ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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風邪引きました。


2話 確認

黒猪の肉だが、パッチテストも、犬に食わせても問題はなかった。

 

「ワン」

 

因みに、うちの犬はシベリアンハスキーだ。

 

名前は陸奥という。

 

シベリアンハスキーであるが故、長距離の散歩を要求されるのだが、それが健康的で気に入っている。

 

医者時代は、病院から一歩も出れない日なんてザラで、身体は痩せ細り、体力もなかった。

 

しかし、田舎に帰って農家を始めて、陸奥を買ってからと言うもの、毎朝15kmのランニングと農作業でムキムキの筋肉と健康体を取り戻せたのだ。

 

医者であったからこそ言えることだが、病気の最大の予防は健康体を保つことだ。

 

適度な運動、バランスの良い食事、質の良い睡眠。これが何より大事。

 

自己診断するまでもなく、今のままの生活を続ければ、俺は百歳を超えても立って歩けるくらいの健康を維持できるだろう。

 

タバコはあまり吸わないし、酒は人並みだし、三十四歳にしては極めて健康な肉体だ。

 

さて、黒猪の肉。

 

これは、解体してパーツ分けしたものを、近所の農家に配り歩いた。

 

そのお返しで、商品にならないような不揃い野菜を貰った。

 

この田舎では、このような物々交換のような何かで生活が成り立ってしまうのだ。

 

「環坊!」

 

「何だよ、内村の婆さん?」

 

「うちのテレビが壊れちゃったのよ!見てくれない?」

 

「テレビの直し方なんて知らねーよ」

 

「私よりは分かるでしょ!」

 

「ったく……」

 

テレビのマニュアルを見ながら、設定欄をポチポチと……。

 

うーん……?

 

「こりゃ、電波側が来てないな。アンテナが壊れてるかもしれん」

 

「アンテナ?よく分からないけど直して!」

 

「無理だっての。業者呼びな」

 

「どの業者?」

 

ったく……。

 

俺は、スマホでこの辺のアンテナ工事会社を検索しようとするが……。

 

「は?スマホも圏外だと?」

 

スマホも使えなくなっていた。

 

何かがおかしいな……。

 

あ、地震か!

 

「もしかしたら、東京の方がさっきの地震で何かあったのかもしれないな」

 

「まあ……、確かにそうねえ。この山奥でもすごい揺れだったし、もし地震が東京で起きてたとしたら……」

 

婆さんは納得したようだった。

 

「収穫の時期には、野菜を受け取りに来る業者が来るから、その時に話を聞けば良いんじゃないか?」

 

「そうねえ、そうしましょう」

 

俺が子供の頃に大地震が起きたのだが、その時にも、三ヶ月くらいライフラインが途絶したことがある。

 

この村には備蓄もあるし、そもそもが自給自足できるようになっているのだから、あまり困らないのだ。

 

水は井戸だし、火は竈門だし……。

 

収穫の時期になっても音沙汰がなければ、何か手を打とう。

 

 

 

そうして、何故か毎日出てくる黒猪を罠で仕留めつつ、収穫の時期を迎えたのだが……。

 

「やべーぞ、業者さんが来ない」

 

野菜を受け取りに来る業者さんが来ないのだ。

 

もしかしたらこれは……、本格的にヤバいのでは?

 

収穫が忙し過ぎて何も考える暇がなかったのだが、いざ終えるとヤバいなと分かる。

 

もちろん、言い訳はあるのだ。

 

老人の農家が百人程度しかいない、見捨てられた土地であるこの山中村は、インフラが途絶することなどしょっちゅうだ。

 

テレビがつかない、ネットが繋がらない、電話が繋がらない……、そんなのはいつものことなのだ。

 

だから、いつものことだと思って放置していたら……、これだ。

 

「クソ、ヤバいな……。このままじゃ、野菜が腐っちまう……」

 

このままだと、折角の野菜が駄目になってしまう……!

 

「ああ、クソ!せめて肥料にでも『変換』するか?」

 

と、俺が、野菜の入った籠を抱えながら呟いた、その瞬間!

 

「うおおおおっ?!!」

 

籠の中の野菜が、ゆっくりと肥料に『変換』されていったのだ!

 

「な、んだ、こりゃあ?!」

 

その時、ふいに思い出す……。

 

———《ステータスとスキルは、『ステータスオープン』と宣言することにより閲覧可能です》

 

そう、謎の声を。

 

「ス、『ステータスオープン』!」

 

俺は、一縷の望みをかけて、叫んでみた。

 

すると……。

 

×××××××××××××××

ミナガワ カンスケ

存在階位:75

力量:130

精密:86

強度:112

知能:120

能力:【変換:5】

×××××××××××××××

 

こう書かれた半透明の板が目の前に出てきた。

 

「これが、ステータスってことか……?」

 

ゲームとかそう言うアレはあまりやらないので分からないのだが、意味は何となく分かる。

 

むしろ医学的に、「すばやさ」とかいう数値があったらツッコミを入れてしまっていただろう。

 

つまり、「速く動くのに必要なのは筋肉であって、筋力とすばやさが別ステータスってどう言うことだよ?」とかな。

 

一方でこれはシンプルで分かりやすい。

 

力量が力の強さ。

 

精密が円滑さ。

 

強度が頑丈さ。

 

知能が賢さ。

 

存在階位は……、レベルとかそういうのだろう。

 

そしてスキル、【変換】ときたか。

 

恐らく、予想通りなら……。

 

「『変換』……!」

 

俺は、倉庫にある野菜を全て、黄金に変換した。

 

倉庫を埋め尽くさんとしていた在庫は、二枚の金貨に変わった。

 

まあ、金貨一枚十万円くらいとすればこれくらいだろう。

 

「もう一度、『変換』!」

 

そして、金貨を野菜に戻す……、成功!

 

「やったぞ!これで野菜は無駄にならない!」

 

それに……。

 

「『変換』!……おおっ!塩や砂糖も!醤油とかもいけるのか!」

 

これで、食べ物の心配がなくなった!

 

最高だな!

 




エルデンリングがたのしいので、フロムゲーっぽいのを書きたい。

フロムゲーみたいに、破綻寸前の地獄暗鬱ファンタジー世界の主人公が、なんかの間違いでテンプレナーロッパに飛ばされる話。

主人公は、遠い昔は未来の日本人だったが、フロム製のVRゲームをやっていたら、気が付いたらその世界から出られなくなった人。

何度も心が折れて血反吐を吐きながらクリアするも、クリアの後目覚めると二周目になってしまっている。

ならば、と様々なエンディングを試すが、どれも最終的には無駄になる。

そんな心折れた主人公に唯一優しくしてくれたのが、「月の姫君」と呼ばれる半龍の神格であった。

以降主人公は、「月の姫君」に仕える狂信者として、レベルをカンストさせ力をつけて、裏ボスさえもノーダメで倒すマジキチになった……。

そんな主人公が、「月の姫君」の写身人形と共に異世界転移してしまう。

写身人形は、一応、「月の姫君」の一部であるのだが、異世界であるため本体とのリンクが途切れており、完全な別個体として独立してしまった。

それにより、本来なら白より大きい白龍である「月の姫君」は、手乗り人形サイズまで弱体化してしまっている。

主人公の目的は、この異世界の強敵を倒しまくりソウルを集め、「月の姫君」に捧げることである。

「月の姫君」の目的は、何度も地獄を繰り返しながら、健気に自分に仕えてくれている愛しい主人公を、少しでも楽しませてやることである。

マジキチ主人公と外付け良心装置である「月の姫君」のコンビ活動!

まあ要するにラニ様人形を連れて異世界行脚する褪せ人みたいなノリです。

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