ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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一週間のお休み明け一発目。


40話 呼集

と、まあ、そんな訳で。

 

摩子のお願いを聞いて、恐らくは自衛隊駐屯地にいるであろう、摩子の母親を回収することになった。

 

実際の話、他の子からも「家族を探したい」という突き上げ……とまでは行かないが要望は多いらしい。総リーダーの理絵が言っていた。

 

それもそうだろう。

 

このコミュニティ、『杉之浦女子高校』は、恐らくは今の世界で一番安定しているコミュニティ。

 

安定すれば余裕が生まれ、余裕が生まれると他人のことを想えるようになる。衣食足りて礼節を知る、とはよく言ったもの。

 

つまり、自分の生活に目処がついたから、家族のことが気になり出した、と……。

 

それは当たり前の帰結だった。

 

俺にはもう、守りたい身内はいないが、要望を出してきた女の子達の気持ちは流石に理解している。

 

俺だってちゃんと人間なのだ、身内に情が湧くとか、そういう人間の心の動作は分かっているとも。

 

だが、生きているかどうかも分からない身内の為に、数少ない人員を大量に遠征させるのは拙い。

 

特に拙いのはルートだ。

 

自衛隊駐屯地は、この富谷区から南東にある霧島大学を超えて、更に南東へ行った場所にある。

 

東にまっすぐ進み、その後南下する形式だと、この前うちに攻めてきたゴブリン男子校があるのでこれは論外。

 

かと言って霧島大学に接触するのも時期尚早という感じが否めない……。

 

ではどうするか?

 

答えはこうだ。

 

 

 

「あっら〜ぁん♡また会ったわね、ハンサムさん?」

 

「こんにちわ」

 

南下して霧島駅に行き、霧島駅地下鉄から自衛隊駐屯地のある赤町区まで移動する……!

 

で、今はその過程で、霧島駅前のオカマバーに寄ったところだ。

 

このオカマバーは、薪作りをして周辺のコミュニティにそれを売り生活している集団だったな。

 

「こんにちは、祥子さん」

 

俺についてきた光が頭を下げる。

 

光は剣道部だったらしく、目上の人に対してはしっかりと頭を下げる。相手がオカマでもだ。

 

偉いよなあ。

 

「こんにちわ〜、光ちゃん!今日もかわいいわねぇ、羨ましいわぁん♡」

 

そう言って笑顔で手を振る祥子ママ。

 

祥子ママの方も、客商売をやっている人だからなのか、かなり人当たりもいい。

 

まあ確かに見た目は気持ち悪いのだが、内面はかなりしっかりした人だ。

 

単なる善人ではなく、計算高いところがあるのも良い。

 

善人だが、時と場合によってある程度の悪行も見逃せること。これは意外と大切だ。

 

あまりにも正直過ぎて政治的な駆け引きができない人も世の中にはいるからな。

 

正直は美徳とは言うが、実際の話、実社会で正直過ぎる奴は邪魔なんだよ。

 

完璧な人間なんてどこにもいなくて、みんなどこかでミスをするし手を抜く。

 

思えば、俺が医者をやっていた時に煙たがられたのも、手を抜かなかったからかもしれんな。

 

なんだかんだで振られたタスクを全部こなすから、まだ行けるんだろうなと思われて勝手にタスクを上乗せされる……。

 

人間、七割くらいの力で生きた方が良いんだよなやっぱり。

 

まあ、あまりにも綺麗過ぎる水には魚が棲めないと言う話だ。

 

それは良いとして……。

 

「実は今回は、女子高の女の子達の身内を探しているんです。駅前にはいませんか?」

 

「いるんなら、前に貴女達が来た時に教えてるわよ」

 

まあそりゃそうか。

 

光もそれは分かっていたらしく、一度頷いた。

 

「はい、ですけど、駅前は広いじゃないですか?もしかしたら、あの時に私達を見ていなかったコミュニティがあるかもしれないので……」

 

「それはそうね」

 

「祥子さんは、こうなった今でも駅前周辺では顔が広いと仰ってましたから、何か情報がないかなと」

 

「情報ねえ……」

 

そう言って爪を磨く祥子ママ。

 

まあ、折角の取引材料をタダで渡す訳はないか。

 

だが、こちらは別に取引をしに来た訳ではないんだよな。

 

「あの、実は、コミュニティを解放しようと思っていて……」

 

「あら……!それは驚きねん?閉鎖的な杉之浦女子高校が『解放』だなんて」

 

「これからは幅広く取引して、移住希望者を受け入れる方針にします。なので……」

 

「なるほどね……、となれば、味方になってくれる家族を集めるのは当然よねん」

 

そう言って青髭を撫でる祥子ママ。

 

そして、一言。

 

「真面目な話、情報はちゃんとあるわ」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ、でも、別に意地悪して伝えなかった訳じゃないのよ?……貴女達の家族にも、それぞれ事情があるの」

 

そういうと祥子ママは色々と説明してくれた。

 

例えば、この近くの会社をコミュニティした集団の中に、女子高生の親がいる。

 

しかし、会社の人と辛い生活をしている手前、自分だけ「親だから」と言って幸せなコミュニティに移住することは憚られる……みたいな。

 

そう言うケースが多く見られるそうだ。

 

皆、「子供の負担になるくらいなら……」と、敢えて会いに行かなかった、ということらしい。

 

「今後は人を受け入れるんでしょう?それなら、色々と手を貸せるわよ」

 

「はい。それと、もし良ければ……」

 

光は、祥子ママ自身にも移住の話を持ちかけた。

 

「……良いの?」

 

「むしろ、来てほしいです。女子高生に従ってくれる人なんて、環介さんと祥子さんの他にいませんから……」

 

「アタシなら貴女達に従うと?」

 

「えーと、うちのリーダーは、『メリットがあれば従ってくれる人だろう』って言ってました。それに……」

 

「それに?」

 

「私達、環介さん以外の男の人は苦手なんです」

 

そう光が言い切ると……。

 

「っは、ははははは!あーっはっはっはっは!なるほどねぇ?男は苦手だから、オカマを引き入れようって言うのね!アンタ達天才よ、天才!あはははは!」

 

と、祥子ママは大笑いした……。

 

「……あー、こんなに笑ったのは久しぶりね。良いわよ、手を貸してあげるわん♡」

 

「じゃあ!」

 

「けどね、アンタ達がちゃんと上に立つ人間としてしっかりやれないんなら、そん時はコミュニティを乗っ取るからね!」

 

「はいっ!」

 

そういうことになった。

 




本当に申し訳ないが、全然書けませんでした。一週間も休んだのに。

書けたのはTRPGもの七話と、武装JK十話だけ!

情けない……、情けない……!

(……ん?アレ?一週間に一話更新のペースなら、一日二話くらい書けてるなこれ?)


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