鍋うめー。
「分かった、話を聞くわ。ただ、話すだけよ」
と言うことになった。
では……。
「まず、訊ねたいことがある。身体の一部に鱗や角に尻尾に羽が生えた女、背中から蛇の頭を複数生やして蛇の下半身を持った女、全身から鋭い牙を生やす女、全身から触手を生やした女。これらに心当たりは?」
「ないわ。何よそれ……?」
知らないのか?
「なら良い、忘れてくれ……、いや。もしそいつらと出会ったら、『博士とキーちゃんが探していた』と伝えてやってくれ。攻撃して死んでも責任は取らないからな」
「え、ええ」
「それと、現在の状況についてだ。三日前から色々あって身動きが取れず、この世界が今どんな状況にあるのか分からないんだ」
「私達だって詳しくは知らないわ。ただ、ゾンビが出て、暴徒も出て、大変だってことだけよ」
なるほど。
テンプレ的ゾンビアポカリプス。
「ゾンビについては心当たりがある。俺の組織の人間が作ったウイルスが流出したみたいだ」
「組織……?アンタ、何者?」
「まあ、テロリストの科学者だ」
「テロリスト?!」
「おいおい、いきり立つなよ。俺はこの子みたいな生物兵器を作る仕事をしていた人間であって、実行部隊が何をやっているのかは知らないんだよ」
「生物兵器?じゃあ、ゾンビはアンタが作ったの?」
「違う、このゾンビウイルスは、俺の前任者が作っていた失敗兵器だ。俺の作品はもっと美しい」
そう言って俺は、隣のキーちゃんを抱き寄せた。
「……イカれてるわ、アンタ」
侮蔑の視線を隠そうともしない雌個体。
酷く礼を欠いているな?
武道というものは、礼法を内包しているんとちゃいますか?いけませんねぇ?
「見解の相違だな。とにかく、俺は美しい生き物を作る芸術家であって、こんなブサイクなゾンビなんてものは作っていない。ただ、性能は知っているから教えよう」
まあ、簡単な話だ。
一つ、ウイルスはそれ単体では非常に弱く、空気中や水中、熱、乾燥に弱いので、ゾンビに直接噛まれて致命傷を受けたりでもしない限り感染はしない。また、少量であれば体内に入っても免疫系にウイルスが退治される。とは言え、噛まれたら助かるのは難しい。
二つ、ゾンビは脳が核になっているので、脳を破壊すれば死ぬ。正確には脳幹に寄生核を作るので、そこが弱点。もしくは、動けないように手足を全て斬り落としても良い。
三つ、ゾンビウイルスはネズミやカラスなんかも媒介するから、野生の獣にはあまり触らないほうがいい。ゾンビ化した生き物は目が真っ赤になるので、それを目印にしろ。
四つ、ゾンビは、目はぼんやりとしか見えていないし、鼻も人並み、聴覚も人並み。基本的に音に反応するから、それで罠とか張ればいいんじゃない?力はかなり強いけど、動きは鈍くて、思考能力はないから、知恵を絞って戦え。
五つ、ゾンビは、捕食を繰り返すと進化して強くなる。進化ゾンビについては資料が少なく、あまりよくわからなかったので、嫁を集め次第資料をまとめておく。
これだけの話だ。
「……分かった。こっちからも質問させてもらうわ」
「なんでも聞いてくれ」
「まず、アンタは何者?」
「秘密結社『オデュッセイア機関』に所属する、第六研究所所長兼生物兵器開発部部長の……、いや、名前はもうどうでもいいか。そうだな……、ティフォンとでも呼んでくれ。組織でのコードネームだったんだ。もしくは博士でもいい」
「なによ、その、オデュッセイア機関って」
「アメリカに存在するメガコングロマリット、『オデュッセイア社』を隠蓑にする秘密結社で、兵器開発や兵員派遣などをして、世界に戦乱を広げる組織だ。最終目標は、オデュッセイア社による世界の支配、だそうだな」
「……じゃあ、アンタは、その組織で生物兵器を作る博士って訳ね」
「そうだ」
「何で世界がこんなことになったのか知ってるかしら?」
「軽く調べた結果だと、うちの組織の内ゲバで、頭のおかしい幹部が組織を乗っ取ろうとしてテロやって失敗……、したんだかなんだかそこは不明だが、とにかく、その時使われたゾンビウイルスが世界中で流出……、ってところか」
「何よそれ……!アンタ達のせいで、父さんと母さんはッ!!!」
あはーん?
なんかあったんですかね?
親の個体を失って悲しいってことね、はいはい。
人間って度し難いなあ、親個体が子を喪って悲しむのは、自然界にも多く見られるけど、子は、いずれ独り立ちして親個体と会わなくなるんだから、別に親個体が死んだって特に何にもないでしょ?
大体にして、生物の寿命からして、親個体が子個体よりも先に死ぬのは当然のことだ。
俺は簡単に曲げられるのだが、このことを世の中では「生命の摂理」とか言うらしいね。
ってかさあ……。
「おいおい……、俺に言われても困るぜ。例えば、警察が不祥事起こして人を殺したとしよう。だが、それは、警察官の全てが悪いってことにはならないだろ?それと一緒だ。悪いのはテロやらかしたアホ幹部。俺は悪くない」
「で、でも……ッ!!!」
「いや、本当に困るんだよ。俺は自分の任された研究所の運営と、部署の管理、生物兵器を作ることと、生物兵器の面倒を見ること。これしかやってないし、それ以上の権限もないし、何も知らないんだ。身内が亡くなったのは確かに心中お察しするが、俺に八つ当たりされても困る」
「そんな言い方……!」
「そう言われてもな。同じ会社の別部署の奴が大量殺人しました!と言われても、俺は関係ないとしか言えんわ。むしろ、誰だってそう言うだろ」
「だって……!アンタの仲間が!」
仲間ー?
仲間って感じじゃねーけどな!
ってか俺、殺された訳だし!今思えば、都合よくヘシオドスの培養槽に閉じ込められたのも、なんかしらの陰謀ってか策略だったと分かるぞ!流石に分かるわ!俺も大概、研究バカだが、消されそうになったことくらいは理解してるわ!
「じゃあ、逆に聞くが、ここで俺が土下座なり何なりして謝ったら満足するのか?それで良いのか?その程度のものなのか?」
「それはっ……、そう、だけど……」
「とにかく、俺は本当に何も知らないから、責められても何もできない。資産なんて何もないし、こんなことになっては金なんて無意味だろ?」
と言う訳で……。
じゃん!
「研究所からなんか役に立ちそうなアイテムを持ってきたぜ!お詫びに好きなもんをただでくれてやる!」
と言うことになった。
ぐわあああ!!!
灰色の学生時代を送ってきた俺には、学園編は書けないー!!!
なんか案とかないっすか?学生って何やってんの……?
とりあえず、軍学校の要素が強めなので、野営訓練ってことで課外活動があるのは確定だ。
あとはハイソな貴族のクラブ活動とかあるんじゃないの?……あるの?分からんけど。
それと年一回の学園祭とか?……中世ナーロッパ世界の学園で学園祭とかやるもんなの?いや、ナーロッパだからアリか?
学園の休みの日に学園のある王都で商売とかやりましょうよ。
同学年のお姫様が他国の間者に誘拐されかけてそれを助けるイベントとかも用意しましょう。
そもそも、世界観的に「学園なんてもんが存在できてるのが奇跡」みたいな感じだしねぇ……。
十三世紀のフランス的な世界で、他国に国債を売り払ってでも戦争して、しかも戦争の内容も騎士達が捕まって身代金出し合うのが基本みたいな生っちょろい感じ。ちな身代金の支払いで国家が数回傾いた。
まあ戦国日本みたいな感じ?アホみたいに誉れ重視で、見栄張る為なら命懸けみたいな?
十字軍遠征編みたいな感じで、外国に派兵される話も書きてぇな。
物語の後半でねぇ、東の方からモンゴル的なクソ強馬族が攻めてきてねぇ、モンゴル的な根切り皆殺しスタイルで虐殺されるんや……。
なんでこんな世界観で学園があるのか?歴史ミリしらだが、中世でも学校くらいあるでしょ多分……。
うーん、学園編学園編……。
イベント……。
うーん……。