「にしても、凄い力だな。30あれば『巨人の如き膂力』とされるのに、154とは……」
禁断の重厚化巨人石剣二刀流ができるじゃないか。
「どこの世界の話ですかそれは?!!ステータスは、冒険者の平均値が100で、人間の限界値は300です!どんなに才能に恵まれても500を超えることはありません!」
えぇ……。
それなら……。
「これを装備するには、どれほどのステータスがあればいいと思う?」
俺は、インベントリから『グレートソード+30』を取り出して、受付嬢に見せた。
「ど、どこから出したんですか?!まさか、アイテムボックスを……」
「いや、いいから。これの必要ステータスは?」
「そ、そうですね、そんな大きな剣なら、『ちから』が300はないと話にならないかと」
ふむ……?
グレートソードは、筋力30から装備できる代表的な大型武器だ。
二メートルを超える鋼の剣で、人の指三本分くらいに分厚く、顔が隠れるほどに幅広な、化け物剣である。
これで斬りかかれば、巨人すらをも怯ませる。
特大武器と呼ばれるジャンルで最もポピュラーで、最も手に入りやすいこれは、特大武器の中でも癖がなく扱いやすいので、最強武器ランキングの上位に必ず名前が上がる優秀な武器の一つでもある。
そうやって俺が、受付嬢と問答をしていると……。
「おいおい、カモが来やがった」
「へへへ、馬鹿だなあ、振れもしない大剣で冒険者やろうとするなんて」
「ガキはこれだから困るぜ」
と、なんかチンピラみたいな連中が来た。
先日殺した盗賊と何が違うのかよく分からん。
面倒なので無視しておこう。
受付嬢もスルーの構えらしく、俺のステータスは後日精査しますと言い残して、冒険者ライセンス?とかいうカードを渡してきた。
冒険者ライセンスには、俺のステータスの数値と殺害数、顔写真(いつ撮ったんだこれ?)と名前が載せられ、そして『Eランク』と書かれていた。
どうやら、これで冒険者とやらになれたらしい。
「なるほどな」
とりあえず俺は、このライセンスとやらをインベントリに突っ込んで、依頼掲示板!とデカデカ書かれている掲示板に近寄ろうとした。
が……。
「おいっ、お前!」
「何無視してるんだよ!」
と、道を塞がれた。
よく分からんが……。
「退け」
と言った。
邪魔だからな。
「テメェ……、舐めてんのか?」
「そんな見掛け倒しの大剣を持ち歩いてよぉ!」
「ふざけやがって!お前みたいなふざけたガキは、俺達先輩冒険者が教育してやらなきゃならねえよなあ!」
……?
つまり、どう言うことだ?
敵って事でいいのか?
俺は、先程まで話していた受付嬢を見る。
「冒険者の私闘は自己責任ですよー」
とのことだ。
まあ、めんどくさいから放置で良いだろう。
俺は、道を塞ぐチンピラ共を掻き分けて、依頼掲示板に向かう。
どうせ、殺したとしてもゴミみたいなホーンしか落とさない奴らを相手していられるか。
「テメェ!」
「待ちやがれ!」
無視無視。
無視だ、馬鹿らしい。
「生っ白い奇妙な人形を肩に乗せやがって!気色悪いんだよ!」
「あ"ぁ?!!!???!!??!!!」
殺す。
抜刀。
グレートソードに、星海の守護神グラビスの引力波動を込め、思い切り振り抜く。
武技、『グラビスの引力波動』である。
「「「ぴ」」」
ゴミクズ共は一瞬で弾け飛び、血霞になる。
引力波動が籠った斬撃は、ギルドの建物の半分をぶち抜き、凄まじい破壊の引力が周囲のものを吸い込み重力圧縮。
ついでと言わんばかりに、ギルドの向かい側にある道具屋も大破させた。
しかし、俺の怒りは収まらない。
「クゥズ共がァァァー!!!!!俺のララシャ様をォッ!!!!侮辱したかァァァああ!!!!!!!」
許せん……。
ララシャ様を侮辱しただと?
生かして帰さないのは当然として、死後の安息も許さん。
魂ごと消し飛ばしてやる。
歌唱術発動、『ギギザギエルの絶滅』……!!!!
「これ、もうよい」
「はぁい、ララシャ様!」
ララシャ様がもう良いって言ったのでもう良いです。
はー、終わり終わり。
さて、依頼掲示板だったか?
強そうなモンスターはいるかな……?
おや。
青筋を立てた受付嬢がこちらに来たぞ?
一体なんだ?
「エドワードさん……、私闘は自己責任と言いましたが……!弁償はしてもらいますからねっ!!!!」
あー……?
なるほどね。
スパダリ主人公書きてえな……。
旅人みたいな奴が主人公です。
旅人提督の世界線は、基本的に全体的に超人ばかりなので、旅人にヤンデレる子は少ない(少ないとは言ってない)んですが、旅人並みのスペックとメンタルと魅力を持つ男が、普通の世界に転移するのでもう全体的にやべー感じになるのですよ。