地下鉄。
ここを通って自衛隊駐屯地に向かう。
「自衛隊駐屯地か……」
この辺りの駐屯地と言えば、そこそこの大きさだったはず。
東京の近くにあり、東京のバックアップのための戦力を多く抱えているんだとか。
……何故知っているか?
隣にいる翠が、聞いてもいないのに話してくるからだぞ。
やはりオタクは駄目だな……。
「そんな訳で、赤町駐屯地は航空戦力が沢山あって、それはやはり首都圏での災害に備えてという面もあるとの予測が私達ミリオタの中では定説となっておりまして……」
「翠」
「はい!」
「聞いてないよ」
「アッああァ……わァ……!」
あ、オタク特有の、「夢中になって喋り過ぎて周りに引かれたことに遅まきながら気付いて、ショックでパニックになる」現象だ。
「大丈夫だよ、引いてないよ」
「すすすみ、すみ、すみません!私はほら、あのほらその、あの、すいません!」
「大丈夫だって」
「すいませっ、わ、私、すいません!ひっく、すいません」
うわ、テンパり過ぎてしゃっくりしてる。
本格的だなあ……。
この子、社会に出れないでしょこれ。
学校に行けてただけで満点ってレベルだよ。
相当周りの環境が良かったんだろうな……。
とりあえず俺は落ち着かせてやるために、頭を撫でて……ああ、ヘルメットしてるか。
女の子達は全員、セーラー服の上からタクティカルベスト?とかいう防弾鉄板が入った砂色のベストを着ているし、肘と膝にプロテクターをつけて、鉄板入りのブーツを履いている。
そして、ベルトで砂色の袋をたくさんつけていて、中には換えの弾薬や手榴弾が入っているとのこと。
手元にはマシンガン、腰にはハンドガンとナイフ。
今は地下道を移動しているが、全員、ヘルメットとマシンガンにライトが付いていて、それで道を照らしているので明るい。
何でも、俺のお陰で資材とエネルギーに余裕ができたから、装備を更新したんだとか。
出会った頃はこんな現代の軍隊のような装備じゃなく、皆フリッツヘルム?とポンプアクションのライフルだけだったのだが、進化したものだ。
兵器製造スキルである『工廠』を持っている奈凪に、皆が集めてきた『魔核』を使わせてスキルレベルを上げさせたからだろう。
俺の『変換』のスキルレベルは、何故か上げても何も変化がないから、スキルレベル上げはしないようにしている。
それに、スキルレベル上げに必要な『魔核』の数は倍々算に増えていくし、スキルのレアリティが高いものほど必要な魔核の数も多くなるとあっては、俺のスキルを上げるのはいよいよ無駄である。
「ひーっく!ひっくひっく」
あ、いかん、翠が死ぬ。
翠の介護のついでに、地下鉄内で休憩。
ちょうどここは赤町区から二駅前の汐梶区。
そろそろ着くはずだ。
もちろん、地下鉄はモンスターの巣窟と化しており、遭遇戦は多かったのだが……。
「コンタクト!」
「撃て!」
『ギエエエェ!!!』
地下鉄線内という、狭く真っ直ぐな道で、密集隊形でマシンガンを撃つ女の子達に勝てるはずがない。
そして死体は全て、『変換』で余さず換金と、大規模な狩りも兼ねた遠征になっていた。
休憩中、俺は、「お仕事頑張ったで賞」というか、手当としてちょっとしたお菓子を配ってやった。
業務外だが、そのくらいは社会人として、大人としてやってもいいだろう。
その、今や貴重な甘味を、大喜びで受け取った彼女達は、大切そうに食べていた……。
「……とても可愛い」
「ふえっ?!あっ、はい!ありがとうございます?!」
おっと、つい呟いてしまった。
それを、光に聞かれてしまってもいた。
だって仕方ない、本当に可愛らしいのだもの。
今時のガキなんてこましゃくれていて気に食わないと、俺のような中年は思ってしまうんだが、こうしてお菓子一つで大喜びして感謝されるとな。
やはり俺も人間だから、感謝をされると嬉しいと思うものだ。
「ああ、いや、すまない。今はセクハラとか厳しいもんな」
「いっ、いや、しゅっ、好きぃ〜……な人に、可愛いって言ってもらえたら、嬉しいですよ?」
好きな人、の台詞の部分をサラッと流せない辺りがまだまだ子供って感じで微笑ましいな……。
「俺もな、もうおじさんだからな。若い子が元気に過ごしているところを見ると嬉しくなる」
「む……、子供扱いは、嫌です」
「子供扱いされて不満を感じる辺り、まだ子供だよ」
「えー……。じゃあ、大人の人は子供扱いされたらどう思うんですか?」
「……若く見られてラッキーと喜ぶ?」
「ああ、なるほど……?」
そんなしょうもない話をしつつ、一緒にチョコレート菓子を食べる。
……菓子を食べながらも、道の前後を見張るように位置取りをしている辺りはプロフェッショナルを感じさせるな。
いや、こんな風に、女子高生がプロフェッショナルにならなければ生き残れなかった世界を恨むべきだろうか。
「おいひい……!チョコレートとか、すっごい久しぶりぃ……」
瀕死状態から回復してチョコレート菓子を齧る翠も、笑いながらもしっかりと銃に片手を添えて立ったままでいつでも動けるようにしている。
こんな子供達がこうなってしまったのは少し悲しいことなんだろうな。
俺はそこまで慈悲の心が有り余っている訳ではないが、それでもまあ、多少は気の毒に感じる。
しかし、スタンスを変えるほどではないな。
他人を養うなんてごめんだ。
だから、無理のない範囲の援助やお裾分け、労働の対価はしっかりもらう。
このスタンスは崩すことはないだろう。
……まあ、もしも彼女達が本当の本気で俺と結婚するとか言うんなら、その時は本気で援助をしなきゃいけなくなるだろう。
少し前までは、俺の取り合いでのコミュニティ内での仲違いの可能性を考えて頭が痛かったものだが、今では俺を共有する宣言とかされてるから本当に怖い。
どうなってんだこの世界。狂ってるだろ。
……いや、そうだったな、世界はとっくに狂っていたな。
さて、特に進行が妨げられる要素がない為、当然のように赤町区へと到着した。
地下鉄から出て、階段を上り、駅から歩いて徒歩十五分。
赤町駐屯地が見えてきた……。
だが少し、今、拙いことになっている。
「銃を下ろしなさい!」
「そっちが下ろしてよ!」
「これ以上はテロ組織と見做す!銃を下ろせ!」
「そっちが先に下ろしてくれなきゃ信用できない!」
何故だか知らないが、自衛隊側も銃を持っていたのだ。
まあ確かにそりゃあ、銃を持ってはいるだろう。
だが、既に『パラダイムシフト』から半年が過ぎているんだ。
弾薬も何もかもが使い切ってなきゃおかしい。
そう思ったから、銃を持っているこちら側が、言い方は悪いが上から交渉できると思って行動したんだが……。
自衛隊に、弾薬や武器を補充するスキル保有者がいたと言うことか?
それって、どんな確率だよ……。
わあい、お高いチョコだー。
ところで、能力バトルものを書きたくて設定組んでるんですけど、ヒロインが非処女だとキレるとかあります?
クソ重ガチストーカーキモ女共に追われる感じのストーリーになりそう。
ガチやばいクソ重背景持ち能力者女共を、そうとは知らずに堕としまくり、いざ自分が能力者になったら「周りの女共全員能力者じゃねーか!!!!」となる可哀想で可哀想じゃないカス主人公(外ヅラ良し)のお話。
エントリーナンバー一番!
花京院みたいなノリで子供の頃から能力が使え、それが原因で親に気味悪がられて虐待されてた女!
善人アピールをしたい主人公の名声ポイント上げの為に、幼少期に主人公に助けられて以降、信者になったぞ!
小学生の頃に主人公から貰ったボロボロの安物リボンを高校生になった今でも愛用しているキチガイだ!
エントリーナンバー二番!
親に強制的に買春させられてた女!
善人アピールに余念のない主人公に支えられていたがある日、売春しているシーンを主人公に見られて自殺しようとするぞ!でも主人公さんは、「目の前で死なれたら迷惑なんだよ!」と内心で悪態をつきながらも「君は汚れてなんかいない!綺麗な女の子だ!」とか大嘘ぶっこいてしまったのでもう大変!信者になったね。
自室の部屋中に主人公の盗撮写真が貼り付けられてる変態だ!
エントリーナンバー三番!
変態に誘拐されて性処理ペットとして飼われていた女!
気持ち悪い変態中年にハイエースされて、毎晩レイプされてた可哀想な子だ!
たまたま散歩中の主人公に助けられて以降、主人公の信者になったぞ!
基本的に主人公のストーキングをしているぞ!
エントリーナンバー四番!
毒親に異常に厳しく育てられてぶっ壊れた女!
学校のテストで一問でもミスるとベルトの鞭で引っ叩かれて、食事のマナーも習い事も全てちゃんとやらないと狂乱して怒鳴り殴るタイプの親に心を壊されるも、主人公に優しくされてそれを支えに生きてきて、最近に毒親をパージできた女だ!
金はあるから事あるごとに主人公に貢ごうとしてくるぞ!
全員が小中高と主人公と一緒で、年齢も同じ。
全員、辛い過去によってメンタルを破壊されているが、それを主人公によって救われた過去がある為、主人公に過度の信頼と愛情とドロドロした感情がある。