ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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もう休み終わりなの?

全然休んだ気がしないんだけど……。


63話 至宝開陳

《邪なる聖剣》

《神々への敵対者、選ばれし冒涜者のみが手にするという冒涜の大剣。

涜神の徒にも英雄が必要なのだ。真の意味で、神をも恐れぬ冒涜の英雄が……。

この武器は、物理攻撃力を持たないが、暗黒属性と神聖属性を併せ持つ。》

 

《汞の鞭刀》

《星の民の秘技により生み出された、流体金属の剣。

星の民の住む『黒き星』には、光も水も肉もない、ただ闇と鉄と土があるという。

そして水銀とは、彼らの水そのものである。

うねる剣先は、見切ることが困難。

また、パリィなどの影響も受けない。》

 

《眼魔の盾》

《単眼巨人の瞳を模して作られた中盾。

単眼巨人の瞳には邪視の力があり、見られた者は病毒に侵されてしまうという。

だがその邪視の力を、聖墓蛮人達は崇めた。聖墓に眠る聖者の遺骸を踏み躙りつつ……。》

 

《腹断ちの大鉈》

《北方の民が使う処刑用の大鉈。

北方の民は、罪人の処刑の際、罪人の首ではなく腹を断つ。

彼らの信ずる教えでは、生命は腹に宿るとされており、腹を断つことは完全なる死を与えることを指す。

処刑の刃は重く、そして凍結属性の力を持つ。》

 

「「「「おおおおおっ!!!!」」」」

 

何なんだこいつら。

 

キモ……。

 

なんかこう、この世界に来てよく思うんだが、テンション高い奴ってキモいよな。

 

ムーザランでは皆クッソ暗かったんで、こう、陽気な奴を見るとイラついてくる。

 

だがまあ、武具を取り扱う手つきに淀みはないのが救いか。

 

これで、適当な仕事をするような連中なら殺していた。

 

「いかがでしょうか?グランドマスターの皆様?」

 

隣に立つヤコが、完璧な作り笑顔でそう訊ねる。

 

ここは、グランドマスターの……ええと、ガーランドと言ったか?

 

そいつの工房だ。

 

工房とは言うが、大きさといい堅牢な作りといい、最早砦のような感じだった。と言うより、この街にある建物全てがそうだ。

 

石畳がズラッと並び、石でできた防壁のような建物が、樹木の年輪のように丸く広がっていっているような形。

 

この閉塞感溢れる石造りの建物群は、ドワーフからすると最高の寛ぎ空間らしい。

 

俺とララシャ様が泊まった高級宿は、外国人用にふかふかのベッドが置かれていたが、この国に住むドワーフ達は基本的に「石のベッド」で寝ているんだそうだ。

 

石の上で寝るとか拷問か?俺も昔、ムーザランでよくやらされたなあ……などと思うが、ドワーフはそれが気持ちいいんだとか。

 

つまり、この石の要塞のような工房も、ドワーフからすると住み良い空間なのだろう。

 

俺はビールを飲……え?これ、歓待されてるんだよな?

 

何で商談なのに「紅茶です」みたいな雰囲気でビールが出されてるんだ?意味分からんなドワーフ……。

 

まあとにかく、出されたビールを飲みながら、その様を眺める。

 

「これらの武具は、こちらのエドワード・ムーンエッジ様による提供でして……」

 

「うおおおおっ!こんな神器は三百年ぶりじゃぞ!」

 

「何と……、何と芸術的な魔法回路なのだ?!うっ、ううう……!素晴らし過ぎて涙が出てきた!」

 

「オオーゥ!!!最高!最高!最高!最高ー!!!!」

 

「あぁ〜……!良いのう、良いのう!この剣に込められた刀匠の意思!執念!ん狂気ぃ……!堪らん〜!!!」

 

「あ、あの、皆様?」

 

「見ろ!鉄姫の!この盾、盾でありながら武器としても使えるぞ!こういう仕掛け武具は、大抵はどっちつかずのナマクラになるものだが、これは違う!」

 

「何を!こちらの剣も見よ!闇の力と聖なる力が同時にある!しかも、それでいて、物理的な刃はない!これはどう言う仕掛けなのか、皆目見当もつかぬ!」

 

「あの〜……?」

 

商談をしようとするヤコだが、グランドマスター達は自分勝手に武具を眺める。

 

興奮し過ぎで、商談どころではない。

 

「………………」

 

ヤコは、作り笑いのまま黙り込んだ。

 

イラついて……、は、いないようだな。

 

慣れているんだろう。

 

そりゃそうだ、この程度のことでイラついていては、客商売なんぞできんだろうからな。

 

そして、たっぷり一時間ほど待たされた後……。

 

「素晴らしい!これならば、いくらでも鑑定書を書いてやろう!」

 

グランドマスター達は、そう言って。

 

「ありがとうございま———え?」

 

礼を言うヤコを押し退け、俺の手を握ってきた。

 

「何だ?交渉ならこっちに……」

 

俺がヤコの方に目を向けるが、ドワーフ達は俺の手を掴んで離さない。

 

「何を言うか!これらの武具の持ち主は貴殿じゃろう?!」

 

……ふむ。

 

「商人と金勘定の話などせんわ!そんなものはどうでもよい!話すならば、このような武具を扱える『勇者』と話すぞい!」

 

なるほどな。

 

まあ、そりゃそうか。

 

仲介者である商人よりも、持ち主の方と話そうとする。

 

確かに、職人気質というべきか……。

 

そういえば、前に会ったドワーフから聞いたな。

 

ドワーフの価値観では、武具を上手く作れる職人が偉いが……、それを使いこなす「戦士」もまた、尊ばれるのだとか。

 

とすると、俺はこの世界の平均レベルと比べれば良い感じなのだし、俺も尊ばれると言うことか。

 

「ああ……!手を握るだけで分かる!星の海!月の牙!流転する漆黒、月の傍にある星喰らい!なんと……、何と素晴らしい……!!!」

 

ガーランドだったか?ドワーフはいきなり、膝をついて、咽び泣き始めた。

 

頭おかしいんじゃないのか?

 

だから、プレイヤー置いてきぼりポエムやめろっていつも言ってるだろ。

 

カッコいいが抽象的でよく分からん単語を置きまくって、後はユーザーが考察してくださいみたいなの、今時流行らんからやめろ。GMの吟遊は刑法で禁止されている犯罪だぞ。

 

「それだけではない!貴公っ!」

 

ええと……、センジュだったか?

 

ムラマサ家のセンジュか、どこかで聞いたことがある響きだが……。

 

まあ、十中八九、建国王ヨシヤの関係だろう。

 

あいつマジで碌なことしないな……。

 

その、センジュとか言う女が飛び出てきた。

 

そして、叫ぶ。

 

「貴公はもしや……、新たなる『勇者』なのではないかっ?!」

 

と。

 

「知らん」

 

「世に暗黒の『魔王』現れし時、必ずや『勇者』が降臨する……!言い伝え通りじゃ!」

 

話を聞けよ。

 

「そして!勇者とは、必ずや『外側の世界』か、現れると言う!やはり……、貴公こそ勇者なのじゃな?!!!」

 

「知らん」

 

「誤魔化さんでもいい!妾には分かる!貴公……、信じられぬ戦士にして、魔導を極め、神に愛される……、凡そ人の思いつく頂点のそれすら遥かに超える『超戦士』よ!」

 

そんな往年の少年漫画みたいなこと言われても……。

 

「会いたかった……、会いたかったぞ!妾の家系、センジュ家は、勇者にしてのちの建国王たるヨシヤ・スカイ様の愛剣の内一振り、『魔刀ムラマサ』を鍛えた初代様から続く、刀鍛冶の家系!妾もいつか、妾の勇者様の武具を鍛えたいと夢を……!」

 

知らん……。

 

どうでもいい……。

 

いきなりプロフを貼られても困る。

 

SNSのユーザーページに訳分からん長文プロフを書いてる奴、俺は嫌いなんだよね。

 

それに……。

 

「それだけの腕があるとは思えない」

 

はっきりと言ってやろう。

 

俺の武器を鍛えるなど、お前らには無理だ、と。

 




最近は物語の統合性を取ることばかり重視していて、気軽な気持ちで書けていないな……。

なーんも考えずに十万文字くらいで終わる短編でも書いてみるか……?

R18にしちゃうのもアリかな。

いつものカス主人公、チート魔法使い、ヤンス系三下ヒロイン、ハーレムめ……。

召喚士にするか。召喚魔法で地球の物品も召喚できちゃう設定で。戦闘ではオーディンとかを最終的に呼び出して斬鉄剣あいてはしぬ、とか。

ヤンス系三下ヒロインは押しかけ弟子で。「師匠!」とか言って勝手についてくるバカ女。

世界観はいつものガチ中世ナーロッパで。

……あーもう、ダメだ最近は。

力が出ない。

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