ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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コンビニの肉まんを久しぶりに買ったんだけど、あれ確実に小さくなってるよね?!!!

ち、畜生……!

許せねぇ……!!!

小さくするくらいなら値上げしてくれよ!

キットカットとかさあ!

潔く、材料費が高騰したので値上げしますと書いてくれ!美味しくなって新登場!とか言って小さくする欺瞞は大嫌いだ!!!


15話 醜いサナダムシ

えーと、俺達が今まで回ってきたコミュニティは……。

 

・横須賀警察署

・県立三滝高等学校

・ホームセンター『カインドハウス』

 

この三つだったな。

 

ホームセンターは現在地で、ここにはパイちゃんがいないことは確認できている。

 

じゃあ警察署に行ってみるか。

 

横須賀警察署……。

 

確か、井草とかいう主婦を送り届けた記憶があるな。

 

今はどうなっているのだろうか?

 

見に行ってみようか。

 

 

 

研究所のトラック……、これなんて言うの?コンボイっての?司令官なの?

 

よくわかんないけど、荷物を詰めれば十トンくらいはありそうなコンテナトラック。

 

これの、サイドブレーキ?免許ないからよくわかんないんだけど、このブレーキを解除して、超生命体の腱を使った帯で、キーちゃんが牽引してくれている。

 

「超生命体の腱」というのは、俺が過去に設計した生物兵器である、『アローアダイ』というものの腱だけを、俺の細胞から抽出した。

 

俺の肉体は、俺が作った生物兵器の一つである『超細胞ヘシオドス』と一体化している。

 

この超細胞は、流れた電気信号に応じて、あらゆる細胞に姿を変える万能細胞だ。

 

俺はこの万能細胞のアメーバに取り込まれて分解され、肉体の全てがこの超細胞に置換されてしまったのだ。

 

そして、俺のこの脳から発せられる電気信号により、この超細胞でできた肉体を自在に変化、増殖させることが可能になった訳だな。

 

それにより、かつて開発した生物兵器の腱のみを作り出すことができた。

 

何故、俺が思った通りのものが出せるのか?などの疑問はあるのだが、できてしまうものは仕方ない。

 

原因を究明しようにも、研究所はほぼ全壊し、機器の類は使えなくなってしまったからなあ……。

 

仮説としては、この超細胞が勝手に俺の脳を使って演算し、イメージしたことと実際の細胞の変化とを対応させた……?とか考えられるんだが、詳細は不明だ。

 

で、だ。

 

アローアダイだ。

 

この、アローアダイというのは、全長10mにもなる巨大な人型生物だった。

 

これは、大型生命体のテスト運用として作ったものであるが故に、特別な機能はつけなかったのだが……、それでも、自立する10mの人型実体だ。

 

説明するまでもなく理解できると思うが、10mにもなる人型実体が自立し、あまつさえ、兵器として運用できるレベルの動作をするというのは、生物としてあり得ない。

 

大きさが倍になれば、重さは三乗に増えていく。二乗三乗の法則くらいは聞いたことがあるだろう。

 

ヒトの大きさを、まあ、2mで100kgの重さがあるとしようか。

 

では、10mのヒトは?と言うと、五倍だから×125して12500kgになる。

 

十二トンの人型生物がまともに動くと思うか?アフリカゾウより重い人型実体なんて、自重で潰れて一歩も歩けないのが普通だ。

 

だが、俺はどうにかした。

 

その手段を話すと、一月分の学会発表をしてもなお足りないので詳細は語らないが……、つまりは、極めて丈夫でハイパワーな『骨格』『筋肉』『靭帯』がポイントだ。

 

ついでに言えば、燃費面も極めて優秀だったな。

 

あーまあ、つまりは……、特撮映画の怪獣のような生物兵器を作り、怪獣の骨肉を支える超強靭な靭帯の類を使い、トラック牽引用の帯紐としている……、と言う話だ。

 

この靭帯を使った帯紐は、例え数百数千トンの荷重が加えられたとしてもビクともしないぞ。

 

……因みに、スーちゃんの触手は、数十万トンくらいある船舶を牽引しても、細胞に劣化が見られなかったぞ。こわいね。

 

さてさて、そうして、やたらと丈夫な靭帯に繋がれたトラックをキーちゃんに牽引してもらいつつ、俺は警察署に辿り着いた。

 

警察署。

 

四月の麗らかな春の陽気。

 

それとは裏腹に、物々しい雰囲気。

 

やだなあ、人間って心に余裕がなくって困るわー。

 

貧した時こそ、せめて心だけは豊かでなくっちゃ。

 

こんなの、小学校で習うことだぜ!

 

まあ俺、飛び級したんで小学校に行ったことないんですけどねー!

 

……なんで俺がこんな嫌味を言っているのかと言えば、この警察署グループの雰囲気が悪いからだ。

 

まず俺は、見張り役の警察官に声をかけた。

 

警察官は露骨に驚いていたが、俺の存在は認知されているらしく、俺のみは普通に通されたのだ。

 

しかし、異形の姿をしている嫁達は、外で待たされていた。

 

理由は、「避難している市民が怖がるから」だとさ。

 

くっだらねえ、何が避難している市民だよ。

 

こうなった以上、市民もクソもねえだろうが。

 

統計データはないからなんとも言えないが、これからの人類種は、最早、種の保存を第一に考えて行動すべきだろう。

 

遺伝子の多様性を狭めるから、個体数を減らすのは悪手だろうが、ならば、繁殖可能な個体は繁殖活動に回して、逆に老いた個体はリソース削減のために積極的に死ぬべきじゃない?

 

それと、交雑した方が多様性が高まるから、婚姻制度とか言ってないで乱交すれば良いのに。何でやらないの?よく分からんね。

 

で、警察署内には、老若男女問わずたくさんの市民とやらがすし詰め。

 

何だこいつら?

 

「なあ」

 

その辺の警官に話しかける。

 

「はい、何ですか?」

 

「ここにいる奴らは、なんで何もしないんだ?」

 

「それは……、心得のない一般市民は〜」

 

んー。

 

説明されたけど、やっぱり、よく分かんねーや。

 

「リソースを食い潰す寄生虫ってことだろ?なんで殺さないの?」

 

「なっ、何を……?!!」

 

「え?いや、適齢期の個体は繁殖に回して、閉経した雌は使い道がないから屠殺して食料にでも……」

 

「そ、そんなこと!できる訳がない!!!」

 

はあ……?

 

「うーん……、まあ、別にお前らなんてどうでもいいから指示はしないけどさ。ただただ疑問なんだよね。種の保存を目指すべき状況で、リソースを食い潰す上に繁殖もできない個体って、存在する必要なくねーかなあ」

 

いや、もちろん、働き蜂のように、繁殖はしないが群れを存続させるために命がけで働くような存在は必要だよ?

 

ゲーム理論を使ったESS理論においても、利己的行動をとる個体と、利他的行動をとる個体の数が釣り合っており、その方が安定した種の保存と進化が望めるのは知られている訳だからね。

 

でも、ここにいる個体は、どうも皆利己的行動ばかりしているように思える。

 

社会性のある生物は、各個体ごとに無意識に利益マトリックスにのっとった行動をするとは言われているし、事実、ここで他人の足を引っ張りまくる利己的行動者がいる傍で、ホームセンターの個体達は、子供を助けるという利他的行動をとっている。

 

つまり、理論通りに、利己的行動者と利他的行動者の数的な釣り合いは取れているんだろうと思われる。

 

サンプリング数が少ないから断定はできないんだけどね?

 

ただ、俺が言いたいのは、もう繁殖活動もできなそうな老いた個体とかを生かしておく意味ってないよなあ、って話。子育てに協力してくれてる訳でもないんだし。

 

「まあ、なんでもいいよ。署長さんとこに案内してくれる?」

 

 

 

警察署の署長室。

 

に来たのだが……。

 

「俺達はいつまでこんな生活をすれば良いんだ?!」

 

「そうよっ!あんた達、警察なんでしょ?!どうにかしなさいよ!!」

 

「何のために高い税金を払ってきたと思ってる?!!」

 

おほー、ゾンビ映画あるあるシーンご馳走様でーす!

 

いやぁ、人類とかいう不完全で愚かな生命体。

 

醜いなあ……。

 

不完全な人類種は、科学的手法による自己進化をした方が良いし、そもそも、人類種とかいうくだらない生き物をわざわざ生かす必要も無いよね。

 

人類なんて、俺からすれば、科学によっていくらでも生み出せる替えの利く存在の一つに過ぎない訳だから。

 

悪の組織の博士ではあるけど、わざわざずらりと色んな生き物を揃えて「くくく……、種の保存だよ」とかいうシーンはないです。

 

自由自在に遺伝子をデザインできる訳だからね。種を保存することに殊更意味を見出せない。

 

いや、もちろん、多様な遺伝子が保存されていた方が、この星にとっては有益と言えるような物の見方も当然あるよ?その辺は生命哲学的な話も入ってくるからなんとも言えないんだけどさ。

 

あー、まあ、その辺りは良いよ。

 

人間が醜いなんて、わざわざ俺が言わなくてもみんな知ってるだろうし。

 

そんなことより、署長に話を聞いてこよう。

 




プログラマ転生、やーっと入学試験のシーンを書いてますよぉ。


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