ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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おっ、最近ちょっとあったかくなってきたかな?


29話 ツンデレロリはテンプレ

え?

 

何故俺が、襲われている女の子を傍観しているのか?

 

移動できなくて暇だからだよ。

 

そう……、この世界は貧しい。

 

貧しいと具体的にどうなるか?

 

色々酷い点はあるが、まず一要素として、道が整備されないのだ。

 

我々、現代社会に生きる人間は、先進国に住んでいるならばアスファルト。後進国だったとしてもまあ、開けた道くらいはあるだろう。

 

だが、この世界はそうではないのだ。

 

道といえば、大きな街道でも馬車がすれ違えれば良い方。大抵の道は馬車一台分の道幅すらあるかないか……。

 

この、俺達が今馬車で進んでいる道もそうで、馬車が一台分の道幅しかない。

 

つまり、馬車を停車して街道のど真ん中で戦われると、俺達は先に進めないんだな。すれ違えるほどの道幅がないから。

 

道から外れれば草原に突っ込むことになるし、動けないのだ。

 

だから俺はここで待ってるんですね。

 

……人が襲われていたら助けるのが当然?

 

そんな義理はない。

 

俺は、テーブルと椅子を出して、コーヒーブレイクを始めた……。

 

 

 

「チッ……!キャロル、退きなさいッ!」

 

「お嬢様!しかしッ!」

 

「命令よ、キャロル!」

 

「は、はいッ……!」

 

レイピアを持った護衛?側近?はたまた侍女?良く分からんが女が、お嬢様と呼ばれた赤髪ツインテに言われて退く。

 

どうやら、護衛の兵士が十人ほどいるようだが、オークの群れの前では人間の護衛兵士とか無意味だからなあ。

 

むしろ、兵士が邪魔になっている感じすらある。

 

「ってか、あんた達も何かこう……、手伝ってくれるとかないの?!!!」

 

と、俺に怒鳴りつける赤ツインテ。

 

あ、気付いてたんだ。

 

「あ、じゃあ応援するわ。がんばれー」

 

「えっと……、がんばれー!」

 

俺とエイダは、ミルクココアを傾けながら応援の言葉を投げかけた。

 

コーヒー?うーん、まだ子供だから、カフェインは控えた方が良いかなーって。

 

好きなんだけどね、コーヒー。

 

まだ子供の味覚で、あんまり美味しく感じなかった。

 

まあ、豆も研究してないから、実際にあまり美味くないんだろうけど。

 

でもそろそろカフェラテくらいは飲んでも良いかな?

 

カフェインにも身体を慣らしておかないと……。

 

「ッ……!『ポップ 《メタルシールド》 アウトプット フロント』!……ちょっ、ちょっと本当に手伝って!そっちの子、魔導師でしょ?!対価を払うから!」

 

おや、エイダをご指名か。

 

「え?私、ですか?」

 

「そうよ!そっちの男は……、あら?何で魔力がないの?!……いや、それよりも手伝って!」

 

うーん……。

 

まあ、この調子だと時間かかりそうだしなあ。

 

しゃーない、手出しするか。

 

俺は指を弾いて、《デリートマジック》を走らせる。

 

すると、パッと、オーク共の頭がなくなり、オーク共の身体は糸が切れた人形のように崩れ落ちた。

 

「あ……?え?」

 

赤ツインテが困惑している。

 

「手伝ったぞ」

 

「……は?」

 

「いや、手伝ったぞ。対価に何をくれるんだ?」

 

赤ツインテは、首無しオークの死体を観察する。

 

死体をガン見できる辺り、肝は据わってんのね。やっぱり武門ってことか。

 

「えーっと、これ、あんたがやったの?」

 

俺はもう一度指を弾く。

 

すると、今度はオークの半身が消えた。

 

「……なるほどね」

 

それを見て、顔を青くする赤ツインテ。

 

だが、悲鳴を上げたり、逃げたり、無様を晒さない辺り、マーガレット先生よりもメンタルは強いと見た。

 

「んっん!失礼しました。わたくしは、クライン侯爵家当主『アルザール・フォン・クライン』の娘、フランシス・クラインと申しますわ」

 

そう言って、真っ平らな胸を張る赤ツインテ……、いや、フランシス。

 

ふーむ……。

 

フランシスは、男性形女性形双方とも、英語だと綴りは違えども読みは同じ。

 

まあ、フランスっぽい世界なのに公用語が日本語な辺りがもう完全に意味不明なので、その辺を考えるのは無益か。

 

で、フランシス。

 

貴族であるからして、まあ相応に身綺麗。

 

だが、俺とエイダのように毎日風呂入ってる勢と比べると小汚い。

 

髪色は赤毛。……アニメチックなかなり鮮やかな赤色だ。それを黒いフリル付きのリボンでツインテにしてる。

 

胸は……、ああ、ご愁傷様です……。

 

エイダは段々おっぱいが大きくなってきたし、初潮もきたのに、フランシスはかわいそうなくらいにロリ体型だ。

 

悲しいね。

 

顔?顔はスッゲェ可愛いね。

 

ちょいキツめだけど、愛想がいいからカバーできるんじゃない?

 

貴族の子供で魔導師という立場にあるのに、周りの一般兵を守る立ち回りをしていた辺り、人格面も良いと思うよ。

 

肌色は褐色。とは言え、日に焼けた小麦色の肌と言うやつで、人種は白人系だ。そもそも、この国の人間は白人系しかいないようだ。

 

まあそうだろうな、人種イコール国家みたいなもんで、多民族国家なんてないだろう。

 

村レベルでもあれ程差別が横行してるんだ、多民族国家なんて無理矢理作ればもう本当にヤバいことになるぞ。

 

……とは言え、アジア人としてアメリカで生活した感じ、人種差別はバリバリ有ったが。

 

やっぱり、多民族国家なんて碌なことにならないね!

 

俺が多民族国家を作るなら、人種のバランスを拮抗させて、更に人種ではない民族的アイデンティティを持たせるね。

 

それに、既にアイデンティティが確立された大人を第一世代にせず、確固たる民族主義を持たない子供を集めて洗脳教育して、それを第一世代にするかな。

 

まあそれは良いや。

 

とにかく、挨拶を返しておこう。

 

「そうか。俺はエグザス・レイヴァンだ。田舎の騎士爵の息子だ。王都の学園に向かってる」

 

「私はエイダと言います。平民ですが、エグザス様の弟子であり部下なので、共に学園に赴くことになりました」

 

それを聞いたフランシスは、眉をピクリと動かした。

 

「アンタね、言葉遣いには気をつけなさい。私の方が立場は上なのよ?」

 

「そうなのか?一瞬でこの世から消せる相手を敬おうとは思えないんだが」

 

「……へぇ?良いじゃない。貴族としては失格だけど、個人的には好きよ、そういうの」

 

ふーん?

 

「実際の話、オークの群れに梃子摺っていた私より、良く分からないけど一瞬で対処したアンタの方が強いわ。私はアンタのことを認める。言葉遣いくらい好きになさい。……あ、でも、他の貴族と話す時には気をつけなさいな」

 

「やだ」

 

「やだって……、あはははは!面白いわねぇ、アンタ!……キャロル!良い時間だし休憩するわよ!」

 

「はい!」

 

フランシスがそう言うと、兵士達は瞬く間に野営の準備を始める。

 

「エグザス、エイダ。アンタ達は面白いわ!何か話を聞かせて頂戴な!」

 




ロボもの、10話まで書けました。

が、やはりこう……、自然なキャラの出し方が分からん……。

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