ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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エルデン、巨人山陵抜けて聖樹まで来た。

転移門から例の最高効率ルーン稼ぎ場でずっとマラソンしてます。


21話 醜態

校庭の土を使って、炭焼きをする。

 

校庭のグラウンドに炭焼き用の窯を作ってのことだ。

 

完成した炭は保存して、薪にした。

 

薪は、教室内に設置された火鉢の中でぱちぱちと音を立てながら赤熱し、部屋を温める。

 

灰は、石鹸や肥料にと再利用する……。

 

今は十二月。

 

冬真っ盛りだ……。

 

関東に雪は滅多に降らない。

 

しかし、氷の混じった雨がよく降り、それは、雪よりもよほど冷たく、人間の体力を奪うのだ。

 

俺のように、身体のデカい筋肉ダルマは、冬でも代謝の良さからタンクトップ一枚で平気なくらいなのだが、女の子達はそうはいかない。

 

「「「「寒い!」」」」

 

ジャンパーでまん丸に着膨れした女の子達が、教室内の火鉢の火に当たる。

 

冷え症の女性はかわいそうだなあ。

 

「換気はしっかりするんだよ」

 

「「「「はーい」」」」

 

火鉢の前で震える彼女達にそう忠告して、俺は退室しようとしたのだが……。

 

「先生もあったまっていってください」

 

「おっと」

 

砂鷹さんに捕まってしまう。

 

「外は雨ですし、やることなんてないじゃないですか」

 

「まあそうだが……、仕事がないなら探すよ」

 

社会人なんでな。

 

指示がなくても自主的に動けるんだよ俺は。

 

「ダメですよ、風邪ひいちゃいます!」

 

「だけど、給料をもらっているからなあ」

 

給料分以上働くのは嫌だし、おかしいことなのだが、かと言って貰っている給料分に見合わない働きしかしないのもまた問題なんだよな。

 

寒さにより稼働率が下がった現在でも、コンスタントに金3kg分くらいの報酬が毎週貰えている現状、もっと働きたいのが本音だ。

 

農家どころか医者ですら足元に及ばない報酬を貰っておきながらサボれるほど、人間性を捨てた覚えはないな。

 

「じゃあ……、そうだ!医学について教えてください!今日は、校舎の中で勉強して過ごしましょう!」

 

「ああ、それは良いね」

 

そう言えば、砂鷹さんは看護師を目指していたとか……。

 

俺に憧れて、とのことだが、根本的に医療に興味があるのかもしれない。

 

それに、彼女達も病気や怪我のセルフチェックができればかなり助かるだろう。

 

とりあえず、トリアージについて教えておこうか。

 

「それじゃあ、暇な子を大きな教室に集めてほしい。知っておいてほしいことについて講義するよ」

 

「はい!」

 

 

 

「……そんな訳で、歩ければ緑。自発呼吸がなければ黒。意識があれば黄で、それ以外のヤバそうなのは赤って認識で良いだろう。そういう時にやってほしいことは……」

 

トリアージ。

 

つまり、命の選別だ。

 

命は大事、何より尊い。

 

そりゃそうなんだが、緊急医療の世界では、命に順番をつける。

 

もう助からない命は、言い方は悪いのだが見捨てて、助かりそうな命を救うことにリソースを集中させる。軽傷者には治療を待ってもらう。

 

こんな世界だ、トリアージをやらなきゃならない時がいつ来てもおかしくはない。

 

この子達にも、その時が来てしまったらどうするかを教えておかねば。

 

幸い、ここの子達は皆聡い子ばかりだ。

 

助からない存在を見捨てると俺が言っても、納得できていた。

 

その辺りのシビアな判断ができるようで大変結構だな。

 

「はい、先生。ここなんですけど……」

 

「ああ、そこは……」

 

質問をしてくる砂鷹さんに答えてやりつつ、しばらくは応急処置などを教えていく。

 

確かに、学校でも、心肺蘇生法くらいは習うだろうが、それをちゃんと覚えている子がどれほどいるだろうか?

 

何回人工呼吸をするか?何回胸部圧迫をするか?ちゃんと覚えているか?普通は覚えていない。

 

だから改めてやり方を教えておく。

 

メモも取らせて、各々に緊急時の行動表などを作らせる。

 

総リーダーの捨矢さんのスキルである『遠話』に、『緊急連絡チャンネル』を追加する。

 

暇な時に定期検診を実施する……。

 

俺ができることで、彼女達を助けていきたい。もちろん、給料分の労働の範囲内で。

 

 

 

……ところで、砂鷹さんの距離感がやたらと近いのはなんなんだ?

 

そんなに俺のことが好きなのか?

 

「ぁっ……、あの!」

 

「どうしたの?」

 

「手……、握っても良いです、か?」

 

「構わないけど……」

 

「えへへ……♡」

 

何なのこれ?

 

女子高生が三十代のおっさんに惚れるとかあり得ないだろ……。

 

ここの子達は、俺みたいなのに惚れ込むほどに男日照りなのか……?

 

伊坂さんは子供のフリして抱きついてくるし、州臣さんは露骨に胸を押し付けてくるし、伍七さんは思い切り視姦してくるし……。

 

男の趣味が悪過ぎるだろ……。

 

「砂鷹さん」

 

「はい?」

 

「俺みたいな男はやめておいた方が良いと思うよ」

 

「……えっと、気付いてたんですか?」

 

「一応、俺も恋人はいたからなあ……」

 

農家になってからはいなくなったが、中学生の頃から医者時代まで、彼女がいなかった時期はねぇしな。

 

そういう視線は分かる。

 

「ァッ……」

 

あ、砂鷹さんがダウンした。

 

「砂鷹さん、大丈夫だよ。若い子が歳上の異性に憧れるのはよくあることさ。恥ずかしいことじゃない」

 

フォローしておこう……。

 

俺も、ガキの頃は、近所に住んでいた歳上のお姉さんに憧れてたっけな。

 

俺が小学生の頃に大学生だったお姉さんでなあ、遠い親戚で、良く面倒を見てもらっていたっけ。

 

初恋だったなあ……。

 

俺が高校生になった頃辺りに、結婚して子供ができたなんて話を聞いた記憶があるが……。

 

まあ、昔の話だ。

 

それに、このパラダイムシフト騒ぎで、とっくに死んでいるはずだしな。

 

『新丸姉さん』なあ……。

 

生きてくれていると嬉しいんだがなあ……。

 

「ァッーーー!ァッーーー!ころしてーーー!!!」

 

アッ、砂鷹さんが面白いことになってる。

 

慰めねば……。

 




マジで書けてない。

一日二話三話くらいは書きたいのだが……。

遅筆が許されるのは綿密なプロットと確かな文章力があるハイセンス作品だけなんだよなあ。

俺みたいな凡人は速度で殴らねば……。

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