ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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少しお話があります。



65話 素敵な学園生活

春の中頃。

 

現在、一年生の三学期。

 

十三歳になった俺は、相変わらずノリにノっていた。

 

「ぐぎゃあああ!!!」

 

「雑魚がよ、逆らうんじゃあねえよ」

 

決闘制度。

 

いや全く、アホ過ぎて困る。

 

文明社会のくせに、そういう蛮族味を残すからこうして悪用されるんだ。

 

確かに、モンスターの危険があるこの世界で個人個人が武力を持つことを禁じるのは拙いだろう。だが、せめて街や学園の中では武力行使を禁じる法律でも作れば良いのにな。

 

そんな訳で、陰口を言ってくる奴、突っかかってくる奴、なんとなく気に食わない奴などを、圧倒的な武力で制圧していく。

 

貴族的に、決闘を断ることはプライドが許さないらしいからな。

 

フランちゃんが「殺すのはやめて!」と泣きながら土下座してくるので、ちゃんと全員、顔を焼いたり半身不随にしたりする程度で済ませてやっているぞ。

 

そうやっていくうちに俺は、学園では「名前を言ってはいけないあの人」みたいな扱いになった。

 

実際、恐怖で支配した部下と熱狂的な信奉者もいるし、大体合ってるな。

 

だが例のあの人は恐怖で縛るばかりで体制としては脆弱だ。

 

俺はしっかりと、ステークスホルダーの皆さんに利益を分け与えているし、秘密結社のネットワークも広げ、人員も訓練してやっている。

 

確かに俺は、生きる伝説とまで称されているらしい学園長の婆さんを片手間で始末できるくらいには強いつもりだが、組織力や動員力を不要とは思わない。

 

苦労して人員を育てて利益を分配し、孤児達を育てて組織への忠誠心を持たせるのも、全て面倒だがしっかりやっている。

 

と言うかむしろ、エンジニア的に考えて、苦労して自動化するのは当たり前なんだよな。一度自動化すれば、そのシステムは末長く使えるのだから。

 

長々と話したが、つまり俺は今、組織運営のために必要な仕事を地道にやっているってことだ。

 

 

 

さて、朝になったな。

 

昨日の夜は、俺に半身不随にされた魔法使いの貴族が、なんか暗殺者的なのを雇ってけしかけてきたので、「全身の皮を剥いでリジェネ魔法をかけたまま針で吊り下げる」とか「生存に最低限必要な臓器と頭だけを残して解体して箱詰め」とか、この世の終わりみたいな猟奇的拷問体にして街道に安置するなどして忙しかったぞ。

 

俺はいつも通り、シャワーを浴び、朝食を作る。

 

「おはようございます!」

 

「エグザス、おはよう」

 

「おはよう、エグザス殿」

 

「エグザス様、おはようございます」

 

エイダと、何だかんだで屋敷に転がり込んできたフランシス、ユキ、グレイスの四人が起床して、共に食事。

 

生成の魔法で作った物品を、自動調理の魔法で料理するだけだ。手間はない。

 

メニューも大したものではないな。

 

単に、ボイルしたハーブ入りのソーセージに、レタスのサラダと目玉焼き、インゲン豆のトマト煮込み……ベイクドビーンズといった程度。

 

これに、トーストしたパンとバター、カットしたフルーツを添えるくらいなもん。

 

それをワンプレートにまとめて出しているのだが、女達は「きれい」「かわいい」「上品」と喜んでいる。まあこの世界の飯って美味くないもんな、分かるよ。

 

食事の最中には、まるで家族かのように、今日の予定や近況などについて話す。

 

「昨日の夜、警備システムが発動してたけど、大丈夫だったの?」

 

「おや、心配してくれんのかフランちゃん?俺のこと大好きだねえ」

 

「あーはいはい、好きよ好き、愛してるわー。……で、大丈夫だった?」

 

「侵入者は、食事中にすると肉が食えなくなるような様になった、とだけ言っておこうか」

 

「うわあ……、またやったのね……」

 

「それよりお前らは課題を終わらせているんだろうな?」

 

「当たり前よ!応用Bまで終わらせて、今は生成術基礎をやってるわ!」

 

「あ、拙者は強化術概論と力学概論をやっているぞ」

 

「私は人体学概論と医療術応用に挑戦中です」

 

「ヨシ!」

 

「エグザス様、私はシステム管理を奴隷の子達とやり始めました!問題はありませんか?」

 

「まあまあだな、後でもうちょっと話したい」

 

「はい、もちろんです!」

 

いや本当に、家族のような会話だな。

 

俺には、今世では家族はいないので、嬉しい気持ちになるなあ。

 

え?父親?刹那で忘れちゃった。忘れちゃったので実質的に俺に親はいない。良いね?

 

そんな訳で家族のようなアレと会話をして、一日が始まる。

 

 

 

まず、俺はスーツを着込んで、いつものように学園に顔を出す。

 

その前に、元スラム住みのガキ共のリーダー、アランとベティの獣人少年少女コンビに話しかけた。

 

そうそう、元スラムに建てた屋敷のすぐ隣に、ガキ共の宿舎があるんだよ。

 

これから使う大切な労働力だからな、衣食住には事欠かないようにしてやっているぞ。

 

スラムのガキ共は、俺が来る前には宿舎の前に全員で整列しており、俺が来ると皆一斉に頭を下げる。

 

んー、いかにも悪の組織だ。

 

身寄りのない子供を集めて洗脳教育して、秘密結社の尖兵にするだなんて。

 

けど実際有効だから仕方ない。

 

特に、今この世界は中世初期から中期レベルの文明力しかないんだ。インターネットどころかテレビも新聞もない。

 

外から余計な情報が入ってこないので、情報制限の上での洗脳教育は非常に容易だと言っておこう。

 

まあでもアレだ、スラムのガキなんて、この世界の文明じゃあ俺がこうして手出ししてやらなきゃ物盗りか娼婦にしかなれんのだから、こうして救ってやるのは善行だよ。側から見たらかなりの慈悲深さだよな。

 

実際、聖女とかなんだとか呼ばれていたグレイスも、孤児を集めて教育していると言ったらいたく感動していた。

 

その際に、俺の組織に相応しい人材になるような教育をしている、とも言ったが「何の問題ですか?」って感じだった。

 

教会だって孤児院やってるけど、神の教えを子供の頃からがっつり叩き込むもんな。おんなじだよおんなじ。

 

そうして、元スラムの孤児達に声をかけて、報告を聞いたら、今日の分の指示を出して……、俺は学園へ。

 

 

 

学園では、もう全ての授業の単位が出ているので、卒業の為には試験や実習だけを受ければ良い状態になっていた。

 

実習と言えば、一学期のモンスターを殺す学園内実習、二学期の森で野営しつつ行軍する遠足実習をやったな。

 

そして三学期は期末テストとして迷宮……つまりダンジョンを攻略する実習があるとのこと。

 

……つまり、毎日律儀に顔を出さんでも問題はないってことだ。

 

そもそも俺が学園に入学したのも、箔付けと名誉稼ぎでしかないからな。別に学ぶことがあると思って来た訳じゃない。

 

無論、学園の識者から学園生という立場を利用して俺の専門外のことも聞けるのは素晴らしいことなので、興味があることは聞きに行き、自分なりに研究ノートを作ってはいるが……。

 

それはそれとして、通学の必要はほぼないのだ。

 

じゃあ何故来たのか?と言うと……。

 

「え、エグザス様、ご機嫌麗しゅうございますか?」

 

「こ、こんにちは、エグザス様!」

 

「エグザス様!こんにちは!」

 

学内で集めた俺のシンパ達の教育が目的である。

 

まあ、色んな奴がいるよね。

 

俺の商売の腕の凄さを見込んで着いてきた奴。

 

第二王子の友人ということになっている俺に近付いて、第二王子にも近付こうとする奴。

 

純粋に俺の強さに憧れちゃったアホの子……。

 

色んな生徒達が俺に頭を下げる。

 

尤も、それも三十人くらいのもの。

 

殆どの生徒は、腫れ物を触るかのように遠巻きに見守るか、露骨に目を逸らしている。

 

「うむ、どうだ?勉強は進んでいるか?」

 

「「「はい!」」」

 

こうして、シンパ達の面倒を見てやり……。

 

夕方には屋敷に帰り、秘密結社の事務仕事や、秘密結社で使っている魔法システムの品質管理や保守などをちょっとやる。

 

で、女達の面倒も見てやり……。

 

んー……。

 

なんか俺、クーデターしようとしてる青年将校みたいなことしてないか?

 

まあ良いや、とにかくそんなふうに過ごしている……。

 




まあ大した話じゃないんですけど、活動報告を見てってくだちい。

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