コミュニケーションは全部SNSで良いだろ……。
在宅にしろ!
『ギエエエェ!!!!』
「ザッコ……、何やこいつ……?」
ちょっとお試しで軽く流す程度に相手したのだが、三撃目で死んじゃった。
弱くないかこれ……?
あ、いやでも、ホーンは5000入ってきたぞ。
となるとこれは、ストーリー中盤のちょっと厄介な雑魚敵くらいの格はある訳か……。
いや、ねぇだろ。
初撃で尻尾攻撃してきたから、霞の踏み込みで背後に回り尻尾を斬り落とす。
そして、振り向き様に放たれた猫パンチを掻い潜って喉元に突き。
するともう死に体になっていたので、首を切り落として介錯。
それで終わりだ。
ざ、雑魚過ぎる……。
むしろ、二日間歩って5000ホーンという徒労感がなあ……。
しかも、念のために『音溜まり』での休憩を繰り返してみたが、この世界はどうやらエネミーが復活しないっぽいし……。
世界の全てを滅ぼすのが先か、ララシャ様が御満足なさるのが先か……。
一応、道中の別の雑魚敵で2000ホーンは稼げているとは言え、効率は悪いな。
手に入れたホーンは即座にララシャ様に貢いで吸ってもらう。
まだこんな程度じゃ何も変わらないが、ララシャ様が喜んでるのでオールオッケェイ。
そんな徒労の帰り道……。
「ファイアアロー!えい!ファイアアロー!」
なんか、火の矢をぴょいぴょい飛ばしているクソデカ帽子女が、デカいカエルに追い詰められていた。
「うぎゃー!近寄るなー!ファイアアロー!ファイアアロー!」
何だあいつ……。
まあいいや、アホくさいから放置放置。
「ちょっ!そこの人!助けてくれてもいいじゃないですか?!」
「いや、だるい」
「いやいやいやいや!ちょっと!マジで!ほら美少女ですよ?!魔女っ子美少女助けたいでしょ?!」
なーんだこいつ?
NPCイベントか?
だっるいなあ……。
ああ、でも、なんだか見たことない歌唱術?っぽいのを使ってるし、ひょっとしたら術を教えてくれる系のNPCなのかもしれん。
教本を渡せば術を授けてくれるNPCと言えば、基本的に変態かカスなので、こいつもその口だろう。
……いや、申し訳ない。
訂正させてくれ。
ムーザランは基本的に変態かカスしかいない。
で、この世界の術を教えてもらえるとなると……、少し興味はあるな。
それなら一応、助けてみるか。
そんな手間でもないしな。
抜刀……、はい終わり。
霞の踏み込みからの首斬りで余裕でした。
「は?つっよ……、なにこの人怖……」
「助けてやったのになんだその態度は」
「アッハイ、ごめんなさい!ありがとうございましたー!」
大袈裟に頭を下げる女。
うーん、この視点からだと、帽子がデカ過ぎるのと、俺の背が高いのとで、頭しか見えないな。
俺は、頭の悪いクソデカ帽子を剥ぎ取る。
《シーリスのボロ帽子》
《「魔法使いシーリス」が、幼少の折に「賢者アンセル」に憧れて自作したボロ帽子。
これは、貧しい家に生まれたシーリスの、小さな夢の欠片だった。》
「あーっ!取っちゃダメですって!返してください!かーえーしーてー!」
ふむ……。
ブラウンの髪色、ショートカット。クセのないストレートな髪質で、若さ故の潤いがある。
鳶色の瞳をしたガキは、少し不満そうな顔をしているが、これはそういう顔つきなのだろう。
美人ではあるが、可愛くない女と言うやつだ。
たまにいるんだよな、生まれつき不機嫌そうに見える顔つきで、それで損をする奴。
しかし、雰囲気は柴犬のようで、やかましい感じがする。
で、身体の方は泣きたくなるほどに貧相でチビ。
声音で女だとは分かるが、酷く発育が悪い。
おまけに、服装は黒い魔法使いのでかい帽子に、黒いダボダボのマント。
完全に不審者だ。
でもそれを言えば、ムーザランで術を教えてくれるNPCは常に鉄仮面を付けている変態とか、全裸に向日葵を模した仮面のみを付けたマジキチとか、そもそも人じゃなくて霊猫とかだからなあ……。
それらと比べれば、まだマシという感覚はある。
よく見れば、魔女帽子もマントもところどころがほつれて破けており、非常にその……、貧乏くさい。
流石に、公衆衛生が無駄にしっかりしているこの国の住民であるからして、体臭が臭ってくるほどではないのだが、服はボロいし肌も薄汚れている。
「うへぇ、やばい人だったか……。声かけたの失敗だったかなって……、うわっ!すんごいイケメン!」
で、この女は、俺の顔を見た瞬間、頬を染めて目を輝かせる。
イケメン……?
俺の顔は良いのか?
ムーザランでは容姿がよくても何もないしな……。
顔のデータは、自分の顔そのもので編集とかはしていない。
混血が進んだ地球人は、人種による違いなんて大してないしな。
強いて言えば中東系の顔付きらしいと、健康診断データで見た記憶がうっすらとある。
まあいいや、帽子を返却する。
「イケメン剣士さん!貴方、冒険者ですか?!」
んん……、まあそうだな。
「ああ」
「もしかして、ソロだったり?」
ソロ……?
ああ、一人か?ってことか。
「一人だ」
「彼女とかいますか?!」
彼女……?
「ララシャ様がいらっしゃるが?」
「えっと、そちらの妖精さんみたいな?妖精さんと付き合ってるんですか……?」
お?
文句あるのか?
斬る?斬っちゃう?
「それって……、すっごく素敵ですね!」
参ったな……、また、話が分かる奴が来ちゃったぞ。
田舎剣士、プログラマ転生、追放賢者の続きを書いている。
今ハマっている小説によって、書きたいものが変化するマンなので……。
田舎剣士はねえ、冒険者学校での生活をちょいちょいやりながら、世界から孤立しつつも進化していく日本を書きたいと思っております。ダンジョン素材によって画期的な進化を遂げ、ようやく世界もダンジョンの本当の価値を理解し始めて……?
プログラマ転生は、王都に訪れたゲーム機ブームと、ゲーム機をパクろうとする勢力との戦いの最中、国の姫君の誘拐騒ぎに巻き込まれていく感じですね。
追放賢者ポストアポカリプスは、サイカ衆と評判を二分する傭兵団『ネゴロ衆』と、ネゴロ衆を雇って使うダイミョウの『アザイ』、そのアザイと戦う『サイトウ』『アサクラ』の三つ巴戦!しかも、ムサシとオオシオの古巣は、実はネゴロ衆で……?