ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ぼく「あーもう経済について物語で書きたいからって経済の勉強するのだるいぃ〜!」

心の中のガッツさん「何十年も修行して達人になるのを待ってから戦場に出るつもりか?」

ぼく「それなんだよなあ……」


25話 禿頭の鍛治師

「あばばばばばば!!!もうこれだめしぬおわるるるぅーーーーーッ?!!!!」

 

「バックスタブだ」

 

 

 

「たぁーしゅけてぇーーーーー!!!!」

 

「武技発動」

 

 

 

「今回は流石に死にますよこれぇーーーッ!!!!」

 

「パリィ、からの致命攻撃」

 

 

 

しばらく戦いを続け、借金を全額返済した頃。

 

「も、もう限界です!新メンバー!新メンバーを募集します!!!」

 

シーリスが冒険者ギルドでそう叫んだ。

 

「必要性を感じないが」

 

「あるでしょおーーー?!!!私もう死にかけるの嫌なんですけどぉーーー?!!!」

 

「だが、死んでいない」

 

「そうだけれどもーーー!!!だけどこのままだとすぐ死んじゃいますから!!!」

 

そうなのか?だが……。

 

「ああ、そうなんだ。で?それが何か問題?」

 

「見捨てないでっ?!!」

 

半泣きになるシーリス。

 

こいつはすぐに泣き喚くな、情緒不安定過ぎじゃないか?

 

「とにかくっ!新メンバーを加えますよっ!その為にはまず……、エドの装備です!」

 

はあ、装備。

 

「毎回思ってたんですけど、なんで平服で森やら山やらに入るんですか?!頭おかしいですからね貴方!!!」

 

「いや、高レベル帯になってくると、エネミーの攻撃力が高くなり過ぎて、回避主体の戦いになるからな。それなら、わざわざ重い鎧を着込む方が邪魔なんだよ」

 

鎧を着てても全裸でも即死攻撃が飛んでくるなら、いっそのこと、動きやすい全裸の方が良くない?というやつだ。

 

実際、レジェンズアニマなSNSでクソゲー呼ばわりされる時は『全裸仮面舞踏会』と呼ばれている。

 

その名の通り、ステータスアップの効果がある仮面を被り、後は褌一丁で変態的な殺し合いをするからだ。

 

残念だが当然である。

 

と、俺はそう伝えたのだが……。

 

「ちょっと何言ってるかわかんないですねえ……」

 

いやなんでだよ。

 

分かるだろ。

 

「ヒルジャイアントのパンチをバックラーで弾いていた人に、防御力ありませんアピールされても困ると言うか……」

 

あー……。

 

そうだった、そうだった。

 

一周目以下の難易度の世界なら、盾や鎧は有効だな。

 

そういえば、周りから変な目で見られるのもそういう訳だったのか?

 

なるほどな、見た目か……。

 

確かに、馬鹿みたいなフルプレートアーマーを着込んだ武装集団の中に、村人Aみたいな服装をした男が紛れ込んでいたら、それはおかしい。

 

ムーザランではグレートソード二刀流の全裸がいきなり襲いかかってくることなんてザラだったから、服装に頓着しなくなっていて、見た目が変だとおかしな奴扱いされるという常識を完全に忘れていたな。

 

そう、そうだったな、全裸は変態だ。そして変態は嫌われる。

 

「ですので、武具屋に行きましょう!ヤコから融資を受けているので、これで装備を買いますよ!」

 

と、そう言うことになった。

 

 

 

《粗製な武具塊》

《「終わりゆくムーザラン」から遥か遠き世界、「剣と魔法の世界ファンタジアス」で一般的に流通している武具。

人の領域を逸脱せし「聾の者」が振り回せば、細枝のようにへし折れるだろう。

即ち、ただのゴミクズに過ぎない。》

 

「全部ゴミじゃねえか」

 

武具屋の武具を見たが、どれもこれも使えないゴミだった。

 

「ちょっ……!エド!なんて事言うんですか?!」

 

「いや、どれもゴミだ。使う価値がない」

 

「何言ってるんです?!ここの武具はドワーフ謹製の……」

 

「おいっ!!!お前、今なんと言ったぁっ!!!!!!」

 

禿頭に丸い腹、低い背のがっしりとした男が、かなりの大声で怒鳴ってきた。

 

革製のベストに身を包んだ、白髭のその男は、どうやらこの店の店主のようだ。

 

「あっちゃあ……、ドワーフですよ……」

 

シーリスが頭を抱える。

 

「ドワーフの武具にケチをつけるなんて、大変なことになりますよこれは……!すぐ謝ってください、エド!」

 

そう言われてもな……。

 

「鎧はどれも俺のこの服以下だし、剣なんて見てられないくらいのゴミだろう?これじゃドラゴンも斬れないぞ」

 

「そういうお前の剣はドラゴンを斬れるとでも言うのか?!!!そこまで言うなら見せてみろ!!!」

 

と、俺の腰からショートソードをふんだくる店主のドワーフ。

 

「これは……?!!!ば、バカな!何故こんな……、これは……、なんとも凄まじい……?!!!」

 

店主は、俺のショートソードを一頻り眺めると、絶望顔をして膝から崩れ落ちる。

 

そしておもむろに立ち上がると、俺の肩を掴んで叫んだ。

 

「お、お主!これをどこで手に入れた?!」

 

「ムーザランの店売り品だが」

 

因みに売値は500ホーン。

 

「こんなものを売るだと?!ありえん!国宝……、いや、神剣でもおかしくはないぞ?!!」

 

えぇ……?

 

「そうなのか?」

 

「これの価値が分からんのか?!!!」

 

「これと同じショートソードなら十万本くらい持ってるからなあ……」

 

コレクション用や使い捨て用、なんとなく買ったもの含めて万は超える。

 

「馬鹿な……!むうっ?!この服もまた凄まじいな……?!確かに大口を叩くだけのことはある……!!それにっ!!!」

 

俺の服をまじまじと見つめた店主は、更に俺の身体を触る。

 

「この、凄まじき肉体!人の域ではないっ!!!」

 

「あ、それは私も同意します」

 

シーリスがこっそり頷く。

 

おいテメェ。

 

「この世のものではない……、これは……、星を喰らう帝王、月の雫、凍える刃……?いや、見えぬ……、この儂の目をもってしても!!!」

 

何見えてるんだこの人。

 

ムーザラン特有の謎幻覚かな?

 

怖……。

 

勘弁してほしい、マジキチの相手はムーザランで一生分やったじゃないか。

 

「……認めよう。儂には、お主が満足する武具は作れん。代わりにこれを持って行け」

 

これは……、鉄の符?円柱状の鍵、か?

 

精密な、槌を持つドワーフの彫刻が施されている。

 

「これは、ドワーフ族の鍛治師が心底認めた者にだけ渡す鉄の符『ドワーフ鍵』じゃ。これを見せれば、頑固なドワーフも話を聞くはずじゃろう。お主の使える武具を作れるドワーフも、この世のどこかにいるかもしれん。これを使って探してくれ」

 

《ドワーフ鍵》

《製鉄と細工に長ける種族、ドワーフ族の鍛治師が、己の最も認める戦士にのみ渡す細工物。

開拓都市のドワーフ、『禿頭のモンテス』は、異界から現れた月華の剣に、星の終わりを幻視した。》

 

なるほど……、これもNPCイベントか……。

 




はあもうマジ経済分からん……。

創作者向けに「こういうことが起きたらこうなります!」みたいな分かりやすい解説サイトとかないもんかね……。

創作内ではあり得ないことが起きるけど、世の中の解説サイトにはあり得ないことが起きたらどうなるか?を示した説明は無いんじゃ……。

助けてくれ、もうインテリジェンスがない。


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