱える、美女だった。
この世界の女とは思えない、185cmにまで達する長身。
鍛え抜かれた、しかし太くなり過ぎないシャープな筋肉。
陶磁器のような美しい白肌、澄んだ空のような碧眼。ブロンドの長髪だが、中性的な顔の作りは、どちらかと言えば美青年に見える。
頬についた大きな古傷など、女とは思えないだろう。
だが、重心や腰の形、喉仏の有無などから、女と俺は判断した。
「……失礼。貴女は?」
「む、重ねて失礼した。私は、『神の子とアゼル王神殿の清き戦友達』……、人呼んで『聖堂騎士団』の総長(グランドマスター)、フローレンス・ゴッドランド・サラマンドラだ」
ウゲェーーーッ!!!
内心で叫んだ。
「えっ何それ?テンプル騎士かよ……」
小声で呟いたのは、流石のインテリ、吉祥寺。
テンプル騎士は……、拙い!!!
ハマるゲームをガーっとやりこんでチャージすると、創作意欲がどんどん湧いてきて、一日で万単位の文字が書ける……。
これを35話、クズ社長を10話ほど書き溜められた……!
クズ社長はねえ、ひっでえ話になってます。
崩壊後の世界で必死に生きている人達を、チームクズが「生の映画」とか言って観察して、酒飲みながら笑って見てるんですよ。
しばらくは生の映画編が続くと思います。
ってかね、クズ社長はあれ、支配者側の話だから。バトルものではないから。