ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ちんぽぽの花。


26話 気難しいブラッザモンキー

軍曹の説得により、海堂父らのホームセンター組が、自衛隊基地への避難を決意した。

 

「あ、終わった?」

 

「あ、はい」

 

俺は、涙ながらに語り合う人達をスルーして、集めるべきものを全て集めた。

 

あとは移動するだけだ。

 

「あ、あのっ!ちょっと良いすか?!」

 

んー?

 

なんか坊主頭で下唇にピアスを刺した男が声を上げたな。

 

「俺、配管工やってるんすけど、ホームセンターから予備の配管と工具を持ってて良いっすかね?」

 

「え……!あ、貴方は、インフラエンジニアなんですか?!」

 

軍曹が驚きの声を上げた。

 

「っす!俺ら、みんなインフラエンジニア系っす。リーダーは大工で、俺は配管工、こいつは電気工事士で、こっちはフルビット免許持ってます!」

 

フルビット免許?

 

俺が首を傾げる。

 

「大型ヤ特殊ナド、全テノ車種ヲ運転デキル免許ノコトデス」

 

と横からパイちゃん。

 

なるほど。

 

つまり、クレーン車でもトラックでもバイクでも、なんでも動かせるってことか。

 

そりゃ凄いね。

 

俺、レースゲームはあんまりやらないからよく分かんないけど、車の運転って難しそうだもんな。

 

クレーン車とか、あの二本の棒みたいなのガシャガシャやって動かすんでしょ?無理無理、できない。

 

「す、素晴らしい……!インフラエンジニアのような方々は、我々に必要な存在です!是非、力を貸してください!」

 

 

 

まあそんな訳で、自衛隊基地へ、ホームセンター組を連れて戻った。

 

インフラエンジニアは、社会にとって必要不可欠な存在らしい。

 

俺は、人生の半分以上を組織の中で生きて来たから理解していなかったのだが、普通の社会人は、一生を人間社会の中で生きるんだそうだ。

 

そう言われればそうね。

 

組織では、組織の人員が、インフラでも何でも担っていたし、仕事の発注も受注も基本的に組織内でやっていた。

 

陸の孤島というか、独自の別文明で生きていたようなもんだ。

 

組織で生きていた俺はあまり意識しなかったが、人間社会とは、高度に細分化された分業制によって成る世界なんだな。

 

組織では、そんな感じで、インフラもネットワークも何でも、そういうのは全部、組織のロボットによる完全なオートメーションによって賄われていたから、インフラエンジニアの価値が俺には分からない。

 

けど、自衛隊員達の反応を見る限りでは、社会には必要不可欠な存在っぽいね。

 

で、だ。

 

そんなことより……。

 

「約束通り、技術を提供してもらおうか」

 

と、俺は、造修補給所の拠点たるドッグに来ていた。

 

造修補給所、というのは、船や武器を整備して補給して管理する感じの部署らしい。

 

船の修繕をやる訳だから、かなりでかい……、なんて言うんだろうねこれ?旋盤?フライス盤?なんかそんなんがずらりと並んでいる。

 

あのデカいのでバリバリやれば、色んなものが作れるんやろなあ。

 

「来たか、坊主」

 

おや?

 

「俺ァ、大町久志。造修補給所隊長の一等海佐だ」

 

白髪まじりの黒髪に、無精髭を生やした中年雄個体。

 

肉体の劣化は年相応。

 

俺が見ていたロボットアニメの整備隊長とそっくりだから、おやっさんと呼ぼう。

 

「俺はティフォン博士だ。よろしくな、おやっさん」

 

「……なんでぇ、坊主もそう呼ぶのか」

 

ん?

 

……どうやら、俺と同じことを考えている人は多いらしく、この自衛隊員は周りから裏でおやっさん呼ばわりされているらしい。

 

笑える。

 

「で、おやっさん。頼んどいたの、できてる?」

 

「ああ、できてるぞ。だが、今からテスト運用をするところだ。色々調整しなきゃならないから、引き渡しはまだだ。まあ、そう時間がかかるもんでもないし、今日中には渡せそうだな」

 

ほーん。

 

「テストやってるところを見せろ」

 

暇なんで見学して行こう。

 

「良いけどな、機材には触るなよ?」

 

「おう」

 

そんな訳で、頼んでおいた機材を見せてもらう。

 

「まず、これが、カカオ豆を潰すローラーだな」

 

そう、ホームセンターからもらってきた、メランジャー?とか言う機械。

 

チョコレートは、カカオ豆を焙煎して、外側を剥がして、豆をミルにかけて潰して、お砂糖をたくさん混ぜてから、冷やして固めるとできると習った。

 

だが、その過程で、最後にこのメランジャーで、潰し切れてない粒子をゴリゴリ潰すと、滑らかで美味しい市販のようなチョコレートができるそうだ。

 

しかし……、何故か、コンセントに挿しても使えなかったのだ。新品のはずなのに……。

 

壊れているんだと思い、修理を依頼した。

 

「あのな、これはアメリカの輸入品だ。だから、日本の規格じゃ使えねえんだ。アメリカとは電気の規格が違うからな」

 

「なんと」

 

「それと、マニュアルを見たら、分解整備の必要があるらしくてな。そのやり方を教えるから来い」

 

「うむ、パイちゃん!習ってきて」

 

「ハイ」

 

なるほどなー、規格が違うのか。

 

そんな話を聞いたことがあるかもしれない。

 

そう言えば、アメリカの本部に送りつけた電電虫は、「規格が違うからやり直し」と送り返された思い出があるわ。

 

アメリカ版電電虫のデータを持ってこなきゃ。

 

そして、パイちゃんに整備方法を習わせて、次。

 

「で、これが、折りたたみ式のシャワールームだ」

 

「おお!」

 

巨体のキーちゃんでも入浴できるサイズのシャワールーム。

 

二つの大型シャワールームを無理やり接合したかのような形。

 

大型の浴槽も取り付けられるそうだ。

 

シャワーヘッドが二つと、大きな排水溝が二つ。

 

広さ的には、キーちゃんがギリギリ入れるくらい。ライオンが入るくらいだから、持ち運び式のシャワールームとしてはかなり大きいな。

 

まあ、申し訳ないが、更に長い身体のヒューちゃんには色々諦めて貰わなくてはならないが、最低限、人間の部分くらいは洗えるはずだ。

 

更に、1m×2mくらいの大きさの浴槽も置ける。

 

浴槽も、ホームセンターからかっぱらってきた。

 

浴槽って売ってるもんなんだね、びっくり。

 

他は、細々とした調理器具……、包丁、まな板、IHクッキングヒーター、そしてガスコンロとか?

 

あとは、さっきのチョコレート作るやつとか、ミキサーとか、電子レンジとかオーブンとか。

 

それと、業務用のでかい洗濯機。

 

あとは、研究所で使っていた資材のうち、持ち運べるもの……。

 

パソコン、モニター、小型サーバー、手に入りにくい試薬、解剖用のメスやノコギリ。

 

あとは無駄にプロジェクターとかも持ってきちゃった。

 

そして、テレビとゲーム機。

 

あとは、トラックの荷台を改造してもらい、テーブルやら何やらを引き出せる感じに改造してもらう。

 

つまり、トラック二台を展開して、天幕やら何やらを張れば、良い感じにベースキャンプになるというギミックをつけてもらったのだ。

 

他にも、細々とした工作機械なんかをいくらか譲ってもらったな。

 

かなりもらえたので、こちらも更に幾らかの食用植物と、ガソリンを作り出す藻類、電電虫などを譲渡することにした。

 

っと……、それと、ゾンビウイルスの調査と、変異体ゾンビの情報集め、オデュッセイア機関の情報集めに、お役立ち書籍集めとか、色々やることがあるんだもんな。

 

実は、五人目、最後の嫁が見つかって、この自衛隊基地での仕事を終わらせ次第、『東京』に行きたいんだよね。

 

東京でやりたいことがあるのだ。

 

さあ、仕事仕事……。

 

 

 

「ティフォン博士!『デルピュネ』が見つかりました!」

 

「え?マジ?」

 




グエーッ、最近やる夫スレにハマってて書き溜めをサボってた。許して仮面。

どんなスレだったか?

うーん……、そうですねえ、鬼滅の二次創作で、全ての呼吸が使える主人公が原作の登場人物を救済……、してから日本そのものを救うために産業や農業を興していく……って話でした。

んん……、まあ、僕はこういうチート話が嫌いではないですから。

それに、貴重な火葬戦記ですし。

ってか、下手な長編を見るより、定期更新するスレ作者のバカエロ中短編読む方がおもしれーかもしれねぇ……。

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