「ご苦労」
「お、おい待てよ!答えただろ!答えたのになんで!う、ゔぁ」
分かったことをまとめよう。
俺は常にメモ帳とペンを持ち歩いている。
何というか、癖だ。
後ついでに、俺は字がめちゃくちゃ汚いし、メモは英語の筆記体で書いている。その方が早いから……。日本語は漢字がね?画数が多いんだよ……。
ドイツ語?
いつの話をしているんだ?
今時の医者はドイツ語なんてできないぞ。
カルテ?
近頃は日本語か英語だ。
重要な論文は、大抵は英訳されてるしな。
英語できてりゃ困らないんだよ。
まあ俺は日常会話くらいならドイツ語もできるが……。
そんなことより、メモした内容だが……。
6月6日に、大きな地震が発生。
それと共に街が壊れて、殆どのインフラが止まった。
電気、ガス、水道……。
電気は、自家発電可能な設備以外は停止。
ガスは、災害に伴い安全装置が発動、停止。
水道は、一ヶ月くらいは使えたが、段々と水が濁っていき、今では出なくなった。
そして、インターネット……。
5G通信、衛星通信、テレビ、ラジオ……、あらゆる無線通信が切断された。
そして更にそこに、『モンスター』が湧いたそうだ。
大きな獣、骸骨の剣士、醜いゴブリン……。
そういうモンスターがどこからともなく湧いて出て、人々を殺し始めた。
こいつらは、警察がモンスターに発砲しているシーンを見たらしいが、どうやら、鉄砲はあまり効かない様子だったそうだ。
だが、『モンスターから奪った武器』や、『スキルを使った攻撃』なら、モンスターを簡単に倒せることが分かったらしく、それで工夫して戦ってきた、とか。
また、『肉弾戦、もしくはその延長線上にある攻撃』……、つまり、鉄棒で殴るとかでもそこそこに効くらしい。
そして、田舎の農村を襲撃すれば、楽に食べ物を得られると思って、ここまで逃げてきた、と。
都会は強いモンスターが多く、食べ物も全くないから、多くの人間が田舎に逃げ込んでいる、とか。
以上の情報から判断すると……。
「逃げよう」
村を捨てるべきだと分かる。
こんな、知能が低そうな連中でも……、いや、知能が低い連中こそ、田舎に行けば食い物があるなどと思っている。
どう考えてもそんなのはあり得ないのに。
日本の農家が使う肥料や家畜に食わせる飼料は、その多くが海外から輸入されている。
また、田んぼを耕すのにも収穫をするにも、トラクターを使っているのだ。ガソリン駆動の、な。
だが、世の中には、ちょっと土遊びすれば野菜なんて簡単に作れる!などと思っている連中が多過ぎる。
そんな気狂い共が、大挙して押し寄せてくる?
冗談じゃない。
すぐに移動しなければ。
俺は、この村に存在する全てを、田んぼも、家畜も、家も、全てを黄金の塊にした。
そうしたところ、金の塊が一キロ分ほどできた……。
「うーん、一キロの金か……。どうにか圧縮できないだろうか?例えば、金より価値のあるレアメタルとか……」
すると、金延べ棒は、30gほどの細い腕輪に変化した。
その腕輪は、黄金よりも美しく、自らで光を発して輝く超金属でできていた。
恐らくこれはヒヒイロカネか、アポイタカラか……。
なるほど、『変換』の法則が分かってきたぞ。
変換はかなり自由だ。
制約は一つだけ。
『同じ価値があるものにしか変換できない』ということだ。
例えば、金1gは、牛肉2500g、野菜4700g、オーブントースター、電気ケトル……、辺りに変換できる。
金一グラムは大体七千円くらい、七千円有ればkg単位の食料や簡単な家電くらいは買えるだろう?
つまり、そういうことだ。
なので、ほぼ価値のないもの……。
例えば、金を砂などに変換しようとすると、とんでもない量が出てきてしまう。
にしても、この能力……、便利過ぎないか?
今は、嗜好品どころか衣食住にすら困っているらしい。
そんな中で、今の世の中で役に立たない希少金属などを、今の世の中で一番必要な衣食住に変換できるのだから。
喜ばしいことだ。
だが同時に、警戒もしなければならない。
他人にバレたら、面倒なことになるのは目に見えている。
能力を隠しながら生きていかなければなるまい。
とにかく、村はもう駄目だ。
都市部から、流民が流れ込んでくる。
逃げねば。
安住の地を探す旅の始まりだ……。
まず、目的地を決めたい。
クズ共を拷問した結果から、都会は危険。
死んでしまっては元も子もないからな。
なら、適度に都会なところを目指すべきだろう。
モンスターがそれなりに強くて人が近寄らず、かと言って、俺が死なない程度のところ……。
とりあえず、近くの街に行くか。
と、その前に……。
「待場の爺さん」
俺は、死んだ待場の爺さんの死体を抱え上げた。
そして、埋めてやる。
もちろん、肉片になった待場の婆さんを可能な限りかき集めて、同じ墓に埋めてやった。
別に、ジジババが死のうが何とも思わないが、最低限の礼儀は示さなくちゃならない。
『礼』こそが、人と獣を分ける境界線だと、俺は思っているからだ。
好ましい人ではなかったが、ここの村の住人に世話になったのは事実。
礼儀に則り、俺は形だけは弔い、墓を立てた……。
エルデンリングでデータが四時間分巻き戻されてマジギレ。
ゲームシステムはバグ多いなと思うが、ストーリーは本当に好き。
あー書きてえ。
てかもう書いてる。
なろうテンプレチート主人公さんに無双してください!と言わんばかりの雑設定ファンタジー世界で、外付け良心回路(良心があるとは言ってない)に操作される外道主人公が、外道なのに何故か結果的に世界を救ってしまうお話。
もう既に十一章までのストーリーができている。十一話ではなく、話の区切りとして十一章。
と言っても、いつもの「なんか捻った話にしよう!」とかなくて、とにかくなろうテンプレを羅列する形になるが。
このすばelonaみたいなノリ?