ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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フォールアウト君がクソみたいにクラッシュするので頭にきますよ〜。


16話 赤狐商会

「ふむ」

 

あの後、緊急閉店したギルドから追い出された俺は、大通りにあるベンチに座り込んでいた。

 

そんな俺の手元には、一枚の羊皮紙がある。

 

そこにはこう記されていた。

 

×××××××××××××××

 

人的被害

・治療費:26000G

・慰謝料:124000G

物的被害

・建物修理費:3480000G

・雑貨修理費:34000G

罰金

・器物損害罪:50000G

・ギルドへの賠償:286000G

 

総計

4000000G

 

×××××××××××××××

 

なるほど、賠償金。

 

ムーザランでは金銭やら経済やらなんてもんは既に形骸化していたから、人殺そうが城吹っ飛ばそうが誰も文句言わんから忘れてたわ。

 

そういや、そんな感じの社会制度もあったなあ。

 

ムーザランにだって、あんな風に全てが「終わる」前には、しっかりと法があったとララシャ様から教わっている。

 

敵ボスの中には法務官だった存在とかもいるし……。

 

だがまあ、本編ではあらゆる法律や禁忌をブチ破り、末法世界であることを示すスパイスと成り下がっていたってだけの話。

 

いやあ、参った参った。

 

まあ、金なんてどうでもいいや。

 

そんなことより、とっとと冒険者として活動して、ホーン集めをすることの方が重要だな。

 

そう思って俺が羊皮紙を放り投げて立ち上がると……。

 

「あらあらあらあら、まあまあまあまあ」

 

なんか……、来たぞ。

 

これは、そう、狐の耳。

 

妖艶な雰囲気をした、狐女だ。

 

赤のロングヘアに狐の耳、黒縁の眼鏡。

 

娼婦のように乳の谷間を見せつけるチューブトップに、生脚を見せつけるショートパンツ。尻からは尻尾がふわりと伸びる。

 

それらに付け加えて、白の長手袋と長靴下と穿いて、ファーのついたロングコートを羽織る、頭のイカれた女だ。

 

顔は良いんじゃない?

 

ララシャ様が史上最高最大最強美女なので、他の女の顔とかあんまり気にしないけど。

 

「賠償金ですか、大変ですねえ」

 

俺が放り投げた羊皮紙を拾って、それこそ狐のように目を細め、狐女はそう言った。

 

「そうなのか?」

 

深刻なのかこれ?

 

貨幣価値とかよく分からんしなあ。

 

「ええ、大変です。この地域での人間の生涯年収は、平均しておよそ2000000Gと言われていますから……、これはその倍ですよ」

 

へー。

 

「まあ、どうでも良いだろう」

 

「よろしいのですか?やけっぱちにでもなりましたかね……?」

 

計算が違うな、というようなツラをする狐女。

 

何を考えているのかは分からんが……。

 

「払う必要なんてないだろう、別に」

 

「ええ?!取り立てに来ますよ?それも、相手が相手ですから、ギルドの腕利きが」

 

「へえ!あっちから強い奴が斬られに来てくれるのか?それはいいな、もう少し何か壊すか……?」

 

良いことを聞いた、治安を乱すとそれを治めるために強い奴が派遣されてくる……、みたいなアレらしい。

 

そりゃ良い、最高だ。

 

派遣されてくる強い奴を殺し続ければ、ホーンも溜まるというものだ。

 

「やるなよ?」

 

「はい!」

 

が、ララシャ様がダメって仰られたのでダメです。

 

かーっ!ララシャ様がなーっ!ダメって言うならなーっ!かーっ!

 

ララシャ様の縛りプレイ提案最高だぜぇ……!

 

しかし……、そうなると、うーむ、ではどうするか……。

 

「は、ははは……、ギルドの暗部が怖くない、と?倒せるとでも思っていらっしゃる?」

 

え?

 

「倒せないのか?なんかギミックとかある感じ?」

 

「い、いや、ギルドの暗部ですよ?!強いんですよ?!」

 

はあ、暗部。

 

それ、ムーザランの暗殺集団である『月影の隠し刃』より強い?

 

VRゲームなのに音も匂いも姿も消して襲いかかってくる上に、正面戦闘も普通に強い害悪エネミー集団なんだけど……。

 

いや、良いや。

 

こいつは、この世界の常識を語ってる訳だろう?

 

それなら、一応聞いておいてやるか。

 

聞くだけだが。

 

「そうか、まあ、ほどほどに強いんだな」

 

「いやそれは……、いや、しかし……、なるほど。確かに、ギルドを剣一本で半壊させた剣士は言うことが違いますねえ!」

 

勝手に一人で納得した狐女は、揉み手で俺に近寄る。

 

ギルドを吹っ飛ばしたのは今朝なのに、正午の今にもう知っているのか。耳が早いと称賛すべきか?

 

で?

 

さてはて、何だろうか、こちらを利用しようとしていることは理解できるが……。

 

「そう言えば、そちらの美しい方はどちら様で?」

 

ほう!

 

「ララシャ様は、月龍の姫君だ。今は故あって弱体化なさっているが、本来なら、神性を持つ女神の一柱だぞ」

 

「まあ!素晴らしいですわ!」

 

話がわかる奴来ちゃったな……!

 

ララシャ様の魅力に気づける奴はやっぱり違うなぁ!!!

 

それに免じて、話くらいは聞いておくか。

 

「申し遅れました、わたくし、『赤狐商会』の会長、ヤコ・クズノハと申しますわ!」

 

ふむ、商人というやつか。

 

「単刀直入に申し上げますと、貴方様の実力を見込んで、わたくし共の商会に助力をお願いしたいのです!」

 

なるほどねえ……。

 

「どうやら、強敵との戦いがお望みのご様子。なら、その片手間でよろしいので、こちらの仕事をいくつか受けていただけると……」

 

デメリットはないな。

 

要するに、強いモンスターを殺した時、その死骸を持ってこいとのこと。

 

強いモンスターの素材はレアで高価なんだとか。

 

「ララシャ様」

 

「構わん、お前が決めろ」

 

では……。

 

「良いだろう、手を貸すぞ」

 

と、俺は返した。

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

その後、契約書を書かされ、赤狐商会は俺のケツ持ちとなってくれた。

 

 




昔書いてたポストアポカリプス未来日本もの、続きを書きたい。

フォールアウトの影響です、本当にありがとうございました。

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