ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ここまでで一区切り、一章完。


30話 新年

新年を迎えた一月。

 

まだ寒い中、俺達は体育館に集まって新年の計画を立てることになった。

 

「まず、みんなに発表があるよ!聞いてね!」

 

理絵が壇上で声を上げる。

 

「環介さんのスキルについてはもう聞いたと思う!けど、だからと言って、環介さんに頼り切りなのも良くないから、私達はここで自立した生活を目指すよ!」

 

「「「「おー!」」」」

 

「色々と話し合いをした結果、初期投資分は環介さんに借りることになったけど、借用分は備蓄から払うし契約も継続するからね!」

 

つまり、これから俺は、家畜や豊かな土壌などをこの女子校に与えて、今後も農業などの指導を続けていくということだ。

 

「じゃあ、環介さんは残ってくれるってこと?!」

 

「やったあ!」

 

「環介さんがいないなんて、もう考えられないもんね!」

 

生徒達から歓声が上がる。

 

薄汚い話だが、俺の有用性を知っている彼女達が、俺をみすみす手放したりはしないのは予想できていた。

 

利用されることに文句はない。

 

何もしないが一方的に愛してくれと言い張るほどガキじゃないからな。

 

確かに俺は他人の都合を考えて動くのはもう嫌だと思っているが、だからと言って何もしないつもりはない。

 

線引きはあるとは言え、ある程度は他人に合わせる気はくらいはあるのだ。

 

社会は滅んだ、それは尤もだ……。

 

が、俺は恥を知る人間なんでね。あまりにもみっともないことはできんよ。

 

誰も見てなくても俺が見ている。俺は俺に蔑まれたくはない……。

 

俺が、そう決意を新たにしていると、理絵の演説が終わったようだ。

 

理絵は、スピーチが異様に上手い。

 

たまにいるのだ、こういう奴は。

 

威厳と親しみやすさを絶妙なバランスで両立させ、他者の心に訴えかけられる、「会話の才能」を持つ奴がな。

 

普段はスケベなことばかり考えてるおとぼけ女だが、リーダーの才覚である冷酷さを兼ね備えている……。

 

聞けば、勉強もスポーツも上位層で、更には家事も一通りできて、そして良いとこの子でもあるそうだ。

 

末恐ろしいな、この子は。

 

俺も時々、この子と会話をしていると、引き込まれそうになることがある。

 

気をつけねば。

 

さて、そんな理絵の演説内容は簡単なものだった。

 

要約すると、やはり、最初の結論の通り「自立」だ。

 

自分達の生活を自分達で支えようという話だな。

 

具体的には……。

 

この女子校には以下の六つの部がある。

 

調達、警備、偵察、研究、技術、雑務。

 

人数の振り分けはこうだ。

 

調達:150

警備:150

偵察:50

研究:50

技術:50

雑務:50

事務:20

 

因みに、調達部と警備部は規模が大きいのでリーダーが二人いる。

 

それで、だ。

 

もう既に、地球の崩壊から半年が過ぎた。

 

警備部は据え置きでいいとしても、調達部はこんなに要らないだろう、という話になった。

 

何故か?

 

この周辺では、食料は大体が漁り尽くされたし、衣服は女所帯故に最優先で集められた。肥料や本なども集められて……、これ以上必要なものを集めるには、日帰りでは帰ってこれないような遠隔地に行くしかない、という状況だからだ。

 

よって、調達部は解体。

 

新しい編成はこう。

 

警備:200

狩猟:50

研究:50

技術:50

雑務:100

事務:20

特別護衛:50

 

警備部の増員はもちろんだ。

 

あんなことがあった後だからな、警戒が必要なのは理解できる。

 

調達部は完全に解体された。さっきも言ったが、この街には最早調達できる資材がほとんど残っていないからだ。

 

偵察部も、この辺りのマップは作り終えたので解散。近所から食用モンスターを狩猟したりする狩猟に再編成された。

 

研究部、技術部は据え置き。

 

雑務部は、解散した調達部のメンバーを吸収して増員。当面は家畜の世話や農作業に従事する。

 

事務部は、理絵の隷下の文官だ。

 

そして、特別護衛。

 

これは、俺の為の部隊だ。

 

現状、どう取り繕うが、最も最優先で守るべき存在は俺であることは明らか。

 

それを守るために、五十人もの護衛を配置された訳だ。

 

しかも、元調達部リーダーの光と翠の二大巨頭がつく。

 

各部のリーダーはこうだ。

 

警備:伍七嗣葉&サリア・エンフィールド

狩猟:南部緋夏

研究:氏居雪姫

技術:伊坂奈凪

雑務:州臣摩子

事務:捨矢理絵

特別護衛:砂鷹光&待場翠

 

組織運営については、正直俺は何も分からない。

 

「将来、政治家になりたいので勉強をしていた」という理絵に任せた方が良いだろう。

 

自分の半分ほどの年頃の女の子に総リーダーを任せるのは情けないように思えるが、出来もしないことをしようと出しゃばって、若い子の足を引っ張る方が、よっぽど情けない。

 

そんな俺の役割だが……。

 

やはり、最初に理絵が言った通りに、医学と農業を提供することだ。

 

医者としての活動と、農作業。そして、それらの知識の伝授。

 

これらがメインとなる。

 

そして何より、俺の『変換』のスキルを活かして、女子校に貢献することも……。

 

流石に、一人一人の口紅まで作れと言われればイラつくし拒否するが、生活必需品を出して欲しいと対価を渡されて頼まれるのなら是非もない。

 

紙類、石鹸、電池、肥料や家畜……。

 

常備薬や調味料、一部食材など。

 

そう言ったものの供給を行なっていた。

 

対価は、新設された狩猟部が仕留めてきた黄金骸骨を定期的に貰っている。

 

 

 

それはさておき、だ。

 

正月中は休もうという感じで、しばらく低稼働になる予定だ。

 

だから、その間に、各部のリーダー達と腹を割って話して、親睦を深めておこうと思う……。

 




チャーシュー、自作すると安いな……。



はい、そんな訳でここまで。

次……、次はどうしようかな。

どうすればいい?

書き溜めがそれぞれ別の新作を15話15話30話とかでバラけてるんですよね。

30話書けてるやつは、とりあえず第一章完まで書けたのでそれをね、行こうかなと。

僕、最近、上京して、「労働」というものを始めて時間がないんですよねえ……。しかもこのご時世で在宅ではなく出社する有様でして。

文章量が少なくてすいませんマジで。推敲も碌にできてないです。誤字報告ほんと助かる。

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