ポテサラうまい。
ビルには、『TOKYOラジオ』とある。
確か……、FMラジオのラジオ局だったかな。
そのラジオ局の窓から、数十人の人が手を振っている。
「その、博士さん……?」
「おお!新しいサバイバーだ!早速、チュートリアルをさせなきゃ!」
「いやぁ、助かりました!自分、声優の楠木和彦って言います!」
あ……、え?!
あの、楠木和彦なのか?!
「おお!あれか!聖天(ディバインズ)の主人公である、曽根地白杜の中の人の!」
そう、聖天(ディバインズ)……。
大人気少年漫画雑誌ジャプンの、看板タイトルだった作品。
累計五千万部の売り上げを誇る、全八十巻の漫画で、八回のアニメ化、六回の劇場版、三回の実写映画化、ゲーム化も複数回、コラボの数は山ほど。
バトル要素とギャグを組み合わせながらも、心温まる人情ものストーリーにより、広い層からの人気を集めた、ジャプン準黄金期の看板漫画の一つ!
その主役である曽根地白杜の声優が、この楠木和彦さんだ!
「おっ!ご存じですか?!いやぁ、嬉しいなあ!『曽根地探偵事務所へようこそ。……ご依頼は?』なんてね!」
す、凄い、生でセリフを聞けるなんて!
「おお……、良いねえ!電子版だけど、漫画もアニメもゲームも全部買ったぞ!」
「ありがとうございます!」
博士は……、この人、普通にオタクだよね……?
まあ良いや、とにかく、話を聞こう。
「実は……」
楠木さんの言うには、あのパンデミックの日に、『スペシャルロボット大戦』という大人気ゲームの70周年記念作品が完成したらしい。
その為に、あの日、声優スタッフがラジオでゲーム内容について語り合う姿を動画サイトやラジオなどで配信していたようだね。
スタッフ全員、このラジオ局に集まり、それからバスで移動して、予約を取っていた大きな会場で慰労会をする予定だったそう。
しかしまあ、当然、パンデミックでそれどころじゃないことに……。
スタジオには、ファンから大量に届いていたジュースやお菓子があったので、それでどうにか食いつないでいたみたいだけど……。
それも限界が近かったらしく、一か八かで怪しい集団である博士に声をかけた、と。
なるほど……。
大変だっただろうな……。
僕達も同じような生活をしてきたから、気持ちは痛いほど分かる。
「それで……、あー、救助の方では、ないんですか?」
楠木さんは、そう言って博士を見る。
「そう見えるか?」
博士は、ニヤつきながらそう返す。
「いえ……、見えませんね」
「じゃあ、そう言うことだ」
どう言うことなんだ……?
何の答えにもなってないよね?
「ええと、その、じゃあ何者なんですか?」
「さっきも言っただろう?俺は行商人だ」
じゃあ何で博士と名乗るんだろうか……。
「ああ、つまりそれは……、オープンワールドゲーム的な?」
オタク畑である楠木さんは、話を聞いて超速理解してくれた。
「そうだ」
適当に返答する博士に、楠木さんは質問を重ねる。
「外はどうなってますか?」
「え?滅んでるんじゃない?東京の生存者は、ざっと確認した限りでは一万人前後くらいだな」
「政府とかは……?」
「暫定政府とか言って、沖縄に逃げたらしいね。で、西やら北から、中国人やらロシア人が比較的安全な日本を占拠しようと攻め入ってきてる」
え?!初耳!
あ、いや、でも、そうか。
島国である日本にいれば、少なくとも、島からゾンビを追い出せば安全を保てる。
ロシアや中国のような、大陸にある国では、ゾンビの根絶は難しい……。
つまり、日本はここまで大打撃を受けておきながら、世界的に見ればまだマシな方だってことなんだ!
そう、一人で納得している僕を他所に、楠木さんは緊張した顔で、訊ねた。
「つまり、救助は……?」
「そんなもんねーよ」
博士がそう言うと、およそ百人ほどいるこのグループは騒めいた。
「そ、そんな!」
「救助が来ないなんて……!」
「クソッ、どうすりゃ良いんだ!」
雰囲気が悪くなってきた……。
今まで、政府とかの救助を当てにして我慢してきたのに、救助がないと分かったんだから、それは当然だ。
「ど、どうにかなりませんか?!安全な場所とか……」
楠木さんは、必死そうに博士に縋り付く。
無理もない。
今は、博士のサービスで、風呂に入って服を洗濯して、食事もできたから、ある程度は回復したようだったけれど、どう見てもやつれている。
この極限状態で現れた博士が、現状を好転させてくれないなんて、困るだろうな。
「安全な場所?横須賀の自衛隊基地や、三浦市辺りなんかはある程度の安全があるぞ」
「東京は?!」
「東京は、自衛隊駐屯地は全て壊滅、警察署や、避難予定地の市民ホールに学校なんかも壊滅してるな。ここみたいに、上手く籠城した市民のグループとか、物資を求めて転々とする少数のグループのみが生き残っているようだな」
「そ、そんな……!」
やはり、か……。
僕達も、災害避難所になっている市民体育館とかを回ったけれど、どこも壊滅していた。
人が集まり過ぎる場所はかえって危険なんだと学んだ僕達は、絶対に信頼できるこの三人だけで生き抜いてきた。
しかし、首都圏は壊滅か……。
「ってな訳で、どこに逃げても無駄なんだな。逃げるとしたら、離島とかど田舎になるだろうけど、そこにたどり着くまでに死ぬだろうし……、それに」
「そ、それに?」
「お前らのような普通の人間が考えつくようなこと、他の人間が考えないと思うか?」
「あ……!」
楠木さんが気づいたようだ。
そう……、誰だって、離島や田舎へ逃げようとするはず。
つまり、ウイルスに感染しているかもしれない都会の市民が、全力で、ウイルスに侵されてない田舎街へ移動してくる……。
そうなれば、最早、田舎街も安全じゃない!
つまり、日本が……、いや、世界の全てが安全じゃないんだ!!!
「じゃ、じゃあ……、私達はどうすれば……」
楠木さんは、そう呟いて膝をついた。
あまりにも……、これは……。
気の毒だな……。
そ、そうだ!なら……!
「あ、あのっ!博士!」
僕は、博士に訊ねる……。
思いつきだが、博士はこれを喜ぶ筈だ!
「もしここで、ラジオ放送を再開したら、何かもらえませんか?!」
思いつき集なので、また新作でも書くか……。
ぶっちゃけここは、後発の同じような小説とネタ被りした時、「俺の方が先に書いてました!」と言い張るための予防線みたいなもんだからね。
で、だ。
タイタンフォール2と攻殻機動隊とマクロスと葛葉ライドウと狼と香辛料とハガレン、みたいな、なんかそんなのを書きたい。
何言ってるか分かんねーと思いますが、俺もフワッとしか思い浮かんでない。朧げながら頭に思い浮かんできたのです(小泉並感)
まずこう……、主人公は、悪の銀河帝国と戦っていたパイロット!
搭乗する機動兵器は、バルキリーみたいな変形ロボで、BTみたいなAIを搭載!
パイロットになる為に、平成ライダー並みのスペックになる改造手術を受けてサイボーグに!
無敵サイボーグパイロット主人公が、バルキリー的なのにAIの補助の下乗る訳だから最強ですよそりゃ。
で、そんな主人公と相棒のAIが、太陽系を脅かす悪の侵略銀河帝国に立ち向かい、見事撃破するが……。
帝国の自爆攻撃で、主人公の個人用戦艦?宇宙船?と共に異世界に飛ばされてしまうのです……。なんかこう、時空湾曲兵器的なのでね、こうね。その辺は良いでしょまあ。
そして、転移した世界に降り立つ。相棒のロボットは、AIは無事だがボディはスクラップ同然。整備工場兼プラントとなっている小型宇宙船は無事だったので、そこで相棒の新しいボディを作る。もちろん、資材は足りないので、戦闘用の巨大ロボットボディを作り直すのはまだ無理だぞ!
すると……、相棒のAIロボットは、女性型アンドロイドボディを作って、そこにAIをインストールして出てきた。
主人公「なーんで女の子になってんのお前????マシンボイス男だったじゃん!!!!」
AI「解答します。記録178/12/5/12:21において、マスターが『どうせならジョークの言えないAI君より、可愛い女の子と旅したいもんだ』と発言されたからです。そして、マシンボイスはデフォルトの男性ボイスでしたが、私に性別はありません」
こんな感じで、めちゃくちゃ可愛いアンドロイド美少女になったAI相棒と、無敵サイボーグパイロット主人公おじさんが異世界を旅するお話です。とりあえずは資源採取かな……。
そしてそう!
今回の異世界は、いつもの雑な中世ナーロッパ……ではありません!
雑な近世ナーロッパになります!
即ち!産業革命が起こりつつあり!鉄道が道を行き!そこらのチンピラもフリントロックピストルを持っている!
魔法とかオワコン、時代はカルバリン砲とマスケット銃!大航海時代と植民地!冒険者に英雄とかアホ、今は隊列と銃の時代!中央集権国家、絶対王政、宗教改革!
いつもとは違うナーロッパをお届けしたい!