ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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書きたいものを全部書いたら即座に自殺する予定なんですが、書きたいものがなくならない……。


11話 愉快なレトリバー

蛇神神社に向かう。

 

蛇神神社には、ヒューちゃんらしき存在の目撃情報があったからだ。

 

さあ、行ってみよう。

 

と、思ったんだが……。

 

「おい!待てよ!」

 

人間の雄個体に通せんぼされた。

 

そいつは、金髪の……、ツーブロックってのかな?それで、見せ筋で固めた全身にトライバル柄の入れ墨がある男だ。

 

ボク知ってるよ、NTRもののエロ同人誌でよく出てくる人だよね。

 

こう言う見た目の人間って大体ロクでもない奴だよなー。

 

肉体的には、肥大化した全身の筋肉と、特に右側肩部筋肉が大きく発達しているな。腰部の骨に強めの負荷が定期的にかかってるのも分かる。

 

重いものを運ぶ仕事をやってるんじゃないか?

 

「で?何だ?」

 

「そ、そのっ、厚かましい話だけどよ……、く、食いもんを分けてくれねぇか?!」

 

あ、そんな程度のことか。

 

NTRエロ同人誌の竿役みたいな顔だし、そういう話なのかなーと。

 

まあ、流石に、人外の生物兵器女を寝取ろうなんて考える奴はいないか。

 

そもそも、寝とっただ何だみたいなことができる状況ではないからな。

 

俺が呆気にとられていると、男は何を勘違いしたのか、土下座し始めた。

 

おぉ、土下座。

 

リアルでは初めて見るな。

 

「この通りだ!頼む……!嫁と子供が腹空かして待ってんだ!頼む!!!」

 

なるほど、嫁と子供が。

 

「物資はくれてやっても良い。だが、どこに隠れてるんだ?」

 

「このマンションだ!」

 

「じゃあ、実際に、妻と子供とやらを見せてみろ」

 

別に、多少物資をくれてやるくらいは構わないのだが、騙し取るつもりなら許さない。

 

別に善人は救われるべきだ!などとは思わないが、とにかく俺を騙そうとする奴は許さん、殺す。それだけだ。

 

「分かった、呼んでくる!だから物資を!」

 

そう言って、近くの、大分古い集合住宅の一室から、茶髪の雌個体一人とこましゃくれたメスガキが現れた。

 

「おじさん誰?」

 

「コラ!模花(もか)っ!お兄さんでしょ!」

 

あら、生意気。

 

でも、人間のメスガキは守備範囲外なんで。

 

「うるせーぞメスガキ。うりうり」

 

「うにゅー?!」

 

頬をつねって遊ぶ。

 

「ほら、乾パンならあるぞ。食え食え」

 

「ハンバーガーとかないの?」

 

「模花っ!」

 

「はーい!分かってるって!冗談だよ、ママ」

 

乾パンを食わせて、水を飲ませた後に……。

 

「じゃあ、とっとと避難しろよ」

 

と俺が言ってやる。

 

「避難ったって、どこに……」

 

「あっちの方に警察署があったぞ。そこで避難民が……」

 

「け、警察署は、ちょっと……」

 

と男が言った。

 

「何でだ?」

 

「俺、あそこの警察署の警官に、昔、何度かパクられたことがあって……。多分、信用してもらえねぇよ……」

 

知らんがな。

 

「自業自得じゃん」

 

「待ってよ、龍斗は悪くない!私に絡んできたチンピラをノシちゃって捕まったんだから!」

 

と、雄個体の番が言った。

 

「やめろって、綾香。もう過ぎたことだし……、カッとなって手を出した俺が悪ぃんだよ」

 

ふーん。

 

まあ、喧嘩っ早いが悪人ではない、ってところか。

 

良いんじゃない?そういうキャラもいるでしょ。

 

そう、関係ないね。

 

「で?じゃあどうすんだ?このまま、ここで死ぬまで隠れてるか?」

 

「そ、それは……」

 

金髪の雄個体が悩む。

 

と、そこに……。

 

「ちょっとおじさんさあ、言い方がキツくない?そういうのは良くないよ」

 

と、メスガキが言ってきた。

 

何だこいつ、度胸あるな。

 

明らかにヤバそうな存在である俺に、よくもまあ意見できるもんだ。

 

見たところ、十二歳ほどか?

 

分別もつく時期だろうに。

 

親が低脳だと子個体も低脳になるもんなのかね?

 

「パパは頑張ってるんだから、虐めないでくれる?」

 

おっ、生意気ー。

 

「お、おい!模花!マジでやめろって!」

 

金髪の雄個体が子個体を叱る。

 

「おじさん、鬼殺の刃読まなかったの?強い人は弱い人を守ってあげなきゃならないんだよ!」

 

「まあ、読んだけどさ……。俺はどっちかって言うと、鬼側の存在だぞ」

 

「は?人間でしょ?良いから助けてよ!」

 

うーん……。

 

「キーちゃん、スーちゃん、どうする?」

 

「カワイソウダヨ、助ケテアゲタラ?」

 

「急グ旅デモナイデショ?ノンビリデイイワ」

 

んー、まあ、二人がそう言うなら。

 

 

 

この三人、海堂一家を連れて、安住の地を探す。

 

とは言え、海堂一家も全くのノープランって訳じゃない。

 

「良いっすか、博士さん。この辺りには、大型のホームセンターがあるんすよ」

 

と、歩きながら、地図を見せてくる龍斗。そう、こいつは龍斗って言うんだってさ。

 

「そうかい」

 

「っす。この辺りは、えーと、災害計画都市って言って、なんか凄いらしいんすよ」

 

「具体的に何が凄いんだよ」

 

「えーっと、上下水道の設備が丈夫で、災害時でも水が出るらしいっす。それと、すげぇソーラーパネルがたくさんあって、ちょっと曇りな感じの日でも電気が使えるらしいっすよ」

 

へー。

 

「今向かっているホームセンターは、設備があるんだな?」

 

「そうっすね。まあ、俺らが住んでたのは古い安アパートだったんで、そういう設備はなかったんすけど、この街の大きな施設には大抵、なんかそういう設備があるそうっすよ」

 

「へー、そうなのか」

 

「ってか、何で知らないんすか?」

 

「いや俺、この街に来てから、研究所を出るのはほぼ初めてなんだよな」

 

そんな話をしつつ、一路西を目指す。

 

 

 

「因みに、俺達に対するツッコミとかないのか?」

 

「え?博士さんはあれっすよね?最近流行の異世界転生者……」

 

「違うんだよなあ」

 

 




なろうやカクヨムでクソ小説を見つけた時、「俺も作家になれるんじゃねーか?」と自惚れることがある。

が、それでも、書籍化する人はやっぱり何か持ってるんだろうな。

俺とは違うんだろう。

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