ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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カレー食ってクソ太った。

助けてくれ。


3話 終末

そうだ、村の他の農家達の収穫物も、一旦黄金に変えてしまおう。

 

そう思い、俺は村に来たのだが……。

 

「何だ、これは」

 

村には、血塗れの肉片がいくつも転がっていた。

 

それだけじゃない。

 

方々から火の手が上がり、黒煙が渦巻き……。

 

老人達の悲鳴と、若い人間の笑い声が聞こえる。

 

その血溜まりの中に……。

 

「環坊……」

 

「待場の爺さん!」

 

待場の爺さんがうずくまっていた。

 

「どうした爺さん?!何があった?!」

 

爺さんを立たせようとすると……。

 

「こ、れは……」

 

腹が引き裂かれ、内臓がこぼれ落ちていた。

 

医者じゃなくても分かる。

 

致命傷だ。

 

それだけじゃない。

 

肩や腕の部分には矢傷があり、嬲られていたことも分かる。

 

殺すつもりなら急所を射抜けばいいものを、わざと急所を外して攻撃された印象だ。

 

「環、坊……。いつも、ありがとう、な。ワシらを、手伝って、くれて、ありがとう、な……」

 

ああ、これは駄目だ。

 

助かる出血量ではない。

 

内臓の損傷も酷い。

 

「爺さん……」

 

「嫌じゃった、ろうに。若いのに、こんな、田舎で……。年寄り共に、使われ、て、なあ?」

 

「まあ、そりゃそうだが、そこまで嫌じゃなかったよ。そこそこに楽しかった」

 

「カカカ……、正直じゃの、う、環、ぼ、う、は……」

 

爺さんはそのまま、息を引き取った……。

 

少し黙祷し、傷の検分に入る。

 

切り傷……、刃物だ。

 

獣の牙ではない、鋭利な金属の刃によるもの。

 

それも、痛ぶるように全身を切り刻まれている……。

 

人だ。

 

人がやったんだ。

 

そう思い、俺が立ち上がると……。

 

「あっ、トシ君!生き残りのおっさんだ!」

 

「まぁぢで?まだいたんだ」

 

「おいおっさん!食いもん出せよ!」

 

血塗れの刃物を持ったガキ共が現れる。

 

「おっ、ここ野菜あるじゃん!」

 

「畑とかウケる!農家とかってやつでしょ?土遊びしてるだけで金もらうようなやつ、殺されても仕方なくない?」

 

「マジそれな!農家とか誰でもできるじゃん!こんなので金もらって生きてきて、今、俺達若者が飯も食えないとか信じらんねー!」

 

思い思いの凶器をぶら下げたガキ共は、田畑を荒らし、家畜を殺し、農家の老人達を痛めつけて殺したようだった。

 

「おっさんも農家とかってやつなんだろ?マジメに働いてないニートおっさんはぁ、今を生きる若者に援助よろしくぅ〜!ぎゃはははは!!!」

 

そう言って、刀剣をこちらに向けてくるガキ。

 

ふむ、なるほど。

 

俺はキレると逆に冷静になるタイプだ。

 

まず、話を整理しよう。

 

「何故殺した?」

 

「はあ?何言ってんの?」

 

「ここの老人共は、ムカつく年寄りばかりだったが、頼めば何でも分けてくれたはずだ。金だって……」

 

「今の世の中でカネとか、何に使えんだよ?ボケてんのかおっさん?」

 

金が、使えない?

 

それはよく分からないが、それなら食料が欲しかったということか?

 

「ってかさ、俺達がこんなに苦労してんのに、老害のカスがいいもん食ってるとか、あり得ないっしょ?」

 

「殺すほどのことだったのか?」

 

「うるせぇーなあ!文句あんのか?!ああっ?!」

 

良いや、大体分かった。

 

「確かにそうだな。ここの老人共は、村唯一の若者の俺を散々働かせてくる、ムカつく奴らだった」

 

「は?」

 

「待場の爺さんは害獣の駆除を押し付けてくるし、望月の爺さんは俺に重いものを運ばせる。内村の婆さんはテレビを直せとか無茶を言う……、俺は医者だったが機械は治せねえ」

 

「何言ってんのお前?狂ったの?」

 

「大体にして平均年齢的に、後二十年生きられるかどうかって感じだったし、死んでも特になんとも思わん」

 

「はぁ?意味わかんねえよお前!」

 

「だが……」

 

「もういいよお前!死ねぇ!『剣術』スキル、発ど———」

 

「俺の日常の一部だったんだ」

 

剣を振り上げたガキの土手っ腹を、思い切りぶん殴る。

 

臓器が潰れる感触……。

 

内臓破裂だ。

 

「ご、ごぼぇ……」

 

口から大量の血の塊。

 

それは、胃の内容物以外にも、破けた臓器のかけらを含む、ゼリー状の半固形だ。

 

死んだな。

 

「ああ、ああ……、最悪だよ、お前ら。壊したな?俺の日常を壊したな?」

 

「ト、トシ君?!」

 

「い、いやぁぁぁっ!!!」

 

「テメェっ!!!」

 

「日常を壊す奴は、消さないといけない。俺の生活を壊す奴は、殺さないといけない」

 

俺は、内臓破裂で死んだ男から刀剣を奪い、女に投げつけた。

 

「ギ、ぇっ」

 

胸部を刀剣が貫き、近くの家屋に磔に。

 

あまり、作りの良い刃物ではないのだろう。

 

先端が丸く、だからこそ、体組織を激烈に破壊して貫いたようだ。

 

衝撃で胸骨がバラバラになり、その破片が心肺をズタズタに引き裂く。

 

出血性のショックもあり、当然即死。

 

「トシの仇だ!死ねえええっ!スキル発動、『弓術』!!!」

 

弓を射かけてくる男。

 

たが俺は、既に、目の前で倒れているトシとかいう男の死体に『変換』を発動していた。

 

持ち上げた死体を鉄板にして、矢を弾く。

 

「な、何だよそれはあああっ?!!!」

 

そのまま、鉄板を掲げたまま突進。

 

弓男を撥ね飛ばす。

 

そして、弓男の首を掴んで、言った。

 

「お前はせめて、俺の役に立つものになれ」

 

《『意志力』を確認》

 

《副次スキルの『超速変換(ミダス・タッチ)』が覚醒しました》

 

「や、やめっ……!」

 

「『超速変換(ミダス・タッチ)』」

 

「あ……!」

 

弓男は、ほんの一秒程度で変換完了。

 

肉体がブラックホールに圧縮されたが如く……、より詩的に表現してやれば、巨人に握り潰されたかのように、小さくなって、十数枚の金貨になってしまった。

 

なるほど、ミダス・タッチ……。

 

触れるもの全てが黄金になる力を手に入れ、最後は愛する娘までも黄金に変えてしまった、愚かで強欲なミダス王の手……。

 

良いじゃないか、お似合いだ。

 

「ひ、ひいいっ!お、俺は反対だったんだ!人を殺すなんて!」

 

へたり込み失禁する鈍器持ち男の、両手両足を金に換える。

 

「ひ……、あ、うわああああっ!!!」

 

さて……、尋問の時間だ。

 




何かこう……、新作のプロットを書いているうちに、朧げながら某氏のやる夫スレみたいになってしまったことが見えてきたぞ……?

具体的に?

周りのヒロイン「こうこうこういうわけで、この依頼をやらなきゃならないのよ!」

主人公「知るかボケ。俺を巻き込むな。俺は姫様にソウルを貢ぐので忙しいんだ」

姫様「まあ良いではないか。やってみたらどうだ?」

主人公「ぼくちん反省❤︎何をしている?姫様がやりたいと仰せだ、とっとと行くぞ。依頼だか何だか知らんがやってやる」

こんな感じで話が進みます。

……アレだ!某氏のアレだ!!!

やってしまいましたなあ……?

これはお蔵入りにするか……?

いやでも、そんなことを言ったら某氏のアレもそもそもメガテンの二次創作だしな。

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