偵察部改め、狩猟部。
女子校では畜産も始まっているのだが、流石に、生徒全てを満足させるほどの食肉を定期的に供給することは不可能だ。
そこで、狩りである。
市民体育館がある真山区には、猪や熊、マンモスなどが現れるのだが、これらの肉は質の良い食肉になるのだ。
猪はまだしも、野生の熊など、臭くて食えたものではないのだが……、モンスターは色々と勝手が違うって訳だな。
モンスターは、ダンジョンがある限り、無限に湧いて出る。
確かに、戦って狩る必要はあるのだが、実質的には無限に湧く食肉だと扱える訳だ。
だが……。
「気を悪くしないで欲しいんだが、戦えるのか?」
俺は、目の前の椅子に座る南部緋夏にそう聞いた。
何故か?
この南部緋夏は、どう見ても小学生ほどにしか見えない背丈の、小さな女の子だからである。
キンキンと、子供のように高い声。
金色のツインテールに鳶色の瞳。
吊り目に八重歯の、勝ち気な少女。
この矮躯で一体どう戦うのだろうか?
「心配してくれてるの?ありがとね!でも大丈夫!アタシはこう見えて強いんだから!」
と、申し訳なくなるくらい薄い胸を張る緋夏。
「……今、なんか酷いこと考えなかった?」
「まあ、うん」
「うー……、はっきり言うわね……」
「だって、隠せないんだろ?」
そう……、この緋夏には、とあるスキルがある。
『看破』というスキルだ。
それは、読心術とまでは言わないが、悪意の有無くらいなら分かってしまうらしい。
「まあ、隠せないけど……。因みに、なんて思ったの?」
「胸を張っても胸がないな、と」
「むぅ……。まあ、それくらいなら別に良いわよ」
お?
怒らないのか。
「幼児体型なのは自覚してるしね。喚いたって何も変わらないもの」
「そうだな」
「でも……、アタシ、これ以上大きくなれないのかしら……?」
不安そうな緋夏。
「なら、ちょっと検査してみるか?」
「検査?」
「レントゲンでも撮って、内臓を見れば、健康に問題がないことくらいは分かると思うぞ」
だがまあ、パッと見た感じ、低身長であるだけで、身体そのものは至って健康だと思えるのだが……。
「ええ、お願いするわ」
結果。
マジでただのチビであることが判明した。
「うーん、ただのチビだね」
「失礼?!!」
「いやごめん、本当に、なんの理由もなくただ単に背が低いだけみたいだよ。成長期も過ぎてるし、もう伸びないんじゃない?」
「うわーん!」
「あー、でも、骨盤が身長の割にはしっかりしているから、帝王切開の必要はないかもな」
「ふぇ?えっと、ちゃんと赤ちゃん産めるの?」
「ああ、大丈夫だ。産婦人科ではないが、帝王切開ならやってみせるさ」
「じゃあ良かった。おじさんの子供、産んであげられるんだね!」
んんー?
んんんんんー?
「……何の話だ?」
「え?いや、アタシ、おじさん以外に抱かれるつもりとかないし。でも、子供はいつか欲しいし」
あー、うん。
「申し訳ないが、お前じゃその……、勃たないんだが……」
「ド失礼?!!」
「正常だろ。好きな人がロリコンでした!とか、その方が悲惨では?」
「正論だよォー!!!」
机に額を叩きつけて唸る緋夏。
おいたわしや……。
「それで、話を戻すが……。お前のスキルは、『精密動作』『警戒』『看破』なんだろう?これでどうやって戦うんだ?」
「ん」
んん?緋夏が紙を差し出してきたぞ。
紙を見ると……。
×××××××××××××××
ナンブ ヒナ
存在階位:45
力量:50
精密:78+50
強度:33
知能:47
能力: 「精密動作:5」『警戒:3』《看破:3》
×××××××××××××××
と書き記されていた。
俺と比べれば弱いが……。
「『看破』のスキルはね、単に嘘発見器だけじゃないのよ。具体的には、隠されたものや見えないものをを見つけるスキルなの」
「ふむ?つまり?」
「どんな生き物にも弱点はあるわ。心臓、内臓、脳、大動脈……。そう言うのが一目で解っちゃうのよね」
なるほどな。
つまり……。
「『看破』で見抜いた弱点を、そのレイピアで『精密動作』を活用して射抜く、と」
この世界は、まるでゲームのように変化した。
だが、確実に、ゲームではないのだ。
HPなどという数値で生命力が表される訳ではない。
身体の丈夫さが伸びる「強度」のステータスという尺度は存在するが、それでも、弱点を突けば一撃で殺害ができる……。
それが現実だ。
「それに、『力量』のステータスもちゃんと50あるしね。並みの人間五人分の力があれば、渾身の一突きで黒猪くらいならヨユーで仕留められるわよ?」
それもそうか。
例えば猪なら、鎖骨を避けて強く刃を突き入れて心臓を貫けば、理論上は刃物で殺せるからな。
もちろん、素早く動き、姿勢の低い獣の、ほんの数平方センチメートルしかない弱点を正確に貫くとか普通の人間には無理だが。
だが、彼女にはそれができる、と。
「へえ、カッコいいな」
「そ、そう?えへへ……」
あ、照れ顔は可愛いな。
「って、違う違う!それより、環介さんに私のこと好きになってもらわなきゃ!」
と、そう言いながらくっついてくる緋夏。
「いやあ、だからね、ちょっとね」
「でも、本気でさ。このままじゃ、人類が滅びちゃうんじゃない?」
んー……。
「私達だって、環介さんっていうバランスブレイカーが来なければ、今頃、男子校の奴らみたいになってたと思う……。今の世界で、私達よりも裕福な人なんていないんじゃないかな」
「そんな筈は……」
俺がそう言うと、緋夏は、俺の手を強く握ってきた。
「嘘」
ああ、そうだったな。
『看破』されてしまうんだった。
「自分でも、そんなこと思ってないでしょ?貴方だって、もう日本が滅んでるって分かってる」
「それは……」
「良いの、希望なんて持たせないで。私達はまだ子供だけど、現実は見えてるから」
はあ……。
賢いな、この子達は。
「とにかく、さあ。今はもう、子供を産める環境って、ここくらいしかないと思うの。私も子供は欲しいから、我慢して抱いてもらえる?」
我慢、か。
「……君のことはさ、好きだよ。ただ、本当に申し訳ないが、見た目がね」
「うー……、好きな人にそんなこと言われると、結構凹むわね……。もう最悪、全裸のサリアとか配置しておくから、それを見ながら私を」
「いやそりゃ、君にもサリアちゃんにも失礼だろうよ。大体にして浮気になるだろ」
「え?浮気?」
は?
何かおかしいこと言ったか?
「いや……、そんなの気にする子、いないけど」
「はあ?」
「今もう、そんなこと言ってる場合じゃなくない?とにかく、子供を増やさないと不味いもん」
「じゃあ別に……」
「そんなこと言って、私達が歳取ったらどうなるの?おばあちゃんになって、戦えなくなったら、死ぬしかないんだよ?自分達の面倒を見てくれる子供を増やすのって、普通だよね?」
み、見た目に反して、シビアなことを考えているな、この子は。
「私達はもう、みんなで環介さんを共有して、環介さんの子供を増やすことしか考えてないからね?」
「お、おう……」
「でも、それって、遺伝子の多様性?って観点から見て駄目なんだって雪姫が言ってたから……、外から人を拾うことも最近は考えてるみたい。環介さんも、考えといてね」
「はい……」
参ったな、女は強いぞ……?
あああああ……。
新作が9話書けた……。
書いているうちに筆が走っておかしなことになってしまった……。
ぼく「そもそも騎士って何や?騎士団ってのは国家から任命された騎士爵の指揮する名誉騎士の集団なのか?それとも、教会の信徒たる修道騎士団なのか?」
僕「今回は、バイオハザードのB.O.Wみたいなのに変身する能力で無双する訳だから、いつもの粗雑なろうファンタジーでは許されないな……。となると、やはり社会は封建制だな。だから多分、明確な国家の線引きがあるくらいの成熟した社会ではない……」
我「やっぱり、メイン軸に十字軍遠征のキーワードは入れたいな……。せや!魔王軍=イスラーム圏世界の立ち位置で、イスラーム圏に侵略する十字軍=召喚された勇者達みたいな立ち位置にしよう!」
朕「聖地持ってて金持ちで船も持ってた頃のイケイケテンプル騎士団見てェーッ!よし、最強の女騎士の団長に率いられるテンプル騎士団だ!国はどうせ大した勢力じゃないし、適当にあしらわれる感じで良いだろう。最強のテンプル騎士団が、魔族の領土からガチ聖杯とかを略奪するんや!」
俺「修道騎士が年中人質遊びファニーウォーしてる名誉騎士に負けるはずないだろ!良い加減にしろ!(偏見)」
でもここまでやってもテンプレにしかならんのよなあ。
俺は書いてて楽しいけどさ。