ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ラーメンうまい。

痩せられない。


13話 偽証

伊坂さんと話しながら、井戸開通。

 

湧き出す濁った水を見ながら、俺は言った。

 

「っと……、こんなものかな。明日には水も澄んでいるはずだから」

 

「うん……」

 

伊坂さんは、ボーッとしていた。

 

夢現、という表現がぴったりだな。

 

どうしたんだろうか?

 

俺は声をかけた。

 

「伊坂さん?」

 

「本当に」

 

「え?」

 

「本当に、水が出た」

 

そりゃなあ?

 

「それはまあ、掘ったんだから水は出るでしょ」

 

「皆川さん……、ありがとう。私は口下手だから、上手く言えない。けど、とても、とても、感謝してる」

 

そう言うと伊坂さんは、井戸掘りで泥だらけの俺の手を、自分の両手で握りながら頭を下げてきた。

 

自分の手が汚れるのにもかかわらず、だ。

 

ああ、やっぱり。

 

こういう子達の為なら、仕事をやっていて気持ちがいいな。

 

 

 

次の日、多くの女の子達が井戸に集まっていた。

 

井戸に設置されたポンプを押すと……。

 

大量の澄んだ水が流れてきた……。

 

「「「「わあっ!」」」」

 

女の子達が歓声を上げる中、水を、学校の水質検査キットで検分する氏居さん。

 

氏居さんは、研究部のリーダーだ。

 

美しい黒髪の、清楚そうな美女。

 

とは言え、噂によると、見た目に反して中身は俗っぽい子らしいが。

 

そんな氏居さんが声を上げる。

 

「水質検査……、オッケーです!この水は、飲めます!」

 

「「「「わああああっ!!!!」」」」

 

その氏居さんの宣言を聞くと、女の子達は、さっきよりも更に大きな歓声を上げた。

 

「皆川さんっ!ありがとう!ありがとうございます!」

 

感極まって少し泣いている、総リーダーの捨矢さん。

 

「いや、気にしないでくれ。一つじゃ足りないだろうから、いくつか掘るよ」

 

「皆川さんっ……!あなたは最高です!私にできることなら、何でも言ってくださいっ!」

 

「気持ちだけ受け取っておくよ。さて……、真山区画から獣はとれたかな?」

 

「あ、はい!さりりん!」

 

「はいですわ!」

 

さりりん……、サリア・エンフィールドさん。

 

イギリスからの留学生で、金髪の美女だ。

 

スタイルは細身ながらも整っているし、金髪も、日本人の染髪では再現できないような透明感のあるブロンドで、お手本のような海外美女である。

 

そんな彼女はどうやら、弓のスキルを得られたらしく、幾つもの猪を狩ってきたようだった。

 

「じゃあ、後は俺が解体しておくから……」

 

「皆川さん、私にも教えてくださいな」

 

「いや……、エンフィールドさんは女性だし……」

 

「今はそんなこと、関係ありませんわ。男とか、女とか……。働くことこそが大事なのですわ」

 

強い意志の篭った瞳を向けてくるエンフィールドさん。

 

「……血に塗れるし、大変だよ?」

 

「覚悟の上ですわ」

 

うーん、偉いなあ……。

 

「私もやります!」

 

「私も!」

 

「普段役に立ってないんだから、私も!」

 

他にも立候補者が。

 

ああ、最高だな。

 

良い子ばかりだ。

 

 

 

農業指導、医療指導をしながらも、色々な作業をやっていく。

 

物静かな女の子などは、最初の頃は俺のことを警戒していたようだが、今では全ての女の子達が俺を支持しているようだった。

 

女の園と化している校舎内に立ち入っても、笑顔で挨拶を返してくれるくらいには。

 

そうなってくると、俺もかなり信用ができるな。

 

信用は、されると、返せるようになるものだ。

 

「そう言えば、俺のスキルについて話してなかったな」

 

「あ、そうですね」

 

夕暮れ時。

 

調達部の砂鷹さんが戻ってきた頃。

 

校舎の中で、獣油を使ったランタンの光の中、俺は砂鷹さんと話していた。

 

「私は、コモンの『怪力』、レアの『剣術』、エピックの『加速』を持ってます」

 

んっんー。

 

何ですかそれは……?

 

コモン、レア、エピック……?

 

もしかして、レアリティ的なものだろうか?

 

まあ良い、誤魔化そう。

 

「恐らくは俺のスキルはエピックなんだろうな。それくらい凄いんだ」

 

「あ、ステータス欄のスキル枠見れば分かりますよ」

 

ふむ?

 

確認してみる。

 

×××××××××××××××

ミナガワ カンスケ

存在階位:83

力量:142

精密:96

強度:124

知能:130

能力:【変換:5】

能力派生:【超速変換】

×××××××××××××××

 

「枠……、とは?」

 

「スキルの枠があるじゃないですか?それが……」

 

なるほど。

 

「」ならば、コモンスキル。

 

『』ならば、レアスキル。

 

《》ならば、エピックスキル。

 

そう言うことらしい。

 

エピックスキルは、五百人はいるこの高校でも、十人程度しか持っている人のいない希少かつ高性能なスキルなんだとか。

 

……【】のスキルはなんなんだ?

 

まあ良い。

 

「俺のスキルは、『倉庫』と言ってだな……」

 

と、でっち上げる。

 

要するに、無限大の広さの異空間にアクセスする能力だと、嘘をついたのだ。

 

流石に、『変換』について知られるのはリスクが高過ぎる。

 

確かに彼女達のことはかなり信用しているが、それとこれとは話が別だ。

 

むしろこうして、彼女達のスキルの効果を聞けば聞くほど、俺の『変換』が異質であると評価できる。

 

だから、それっぽい能力で誤魔化した。

 

「このスキルにより、村で確保した資源があるんだ。これを提供したい」

 

「えっ……?!で、でも」

 

「家畜の世話とか、俺一人じゃできないからね」

 

「家畜?!」

 

「ん、ああ、村には鶏とかいてね」

 

「いや、その、生き物って入れられるんですか?!」

 

あー……?

 

「いけちゃ駄目なのかな……?」

 

「普通、ゲームとかでは生き物はアイテム欄に入らなくないですか……?」

 

ゲーム?テレビゲームのことか?

 

殆どやらないから知らないんだよなあ……。

 

アプリ版のドラグーンクエストをちょっとやったくらいか?

 

「いけるっぽいね。ああでも、小さいものだけだよ?人間は無理だ」

 

と無害アピール。

 

「に、鶏……!卵……!お肉……!」

 

トリップしている砂鷹さん。

 

「明日は鶏小屋作るから、暇な人は手伝いに来てね」

 

「はいっ!」

 




四月なのに寒いのほんとひで。

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